診療コラム

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予防、病気、しつけ、行動学など、飼い主の皆様に役立つ情報などをコラム形式でご紹介。ぜひご覧ください。

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ネコの非ノミ非食物誘発性過敏性皮膚炎(NFNFIHD)とは? 21年03月20日

近年、ネコのアレルギー性皮膚炎(過敏性皮膚炎)に関して様々な知見があります。

過敏性皮膚炎とは①ノミによる刺咬性過敏症、②蚊やその他の昆虫による刺咬性過敏性皮膚炎、➂食物抗原による食物誘発性過敏性皮膚炎、④これらを除外した環境抗原による非ノミ非食物誘発性過敏性皮膚炎など大きく4つに分類されます。今回は非ノミ非食物誘発性過敏性皮膚炎(NFNFIHD)ついて説明します。

NFNFIHD強い掻痒感を認め、尚且つその他の掻痒性疾患(上記①~➂)を除外したものとしてまとめられています。この疾患のゴールは掻痒の重症度と頻度を軽減し、皮膚の良好なコントロールを行うことで本疾患に伴う感染症等から守ることにあります。掻痒感が無くなることで生活の質が大きく向上します。

治療薬として感染症に対しては抗生剤や抗真菌剤、痒みのコントロールにはステロイドや免疫抑制薬が効くとされています。動物アレルギー性疾患国際委員会は皮膚と被毛の状態改善・管理を目的とした必須脂肪酸製剤勧めています。当院でも必須脂肪酸製剤を取り扱っており、皮膚疾患に対して使用するケースもあります。

春になり暖かくなるとノミダニなどが盛んになります。それらによる事象以外でも痒みが起きることがあることを知っていただき、少しでも生活の質の向上に繋がればと思います。

H.F

飼い主が知っておきたい猫の皮膚病の症状と対策 | 猫との暮らし大百科

唾液の量が多くありませんか? 21年02月22日

愛犬の「よだれ」が多いと感じたことはありませんか?

流涎過多は、唾液の過剰な分泌により生じますが、中には正常な生産量の唾液を嚥下できない偽性流涎過多の場合もあります。

犬の唾液は、耳下腺、下顎腺、舌下腺、頬骨腺の4つの唾液腺より産生されます。

その役割は、食べ物をやわらかくして飲み込みやすくし、咽頭や食道を保護する他、蒸発させ体温を下げることです。

狂犬病が否定できる場合においては、偽性流涎過多の多くは口腔内異物によって起こります。

唾液過多は、歯周疾患、口内炎、舌炎、食道炎などの炎症性疾患などによって起こります。

家庭用の洗剤や、カエルやイモリの分泌液、ベニテングダケなど植物もまた、口腔内の粘膜を刺激することによって唾液過多を引き起こします。

他にも、顔面神経麻痺といった神経障害によるものや、尿毒症や肝性脳症などの全身疾患では、吐き気を催すことにより流涎を起こします。

このように、流涎過多には多くの原因が考えられます。

口腔内の異常に関しては、ご自宅では嫌がって見せてもらえないことも多いでしょう。

愛犬がだらだらよだれを流していたら、ぜひ病院に連れてきてあげてください。S.K

猫の口腔内扁平上皮癌 21年01月25日

 人も犬も猫も、口腔内にできるデキモノ・腫瘤は注意が必要なものが多く存在します。小型犬では悪性黒色腫(メラノーマ)の発生が多く挙動も悪いです。そして猫では扁平上皮癌という悪性腫瘍が多く発生します。

 扁平上皮癌は主に歯肉や舌にできる癌です。遠隔転移は少ないですが、とにかく痛くて多くは潰瘍を伴うために猫は痛みで食欲が落ち痩せてだんだん弱り死に至ります。悪臭のあるよだれが増えて口の周りが汚くなり、また口を使うのを嫌がるために毛繕いが減り被毛がガサガサで汚くなります。まれに顎の骨が原発の扁平上皮癌もあり、その場合は顎の骨が大きく腫れあがります。

 口腔内癌の治療は難しく、腫瘍が小さいうちは切除が対象になりますが、これは顎の骨ごと腫瘍を摘出しなければならず大きな手術になります。近年では小さい癌であれば外科的摘出で予後が良いとの報告も出ています。しかし巨大な腫瘍の場合は摘出は難しく、チューブでの食事管理や痛みの緩和など対症療法にならざるを得ない症例も多いのが現実です。有効な抗がん剤はありません。また高齢で発見されるケースがほとんどのために慢性腎不全などの他の病気の管理も必要になります。

 動物の口腔内の腫瘍は概して発見が遅くなるために、見つけたころにはかなり巨大あるいは進行した状態のことがほとんどです。それはまず口の中をよく見せてくれないということに尽きます。そのため口の中をよく観察できるように猫ちゃんを慣らせておく必要があります。どの腫瘍においてもそうですが、先述したように口腔内扁平上皮癌でも早期発見・早期治療で予後が改善することから、猫が小さい頃からのデンタルケアなどで口を触る習慣を身につけておくことが重要です。また少しでも口を気にする素振りを見せたり、悪臭のあるよだれが出ている場合は一度病院へ来られるのをおすすめします。

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T.S.