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最近のエントリー

里親探しから、各種イベント・行事のご紹介。
わんちゃん、ねこちゃんの写真も募集しています。

てんかん発作の管理

23年12月30日

てんかん発作を罹患している患者さんはとても多く、MRI検査の普及によりそのさまざまな原因を明らかにすることもできるようになりました。原因により治療法も多岐にわたりますが、最も多い原因となる特発性てんかんの治療の基本はてんかん発作を起こさないようにするための抗てんかん薬の内服が基本になります。お薬以外のてんかん発作の管理のために現在分かっていることを以下に述べてみます。

・ストレス

 動物にとってのストレスとは何になるのかは難しいですが、ストレスを感じるとてんかん発作が誘発されます。犬はストレスを匂いで感じ取ることができるという報告もあり、またそれは飼い主さんである家族のストレスをも感じ取ると言われています。また運動習慣や睡眠改善などライフスタイルの向上がてんかんの改善につながるとの報告があります。

・食事

 人ではケトン食がてんかんの改善につながるとの報告がありますが動物では実施が難しく、その代替としてMCTオイルなどの中鎖脂肪酸がてんかん発作改善に良いと言われています。全頭で効果が認められるわけではないようですが、神経病療法食なども販売されているため試してみる価値はあると思われます。

 てんかん発作はその病型含め、その患者さんごとに内服などの治療法を考えなければなりません。少しでもてんかん発作で苦しむ動物やご家族の負担を減らせるようになればと思っております。

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T.S.

ウサギの涙嚢炎

23年10月30日

 人も犬のウサギも、眼球からの涙液は涙点を通って涙嚢から鼻涙管、そして鼻腔へと流れていきます。犬では鼻涙管がつまることで鼻涙管閉塞を生じ、いわゆる涙焼けという状態になります。ウサギでも同様に鼻涙系疾患が多く、特に涙嚢炎が多く見られます。涙嚢炎になると著しい膿性の眼脂が目立ち、涙嚢炎が重度になると眼の内側の皮膚が腫れてきます。蓄膿が重度だと涙点から膿が排出できることもあり、また結膜炎や眼瞼炎、眼の疼痛もよく引き起こします。

 ウサギは歯科疾患の影響で涙嚢炎になりやすいと言われています。臼歯根と切歯根がそれぞれ涙嚢、鼻涙管に接しているせいで、それらの歯の過長などで涙道が閉塞することになり、上記の症状を呈するようになります。そのため歯科疾患の検査をすることが本疾患の診断のために大事になってきます。

 治療は単純な涙嚢炎の場合は鼻涙管洗浄などになりますが、歯科疾患に起因するものは歯科疾患の治療が必要になります。ウサギは膿を呈する疾患が多く、そして厄介なことになることも多々あります。ウサギさんの眼がおかしく膿性の眼脂が多くみられる場合はご相談ください。 

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T.S.

KYOTO ARセミナー  前十字靭帯断裂に対するTPLO法

カテゴリー:セミナー

23年09月24日

前十字靭帯断裂に対するTPLO

岩田 宗峻 先生 東京医科歯科大学

  KYOTO AR主催の実習型セミナーに参加してきました。近年では模型を用いたドライラボが盛んになっており、講義だけでなく実際に手を動かして技術を学べるセミナーが増えております。今回は前十字靭帯断裂に対するTPLO(脛骨高平部水平化骨切り術)についてのセミナーでした。

 前十字靭帯断裂は動物病院でよく遭遇する疾患で、前十字靭帯の変性、断裂により後肢の跛行を呈するものです。手術法がいくつか考案されており、ラテラルスーチャー法やTPLO法が手術法として選択されます。人の脛骨は大腿骨に対して垂直に位置していることからもともと前十字への負荷が少ないらしいですが、動物の脛骨は大腿骨に対して斜めに位置しており、そのせいで脛骨が前方へ滑るように負荷がかかるため前十字靭帯への負荷も増大します。TPLO法は、大腿骨に対して斜めだった脛骨を、水平方向になるように骨切り・移動させることで脛骨の前方変位の力を低下させ膝関節を安定化させる手術法です。つまり人の膝に近づける手術、ということになります。

 TPLO法には独自の器具が必要であり、理論もそうですが器具の扱いにも慣れが必要です。講師の岩田先生は前半部分では理論の説明を分かりやすく講義していただき、後半部分ではTPA測定や術式を解説していただきました。実際にはランドマークとなる部位が見えないことや、重要な血管を傷つけないようにするなど各種注意点も指導していただきました。

 このような実習型セミナーに参加すると良い刺激をもらうことができます。これからの診療に活かしていこうと思います。

 T.S.

猫の大動脈血栓栓塞症(肥大型心筋症)

23年09月17日

猫の肥大型心筋症に伴う大動脈血栓栓塞症は緊急性を伴う病気です。症状は閉塞する場所によって様々ですが、鞍状血栓症が最も多く突然両後肢が動かなくなり痛みのためかほとんどの症例で大きな声でニャアニャア鳴き続けるます。治療は内科療法や外科療法での血栓の摘出があります。治療法に関しては、うっ血性心不全や肺水腫、低体温、DIC,不整脈のため手術をしても予後が不良ではないかという考え方から血栓溶解療法を指示する考え方もあります。しかし内科療法では、残念ながら死亡率は2/3と高く、後肢が壊死してしまう可能性もあるため安易にお勧めできません。心臓の中に血栓がある場合摘出してもすぐ再血栓を起す場合があるため要注意ですが、早期の摘出により経過が良好なケースが多くあります。症例によって判断が必要ですが当院でいままで行った手術の経過は9割が順調に退院しており、長いものでは6年以上も生存してくれた猫ちゃんもいます。再灌流症候群のこともありできるだけ早期の治療が必要です。写真の血栓は、先日診察にこられ緊急で摘出した大動脈血栓です。無事退院してくれました。もし後肢が動かなくなりニャアニャア鳴き始めたら大動脈血栓栓塞症を疑いできるだけ早い診察をお勧めいたします。 S.S

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慢性腎臓病で貧血に?

23年09月05日

ネコちゃんにおける代表的な病気として「慢性腎臓病」があることは知っている方も多いと思います。その腎臓病によって生じる貧血、いわゆる腎性貧血という病態があるということをご存知でしょうか?

腎臓は尿を生成し老廃物を体外に排出するだけでなく、たくさんの機能を有する臓器です。そのひとつとして、造血機能の促進があります。腎臓の間質で生成される「エリスロポエチン」というホルモンは、赤血球の前駆細胞に働きかけ赤血球の産生を促します。慢性腎臓病が進行すると、エリスロポエチンの産生が不十分となり、貧血を起こす場合があります(腎性貧血)。

腎性貧血になると、全身に十分な酸素を送れず、歯茎や目の粘膜が青白くなることもあります。また、赤血球は酸素を運んで体温を維持する働きがあるので、腎性貧血になると体温が下がって冷えやすくなります。結果として、ネコちゃんは元気がなく動かなくなり、食欲が落ちて痩せてくる可能性があります。これらの症状は慢性腎臓病の症状だと勘違いする方も多いため、当院では定期的な血液検査で腎機能をチェックするとともに、貧血が進行していないかも確認しています。

腎性貧血の治療としては鉄分の補給とともに、不足している「エリスロポエチン」のホルモン剤を使うことで貧血の進行を防ぎ、症状を和らげることができる可能性があります。これまで、犬猫用のエリスロポエチン製剤は開発されておらず、ヒト用のものを代用して治療を行っていましたが、先日『エポベット』という猫のエリスロポエチン製剤が世界初で承認されました。エポベットは2週間間隔で注射をすることが推奨されており、これまでのヒト用製剤と比較して投与間隔が長いことが特徴・メリットです。これまでの研究では、エポベットを2週間間隔で6回皮下注射することで8割以上の猫ちゃんで貧血の改善が認められたとの報告もあり、今後腎性貧血で悩む猫ちゃんの新たな治療薬として使用されることが期待されます。

D.N.

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高齢犬の足腰のチェックをしてみませんか?

23年08月30日

 人医療においても運動器、つまり足腰や関節の疾患は加齢とともに増加しそれに伴って運動強度が低下、そしてさらに進行すると日常生活にも支障をきたすようになってしまいます。そのような状態をロコモティブシンドロームと呼び、運動機能低下によりさらに生活習慣病や認知症を招くなど重大な状態と考えられています。犬も同様で、加齢により運動器疾患の罹患率は高くなり、うまく歩けなかったり、びっこを引くなど疼痛を引き起こす原因になります。また何よりもそのような状態は犬にとってもストレスフルであり、ものを言えぬワンちゃんたちの運動器疾患は飼い主であるご家族が見つけてあげなければなりません。

 動物のいたみ研究会が、運動器疾患による痛みを見抜くポイントとチェックリストを作成しており、これはホームページから誰でもダウンロードすることができます。その中からいくつかピックアップして見てみましょう。

・散歩に行きたがらなくなった。

・ソファー、イス、ベッドなどの高いところへの上り下りをしなくなった。

・尾を下げていることが多くなった。

・飼い主や他の犬と、またはオモチャなどで遊ばなくなった。

・寝ている時間が長くなった、もしくは短くなった。

いかがですか?「歳を取ったからかな」と思いがちな行動が多いように思えます。特に寝ている時間が長くなったというところはまさにそのような印象です。明らかなびっこを引かなくても、実はこれらのサインが隠れ関節炎の徴候だということは大いにありえます。もちろんどの程度の期間それらが見られるのか、他の病気はないのかなど、いくつか鑑別すべき点はありますので、これらの症状がすべて痛みのサインとは限りません。しかし飼い主さんがまず気づいてあげることが発見の第一歩だと思います。関節炎を根治することは難しいですが、様々な方法でその痛みを軽減し、ワンちゃんの健康寿命を延ばしてあげることは可能です。少しでも痛いのかな?と思うことがありましたらご相談ください。

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T.S.

犬の熱中症を予防しよう

23年07月22日

愛犬のために正しい熱中症対策が出来ていますか?人間だけでなく、犬や猫も熱中症になります。犬や猫が熱中症になると人と同じように、息苦しそうに呼吸をしたり(パンティン)、ふらつき、よだれ(流涎)、場合によっては嘔吐や下痢、さらに悪化すると筋肉の震えや痙攣が起こり、意識が無くなります。

私たち人間は快適な場所を見つけて自由に暑さをしのぐことができますが、行動範囲が限られている飼い犬ではそれがなかなかできない場合があります。愛犬が熱中症にならないようにするためにも、愛犬の立場になって過ごしやすい環境づくりを心がけましょう。

・どんな犬が熱中症になりやすいか

特に短頭種、シニア期、肥満の子は注意が必要です

短頭種とはフレンチブルドッグやパグ、シーズー、ペキニーズなどの鼻(マズル)の短い種類を指しており、鼻が短く、口腔の面積が狭い為、唾液を気化して熱を逃がすのが苦手です。あとは気管の入り口が反転していたり、呼吸が苦しい子が多いので、熱中症のリスクが他の犬種に比べてはるかに高くなります。

シニア期では体温調節機能の低下により暑さ調節が上手くいなかったり、肥満の子は体内に熱がこもりやすく、首のまわりの脂肪によって呼吸機能が低下するため、呼吸による体温調節が上手くいかなくなります。なのでこれらの体温調節が上手くいかないワンちゃんには冷房器具の活用や、直射日光の遮断、風通しの工夫が必要です。

・犬が熱中症にならないためには温度に気を付ける

犬にとって快適な温度は、一般的に20~22℃と言われていますが、犬種や健康状態によっても変わってきます。推奨されている部屋の温度は25℃前後で湿度は50~60%くらいです。

まずは25℃になるように調節して、それでも舌を出して呼吸していたり、冷たい床の上で腹ばいになっている等、暑そうな場合には愛犬にとって快適と思える温度まで下げてあげましょう。

・通気性をよくする

窓やドアを締め切った真夏の部屋はまるでサウナの様になることもあるので、換気扇を回したり、網戸にしたり、可能な限りで風の通り道を作ってあげましょう。

・クーラーだけでなく扇風機や冷風機を使用する

クーラーで室内が冷えすぎて心配という場合には扇風機や冷風機を活用しましょう、使用する際には風が直接愛犬の体に当たらないようにすることが大切です。特にお腹の毛が薄い犬ほど、ty苦節風が当たると身体が冷えやすくなります。

・ひんやりグッズを利用する

クールジェルが入ったマット、い草を使ったマット、ひんやり感があるマットやベッド、クールバンダナなど最近はホームセンターでも手ごろな値段で購入で決ます。

クールバンダナで首元を冷やす際には、首の後ろではなく前を冷やすことがポイントです。首の前には太い頸動脈が走っているので、この頸動脈を冷やすことで体温を冷やす効果が期待できます。

・カーテンを閉めて直射日光を防ぐ

日光が直接入ってくる窓のカーテンを閉めておくことで、室内の温度の上昇をかなり抑えられます。カーテンを閉めると暗くなってしまって嫌だという場合には、外にすだれやサンシェードを利用するといいでしょう。

・水を数か所に置いておく

愛犬が水分をこまめに補給できるように、数か所に新鮮な水を置いておきましょう

・散歩は早朝か夜にする

涼しい朝の時間帯(5~6時)または完全に日が沈んだ夜に散歩するようにしましょう。17時や187時でもアスファルトが熱を持っている可能性があるので注意が必要です。

「夏は危険!」でも夏以外は熱中症気にしていますか?

夏だけでなく、春に温かくなってきたころ、暖房も要らなくなり部屋を閉め切っていたりしても熱中症をおこすこともあります、また梅雨明けしたころも人間だけでなく、犬や猫も熱中症になりやすいです。また犬を車内に置いておくと年中いつでも熱中症になるリスクがあります。エンジンを切った状態で車内に愛犬を置いておくことはかなり危険です。注意しましょう。

・熱中症かなと思ったら

まず涼しい場所に移動しましょう。外であれば日陰や風通しの良い場所に連れていき、冷たいタオルや水で体温を下げます

冷やす場所は、首、脇の下、後ろ足の付け根になります。愛犬と外に出かけるときは、クーラーボックスに冷たい水が入った霧吹きやペットボトル、濡れたタオルを準備しておくといいですよ。

その後、愛犬に意識があるようであれば、少しでもいいので冷たい水を飲ませて、すぐに動物病院に連れていくようにしましょう。

今年も梅雨が明け暑い時期が続きそうです。犬の熱中症は毎年のように発生しています。

うちの子は大丈夫と油断せずに、熱中症予防の意識をしっかり持ち対策して、今年も夏を乗り切りましょう

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Y.N.

人工保育

23年07月13日

産後の母犬の不調や育児放棄で哺乳瓶やカテーテルで子犬に給餌しなければならないケースはよくみられます。完全に母犬や兄弟と隔離され、人工保育でそだった子犬には許容限界や欲求不満限界の低さがみられる場合があるそうです。本来であれば乳頭をさがす苦労や兄弟との乳頭の取り合いによって苦労を生後間もなく学びます。哺乳瓶やカテーテルでは探索、取り合いの苦労、また吸乳の苦労もありません。すなわち空腹という欲求を満たすために探索といった苦労を乗り越え、満腹になって欲求が満たされるという学習過程を逃してしまいます。体調の悪い栄養の管理が必須な子犬はこの限りではありませんし体重の増加の妨げになってはいけませんが、元気な子犬であれば哺乳瓶を探させる、哺乳瓶の乳孔を小さめにして時間をかけさせる、途中でわざと中断するといった軽い欲求不満のトレーニングはのちの問題行動を減らすためにはいいかもしれません。K.Y

犬の変形性関節症に対する治療薬『リブレラ』

23年07月05日

先日、猫の変形性関節症に伴う痛みを和らげる新たな治療薬として「ソレンシア」が発売されました。それに加えて、ワンちゃん用の「リブレラ」が発売されました。今回は、犬の変形性関節症やリブレラについてご紹介したいと思います。

犬の『変形性関節症』とは、骨と骨の間にありクッションの役割をもつ軟骨に過度の負担がかかることで関節が変形し、慢性的な痛みが生じる関節疾患の1つです。加齢・肥満・遺伝や過度の運動などさまざまな要因が関与すると言われています。大型犬で発生率が高い傾向にありますが、小型犬での発症も少なくなく、全ての犬種・年齢で知らず知らずのうちに罹患している可能性があります。慢性の痛みを示す病気の中で最も患者数の多い病気のひとつであり、ワンちゃんの40%以上がこの病気になっているとの報告もあります。

変形性関節症の症状としては慢性的な疼痛があります。ご自身のワンちゃんは最近、階段の上り下りやソファへの飛び乗りをためらったり、できなくなったりしていませんか?運動中にすぐ休憩するようになっていませんか?このような症状はすべて痛みのサインの可能性があります。一度、獣医師にご相談されてはいかがでしょうか。

変形性関節症に対して、これまではNSAIDsなどの抗炎症薬やω-3脂肪酸などを含むサプリにより関節を保護する治療などが一般的でした。今回紹介する新たな治療薬「リブレラ」は、モノクローナル抗体製剤として開発され、月1回の注射で犬の変形性関節症の慢性疼痛を和らげる治療薬として期待されます。

これまでの研究では、初回投与7日目から有意な鎮痛効果が発現したとの報告があります。また、NSAIDsとは作用機序や代謝・排泄機序が異なり、肝臓や腎臓への影響が最小限とされており、安全に使用できます。また、毎日の投薬に悩まされない点も大きなメリットと言えます。

変形性関節症は前述のように、どの犬種・どの年齢でもなり得る病気であり、ワンちゃんの生活の質を悪くする可能性があります。前述の症状に心当たりがあるワンちゃんの飼い主さま、リブレラに興味のある方がいらっしゃいましたら、お気軽に獣医師までご相談ください。

D.N.

腹腔鏡を用いた胃腹壁固定術

23年06月30日

 犬では胃拡張・胃捻転症候群という病気が発生します。これは食後に胃内に異常なガスが発生する事で胃が拡張し、重症化すると捻転して胃が壊死するものです。胃だけの症状に留まらず、捻転による循環不良に伴う低血圧・ショック症状を呈し、命の危険を伴う緊急疾患です。大型犬も小型犬も発生しますが、特に発生の多い大型の好発犬種においては胃捻転を予防するために、胃をお腹の内側の腹壁に固定するという手術を行うことがあります。開腹で行う方法としては、切開胃固定術、ベルトループ固定術などいくつかの方法が報告されています。

 人医療では内視鏡外科は広く普及し、さまざまな種類の手術が実施されています。近年では獣医療でも内視鏡外科の発展がめざましく、腹腔鏡を用いた手術が増えています。腹腔鏡を用いた胃腹壁固定術もそのひとつです。開腹手術では皮膚を大きく切らないと胃を十分に引っ張ることが出来ません。しかし腹腔鏡手術をおこなえば小範囲の術創で済むため、獣医領域では早くからこの手術に対して腹腔鏡が適応されてきました。

 まずカメラ(硬性内視鏡)を入れるための小さい穴を臍の下に1カ所、そして胃を引っ張ってくるための鉗子を入れるための穴を右側壁部にもう1カ所あけます。お腹にカメラを入れ、目視で胃を確認後に胃を外に出すように体壁までひっぱります。この際、胃の出口(幽門部)から少し離れた胃体部をつかむようにします。そして胃を引っ張ってきた穴を5㎝ほどに広げ、体壁の筋肉と胃を固定するように縫合していき胃を固定します。傷は開腹手術のものよりもはるかに小さくなります。

 胃拡張・胃捻転症候群は緊急的で致死的な疾病です。残念ながら胃拡張はこの手術でも予防することはできませんが、胃捻転は大型犬では特に要注意のため、予防手術についてお聞きになりたい方は診察へお越しください。

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T.S.

ノミによる健康被害

23年06月13日

気温が温かくなってくると虫たちの活動が活発になってきます。

その中でも特に犬,猫,人間への健康被害をもたらすノミは13℃以上になると活動を開始します。

ノミによる健康被害は以下のように挙げられます。

①吸血による貧血...特に子猫子犬で重篤化することがあります。

②ノミアレルギー性皮膚炎...ノミの唾液中のアレルゲン物質が掻痒感を与え、生活の質を下げます。

③様々な病気の媒介...猫ひっかき病の原因菌であるバルトネラやヘモプラズマ症、瓜実条虫症などを引き起こします。それぞれ食欲不振や嘔吐下痢などの症状が現れます。

そのノミのライフサイクル(生活環)は卵-幼虫-サナギ-成虫とありますが、卵から成虫まで最短2週間で完了することがあります。

また、その場に5匹のノミがいると仮定すると、95もの卵、幼虫、サナギがいると言われるほど高密度に生息しています。

ノミの予防には体表に着けるスポットタイプの薬剤がありますので、気軽にご相談いただけたらと思います。

H.F

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散歩中に注意したい動物たち

23年06月05日

梅雨に入り、蒸し暑い季節になってきました。この時期になると暑くて熱中症などには注意したいところです。実はそれ以外にも注意しなくてはいけないのが、散歩中に遭遇しうる動物たちです。この時期増えるヒキガエルの誤食やヘビによる咬傷です。お散歩中のワンちゃんやネコちゃんがこれらの動物に遭遇すると、興味を持って近づいて、場合によっては食べてしまったり、ちょっかいを出したりすることがあります。ヒキガエルは寄生虫とカエル毒に注意したいですね。寄生虫というのは、マンソン裂頭条虫やツボ型吸虫と呼ばれるもので、小腸に寄生して長期的な下痢をひきおこす疾患です。治療せずに長引いてしまうと慢性的な下痢を引き起こして痩せていく。大量寄生だと腸の通過障害から腸閉塞をしばしば起こすこともあります。これらは、駆虫薬を使うことで落とすことができます。

カエル毒と言っても全てのカエルに有害な毒があるわけではなく、日本においてはニホンヒキガエルによる中毒が認められます。原因物質はインドールアルキルアミンという心臓血管系に毒性がある物質です。症状は、高体温、唾液分泌過多、不整脈、頻脈などを引き起こします。症状は比較的すぐ発生し、最悪のケースでは1時間以内で死亡してしまうケースもあるみたいです。実は中毒量ははっきりしていないのが現状で、仮に食べてしまうようなことがあったら、大量の水で口腔内を洗浄して毒を少しでも除去していただき、その上で動物病院に連絡してください。

 ヘビと言っても種類は様々で、アオダイショウやシマヘビなどの無毒なものからマムシ、ヤマカガシ、ハブのように猛毒を持つヘビまで存在します。比較的ヤマカガシによる咬傷事例はそこまで多くないようで、圧倒的にマムシが多くの被害事例として報告されています。

そのヘビ毒はタンパク分解酵素を含み、全身組織で出血、溶血、壊死を引き起こします。心臓、神経にも毒性を示します。場合によっては呼吸困難、低血圧、痙攣、D I Cや急性腎不全などの重篤になりうる症状も出てしまい、すぐに対処しないと命に関わる危険性を有しています。

受傷直後であれば、毒液を排泄させるために掃除機やポイズンリムーバーで吸引することで毒液の排出を試みる。よく映画などで、口で吸引して捨てるというシーンを目にしますが

かえって口腔内細菌を注入してしまったり、毒液を人が吸い込んでしまったりなどのリスクがあるため行わないようにしてください。急性期の治療としては、ヘビ毒が体内で解毒されるまで点滴や抗生剤投与で集中治療が必要になります。また、急性期を乗り越えたとしても、咬傷部の皮膚の壊死、潰瘍が広がってくる可能性が問題になり、場合によっては外科的に介入しなければならないこともあります。

 散歩中にはできるだけ草むらや藪のなか こちらから把握できない視界が不明瞭なところは避けて散歩するようにしてください。

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健康診断の前に絶食は必要か?

23年05月30日

 5月に入り、いよいよ本格的な予防の季節になりました。ワクチンや寄生虫予防に加え、年に1回の健康診断として血液検査を受けられる方も多いと思います。

そこでよく見かける異常は中性脂肪(トリアシルグリセロール、TAG)の高値です。中性脂肪とは、トリグリセリド(TG)またはトリアシルグリセロール(TAG)と呼ばれる物質で血液中ではリポ蛋白の形態で存在します()。血中TAG濃度が高かった場合、最後の食事から何時間経っていたかが焦点となります。食事による一過性の血中TAG濃度の上昇は高脂血症とは呼びません。食後十分な時間が経過しているにも関わらず血中TAG濃度が高値を示す場合は、脂質代謝に何らかの障害があることが疑われます。 実際、食事を摂ることはどのくらい血液検査に影響を及ぼすのでしょうか。100頭の健常犬を使った研究結果が発表されました(米、Journal of Veterinary International Medicine, 2023, 34月号)。この研究によると、絶食群と比較して血中TAG濃度が食後で測定機器の許容誤差を超えた(つまり有意に濃度が上昇した)の割合は92%だったそうです。また、 絶食時の血中TAG濃度は正常値を示したにもかかわらず、食後に異常値を示した犬の割合は34%であったそうです。すなわち、ほとんどの犬では食後に血中TAG濃度を測定することによって、絶食時と比較して有意に濃度が上昇しますが、正常値を超えることは少ないといえます。逆に言えば、食後であれ食前であれ、血中TAG濃度の高値が見られた場合、異常がある可能性が高いということになります。

高脂血症にはいくつかの原因が考えられます。先天性の高脂血症を呈する疾患には、ミニチュアシュナウザーの家族性高脂血症や猫のリポ蛋白リパーゼ欠損症が知られています。これらの疾患は神経症状や膵炎を起こし得ます。ただし先天性の高脂血症は他の様々な犬種でも見られます。後天性の高脂血症の原因には肥満、ある種の薬剤投与によるもの、糖尿病、甲状腺機能低下症、クッシング症候群、糸球体腎炎、閉塞性肝胆道系疾患などが挙げられます。治療対象となる明確な基準は定められてはいないものの、食後4時間以上経過していて血中TG濃度が500 mg/dLを超える場合は治療介入すべきと考えられます。高脂血症は膵炎、神経症状や視力障害を起こし、犬では動脈硬化症のリスクを高めると言われています。高脂血症の治療は基礎疾患のコントロールはもちろんのこと、低脂肪食への食事変更が主軸になります。食事療法だけでは効果が薄い場合はサプリメントの併用や最終的には薬剤による治療も考慮します。

                         スクリーンショット 2023-06-01 200540.png R.S.

新しい猫の変形性関節症の治療薬が出ました!

23年05月22日

元気な猫ちゃんがお気に入りのおもちゃに反応しなくなったり、足を引きずって歩くようになっていませんか?それは変形性関節症のサインかもしれません。

変形性関節症は猫に非常に多く認められる疾患で、12歳以上の高齢猫全体の61%~93%がX線検査で変形性関節症を有していることが報告されています。人間も年をとってくると膝や腰に痛みが出るのと同じように猫ちゃんでも高齢になると関節に炎症を引き起こす可能性があります。特に肘、手首、膝が一般的です。

ただ、猫ちゃんはかなり我慢強いので、基本的には症状を隠してしまいます。

変形性関節症の症状としては、歩く、登る、トイレに行くなどの動作が困難になります。

具体的には、遊ぶことが減り、ジャンプができなくなる、階段を登らない、トイレ以外に排泄するようになる、よく昼寝をするようになったり、毛づくろいが出来ず被毛の状態が悪くなったり、ひどい時には足を引きずって歩くなどになります。

もちろん、これらは関節炎だけで起こることではないですが、単なる老化と勘違いして様子を見るのではなく、速やかに獣医師に相談することが重要です。

このような生活の質を落としてしまう様なやっかいな変形性関節症ですが、今まではNSAIDsと呼ばれる痛み止めが一般的でした。ですが、NSAIDsは腎臓に負担がかかったり、毎日の投薬が難しかったりと治療したいけどなかなか治療に踏み出せないことも多くありました。

最近まで猫の関節炎の治療に苦慮していましたが、2023年にソレンシアという注射薬が加わりました。

ソレンシアはNSAIDsと異なる機序によって、猫の関節の痛みを軽減するため副作用が少なく、初期の腎臓病の猫などにも安全に使用できることが報告されています。月1回の注射で済むので、毎日の投薬の負担がありません。

ソレンシアを猫ちゃんに毎月投与した場合、約77%の飼い主様が痛みの兆候の改善を実感したという3カ月の調査結果も報告されています。ソレンシアにより変形性関節症が完治するわけでは決してありませんが、痛みの管理や生活の質を大きく改善することが可能です。

ソレンシアはとても安全な薬ですが、有効成分であるフルネマトマブに対してアレルギーなどの副反応(ほとんどは皮膚のかゆみや脱毛)を示してしまう場合には使用できません。また1歳未満または2.5kg未満の猫に使用することはできません。

他にも、妊娠中、繁殖中、授乳中の猫にも使用できません。

またソレンシアの費用は1回当たりの相場が10000円~15000円と高額にはなってきます。決して安い薬ではありませんが、長期的に作用する薬であることや効果の高さ、安全性の高さを考えると、決して高い薬ではないと思われます。

愛猫の動きが悪く、遊ばなくなったり、階段に登れないなどどこか痛そうな場合には、高齢だからとあきらめるのではなく、

一度ソレンシアの月1回注射での治療を検討されることをオススメします。気になることがあれば獣医師に相談し、猫ちゃんの生活の質を上げて健やかに過ごさせてあげましょう。

Y.N.

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発情周期の異常

23年05月13日

初回の発情がなかなか来ない、発情が前回からだいぶあいているといった発情周期の異常の相談を受けることがございます。大型犬では2歳頃でようやく初めての発情が来るケースもございますので2~3歳以上になるまでは異常を断言できないと言えます。また無徴候性の発情もあり、気づいていないだけかもしれません。この場合はオス犬の反応が一番有用だったりします。そのほか原因としては甲状腺機能の低下、グルココルチコイドの投与などがあげられます。グルココルチコイドが発情を抑制する特異的な用量は知られていません。通常投与量が最小限である、中止されていれば発情は改善し得ます。グルココルチコイドは下垂体のACTHの分泌に対して負のフィードバック作用を示しますが、FSH、LHといった発情にかかわるホルモンにも同様の作用を示します。発情周期の乱れが3歳以上で見られた場合は甲状腺ホルモンの測定やACTH刺激試験で反応が鈍くなっていないか検査することを検討します。 K.Y

失敗しないシャンプーケア

23年05月05日

日に日に暑さも増し、"皮膚病"を抱えたワンちゃんの来院が増えたように感じます。今回は犬のスキンケアに重要なシャンプー選びについてお話ししたいと思います。

スキンケアには皮膚・被毛の汚れを落とす「洗浄」、皮膚の水分保持力を高める「保湿」、様々な刺激から皮膚を守る「保護」などさまざま目的があります。シャンプーは皮膚・被毛の汚れや皮脂を落とす方法として汎用されており、皮膚の健康を保つため、皮膚病に対する治療のために重要な方法です。しかし間違ったシャンプーは皮膚バリア機能に障害を与えるリスクがあることを理解しておく必要があります。多種多様な犬種の皮膚特性や皮膚の状態に合わせたシャンプー剤を選ぶことが重要です。

シャンプー剤は、界面活性剤、保湿剤や薬用成分などの有効成分がそれぞれの製品により配合されています。これら成分の中でシャンプーの特性を決めるのは、主成分である「界面活性剤」であり、主に以下の3つの系統に分類されます。

1. 高級アルコール系→洗浄力は強いが、刺激性も強い

2. 石鹸系→洗浄力、刺激性ともに中程度

3. アミノ酸系→洗浄力は弱いが、皮膚に優しい

アトピー性皮膚炎のような皮膚バリアの低下がみられる敏感肌をシャンプーする場合には、低刺激性のアミノ酸系を選び、痒みの酷い時期は週1回以上のシャンプーが推奨されています。一方、脂漏症(しろうしょう)のワンちゃんでは、皮脂が過剰に分泌されベタベタの皮膚となっているため、皮脂やフケを除去するために洗浄力の高い高級アルコール系の使用が推奨されます。シャンプーの頻度は脂漏の程度にもよりますが週1〜2回程度からはじめます。

以上の例のように皮膚病の治療を目的としたシャンプー療法を適切に行うと、治療期間の短縮や使うお薬の種類・量を少なくできる可能性もあります。愛犬のシャンプー選びに疑問がありましたら、獣医師まで気軽にご相談いただければと思います。

また近年の研究では、保湿成分を配合しないシャンプーで洗浄した後に経表皮水分蒸散量(=皮膚から逃げていく水分量)は上昇し、洗浄後3日経過しても洗浄前の状態に戻っていなかったという報告があります。このことからセラミドやヒアルロン酸などの保湿剤を配合したシャンプー剤を選ぶ、もしくはシャンプー後に保湿処置をセットで行うことをオススメします。シャンプーを正しく行い、暑い夏を乗り切りましょう。

D.N.

CT検査で分かること・できること

23年04月30日

 当院ではGEヘルスケアジャパン製の16列コンピューター断層撮影装置、いわゆるCT検査装置により日常的にCT検査を実施しております。一般的な画像検査であるレントゲン検査や超音波検査では分からない詳細な病変の検出が可能なため、現代獣医学においてはもはや必須といえるかもしれません。最近では動物病院でもCT検査装置を導入している施設が増え、身近な検査法となりました。当院では他院からの紹介の患者さんも多く来ていただいております。

 CT検査では体の周囲を装置が回転することで、断層像、つまり体の輪切り画像を得ることができます。これにより組織同士の重なり合いをなくし、腫瘍がどこの臓器から発生しているかなどを知ることができます。また細かい病変の検出も可能で、レントゲン検査では分からない微小な転移性病変を見つけることもできます。特に力を発揮するのは頭頚部腫瘍です。頭頚部とは、鼻腔、口腔、耳道、咽喉頭や頸部など、他の画像診断では観察が難しく、また構造が複雑なために詳細な解剖学的評価が難しい部位においてもCT検査はとても有用な検査になります。しかし脳腫瘍においては、頭蓋骨という骨に囲まれた領域であることからX線を使用したCT検査の有用性は限定的になってしまい、MRI検査のほうが優れています。

 手術の前の術前評価としてもCT検査を使用します。腫瘍がその周辺の臓器や血管にどのくらい接しているか、癒着していないのか、また原発部位以外に転移をしているのならば、そもそも手術適用になるのか?など手術をする意思決定をするためにCT検査を行うこともよくあります。

 CT検査は血管造影剤を併用することによってさらに情報を追加することが可能です。造影剤は主に腫瘍性疾患で使用しますが、各臓器や腫瘍によって造影剤の入り方や、その消失の仕方に特徴があります。造影剤を入れてからCTを撮影するタイミングを時間によって決定することで、どの時相で造影剤がこうなったから、これはこの腫瘍だろうというアタリをつけます。

 検査の特性上どうしても全身麻酔が必要になってしまうのが欠点かもしれません。しかしCT検査を実施する際に使用する麻酔薬の量は少量で、しかも検査自体も短時間で済むため、動物さんにそれほど負担にはならないと考えております。実施する前には十分に麻酔前検査を行い安全を考慮した上で実施させていただければ、とても有用な検査であると思います。

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T.S.

犬の新生子期の行動学

23年04月13日

今回は、新生子期の成長過程に関するコラムです。

新生子はどの子も母親に強く依存しており、その後の感受性に影響が出ます。

生まれたばかりの赤ちゃんの眼はまだ閉じており(犬で16日齢、猫で17日齢に開眼)、視覚も聴覚も未発達であり、音への反応はかなり鈍いです。唯一、嗅覚を頼りに母親さらに乳頭を見つけ出し、接近することで母乳を飲み始めます(吸乳反射)。新生子期の授乳は2−3時間毎であり、その後は1日5−10回程度になります。産後26日頃が最高泌乳量となり、犬では毎回違う乳頭に吸い付くことで大きく活発な個体はよく乳が出る乳頭を独占する傾向があるが、猫では生後2−3日齢で専用の乳頭を決定するそうです。

視覚としては16週齢で発達完了し、聴覚は平均4週間ほどで発達完了となります。それらの感覚による様々な刺激が脳の大脳皮質への刺激となり、感覚、感情や運動能への成長を促していきます。そのため、生まれて間もない頃の母親からの刺激は新生子において重要であると言えます。

出産後はなるべく母子は離さず近くにいる環境づくりが大切です。

H.F

唾液の分泌過多と神経症状

23年04月05日

唾液の分泌過多(流涎)は、主に口腔内疾患(腫瘍、歯周病、潰瘍など)、咽頭喉頭疾患、食道疾患(運動機能低下、閉塞性、食道炎など)、唾液腺疾患(唾液腺壊死、唾液腺嚢胞、唾液瘤、唾石)、神経疾患(ナルコレプシー、カタプレキシー、頭蓋内疾患、てんかん発作、重症筋無力症)など様々な要因から発症します。動物たちは喋ることができないため、これらの疾患を除外して調べていく必要があります。多くの場合は口腔内や唾液腺の問題であることが多いですが、今回は、この症状と神経系の関連をお話しします。

 フェノバルビタール反応性唾液腺症という疾患名をご存じでしょうか?当疾患は、人と犬で報告されていて、今のところ病態が明らかになっていない疾患です。症状は、食欲不振、流涎、悪心、吐出、嘔吐、ゲップ、必発ではないが両側性の唾液腺腫脹が認められることもあり、一般的な制吐剤や抗菌薬、胃粘膜保護薬にも反応しないが、抗てんかん薬であるフェノバルビタールを投与することで症状が改善することが判明しています。このことと、過去の報告では、一部の症例において、脳波でてんかん発作様波形が見られたことから、唾液の分泌の調節を担っている箇所の一部である"大脳辺縁系"における「焦点性てんかん発作」の型の一部あるいはそれに関連があると言われています。また、末梢自律神経性機能不全も疑われています。このように本疾患はフェノバルビタールの投与によって症状が改善するというシンプルなものであるが、「脳神経」というものの複雑性により病態が明らかに解明されていない疾患であります。まずは気持ち悪い、吐き気、口が痛いなどの症状を引き起こす原因疾患を除外した上で、内服の投与を検討すべきだと思われます。

R I

短頭種気道症候群の手術は暑くなる前がお勧めです。

23年04月02日

今年に入ってから短頭種気道症候群の手術がとても増えています。興奮すると失神する、暑くないのに熱射病という危険な状態での手術もありました。ブルドック、パグ、フレンチブルドックのような犬種は気道の通りが悪いため年齢が進むにつれて問題を起し易くなります。熱射病をおこしたり気管の狭窄をまねいたり、運動不耐性、失神、ゆくゆくは寿命に強く関わる病気です。鼻がペッチャンコのほうがかわいいということで品種改良をされているのですが、そのせいで外鼻腔狭窄、軟口蓋過長、喉頭小嚢の外反、気管低形成、喉頭虚脱、扁桃肥大が起こりやすくなっています。いびきをかく、おならをよくする、呼吸音がうるさい、呼吸困難などの症状がある場合は要注意です。年齢が高くなると手術をしても回復できないばあいもあり、時期的には若い時期が好ましく、4歳までにおこなうことが強く勧められています。短頭種を飼ってられる方はよく観察していただき該当するようなことがあれば手術も検討していただくことをお勧めいたします。

S.S  上写真:ファームプレス犬の診療のためのインフオームドコンセントアトラスより引用、下写真:左側が術前の鼻孔右側が術後の鼻孔

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新型コロナウイルスはペットにも感染するか

23年03月30日

人における新型コロナウイルス感染症の初発は201912月のことです。早いようで人類とこの感染症の付き合いは今年で4年目に入ます。COVID-19は感染症としての呼称であり、COVID-19の病原体の名称はSARS-CoV-2です。同じコロナウイルス科に属し20022003年に猛威を振るったSARS現在もアラビア半島で犠牲者を生んでいるMERS病原体と近縁にあたります。SARS-CoV-2の起源はキクガシラコウモリの体内で変異したウイルスがハクビシンに感染し、ハクビシンからさらに人へ感染が広がったことであるとされています。

 SARS-CoV-2はアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)を受容体として結合し、宿主の細胞に感染します。ACE2はあらゆる哺乳類が共通して保有する酵素であり、人ではほぼ全身の細胞に発現しています。ACE2がコロナウイルス粒子とどれだけ結合しやすいかは動物種によって差があります。ネコ科動物がSARS-CoV-2への感受性が高いとされるのはこのためです。フェレットは猫よりもさらに感受性が高いとされ、わずか1000個のウイルス粒子で感染が成立するといわれています。

家庭犬でSARS-Cov2に感染したという報告は海外でいくつもあがっていますが、感染した犬が明確な症状を示したという報告はありません。一方、人から猫へ伝播した思われる例は国内でも発生しています。昨年は北海道のとある家庭の飼い猫においてデルタ株への感染と発症が確認されましたこの猫の飼い主である家族もデルタ株に感染していました。猫が示した症状はくしゃみや鼻汁、目の充血でしたこの症例では呼吸器症状に対する一般的な治療で一定の効果が得られたそうです。

コロナ犬猫.JPG重要なポイントは、人から犬猫に感染することはあっても、その逆はないということです。また、猫がSARS-CoV-2に感染した場合、ウイルスを排出する期間は約1週間とされています。人のウイルス排出期間が約3週間とされ、人の中和抗体保有率と猫の中和抗体保有率が相関していると報告があります。気をつけることがあるとすればペットと触れ合う前後の手洗いなど至極一般的な衛生管理です。また、猫の場合は人にウイルスをうつすことはなくとも外出した際に野生動物にウイルスをうつすかもしれません。野生動物に蔓延し変異を遂げたウイルスが回り回ってまた人間に伝播する可能性もないとは言い切れません。よって猫の場合は完全室内飼育が推奨されます。 S.R.

参考資料:『SARS-CoV-2について 1.新型コロナウイルスの総論~犬や猫に何がおこっているのか~ 2.新型コロナの猫感染全国調査・・・2020年時点では猫がどの程度感染していたか?』(動物臨床医学31(3)83-88,2022)

犬にも花粉症ってあるの?

23年03月22日

 寒さも和らいできて春の訪れを感じるようになってきて、花粉症の症状が気になり始めた人も多いのではないでしょうか?早い人では2月ごろからくしゃみや鼻づまり、目の痒みといった症状に悩まされている人も出てきます。そんなつらいアレルギー疾患、花粉症は実は人間だけではなく、犬にもあることをご存じでしょうか?

花粉症とは、花粉によって生じるアレルギー疾患のことを言います。犬の場合、お散歩やお出かけなど、外に出る機会もありますので、どうしても花粉を浴びてしまいます。また、飼い主さんが持ち帰ってくる花粉で症状を起こすことがあります。しかし、人のように大衆的な病気ではありません。多少の症状で過度に花粉症を心配する必要はありませんが、犬は人のように自分で症状を訴えることはできませんので、飼い主さんが気付いて、対策をしてあげることが大切です。

犬の花粉症での主な症状は、実はくしゃみや鼻水のような鼻炎の症状よりも、皮膚のかゆみや発疹などが一般的です。また、頻度は不明ですが、花粉による喘息の発症も報告されています。

花粉症の原因となるアレルゲンは、犬では正確なデータはそろっていません。しかし、可能性のあるものとして、スギ花粉やブタクサの花粉などが挙げられます。動物病院ではアレルギー検査を行うこともできますので、花粉症を疑うときは、こうした検査も有効です。

血液を用いて調べることが出来るので採血だけで調べることが出来ます。アレルギー検査はスギやブタクサだけでなくハウスダスト中のダニや環境中のアレルゲンにどれだけ反応しやすいか調べることが出来ます。

花粉症の治療は基本的に人と同様、根本的に治療することが出来ないので「対症療法」がメインになります。皮膚の痒みなどの症状を抑えるために、ステロイドや抗ヒスタミン薬が使用されます。

犬に掻いたらダメと言ってもやめてくれません。掻くと炎症が広がりさらに痒くなるので、エリザベスカラーや洋服の着用で悪化を防ぐ場合もあります。

しかし、最も大事な対処法は、アレルギー反応が出ないように予防することです。犬のための花粉症対策を紹介します。

・花粉の飛散が多い時間の散歩や外出を控える

・散歩の跡は愛犬の身体を拭いてあげる

・ブラッシングはこまめにしてあげる

・シャンプーの頻度を増やす

・飼い主さんが帰宅した際、花粉を家の中に持ち込まないようにする(家に入る前に花粉を払う、花粉がつきにくい服を着るようにするなど)

・家の中の掃除はいつも以上に念入りに

花粉症は人でも辛いですが、ワンちゃんもじつは痒がっている場合があります。春先や秋に限って痒みがひどくなるときは一度病院にかかり、出来ればアレルギー検査をして調べていくことをオススメします。

過ごしやすい時期になってきたので気持ちよく過ごせるようにしてあげましょう

Y.N.

オスの不妊治療

23年03月13日

精子が精祖細胞から発育し精液に現れるまでに55~70日かかります。オスの不妊症は精巣炎や前立腺炎などが原因になっている場合があり、根治させてから再検査までにこの間隔をあける必要があります。この間隔を繁殖活動休止することが重要な補助療法になり、またストレス、温度、繁殖への使用過多といった一時的な精細管へのダメージに対しても必要な治療法になります。したがって乏精子症や無精子症が永久的かどうかを断言する前には最初の検査から3~6か月後に再検査してからになります。K.Y

犬における胆嚢粘液嚢腫

23年03月05日

春になりフィラリアの予防シーズンが近づいてきました。多くのワンちゃんにフィラリア検査と一緒に健康診断を受けていただいています。この健康診断で血液検査の異常値を指摘されたワンちゃんもいるのではないでしょうか?今回はワンちゃんでしばしばみられる胆嚢の病気をひとつご紹介します。

胆嚢粘液嚢腫(たんのうねんえきのうしゅ)という病気をご存知ですか?人における胆嚢疾患では胆石症という病気が多いようですが、ワンちゃんではムチンという粘性物質が胆嚢内に過剰に蓄積することによって生じる胆嚢粘液嚢腫という病気がしばしばみられます。胆嚢内に過剰に蓄積したムチンは胆管にも蓄積して胆汁の流れを阻害します。また、胆嚢が過度に拡張すると血流を圧迫し、胆嚢壁あるいは胆管が壊死・破裂し、内容物がお腹の中に流出することで胆汁性腹膜炎を引き起こします。胆汁性腹膜炎は胆嚢粘液嚢腫が引き起こす最も緊急性が高い病態であり、外科的な治療が必須になります。

胆嚢粘液嚢腫の診断には超音波検査いわゆるエコー検査が最も有用であるとされています。下の画像のように胆嚢の断面像が「キウイフルーツ」様の切り口に見えるのが典型的とされています。しかし実際には、病気の進行度によってさまざまなバリエーションの超音波検査画像があり、治療介入すべきかの判断に苦慮する場合もあります。最近の研究では超音波画像によって6つの病期・タイプに分類できるのではないかと報告されています。しかしながら、6つの分類と臨床徴候の有無や胆嚢破裂の有無に明らかな関連性が認められなかったとの報告もあります。この病気の多くは慢性経過をとり、無症状である期間も長いですが、重篤な合併症を引き起こすリスクもあるため病期の推定は重要になると考えます。超音波検査による診断精度の向上のため、さらなる研究・検討が望まれます。

また、胆嚢粘液嚢腫を起こしやすい基礎疾患としては脂質代謝異常症(高コレステロール血症・高脂血症)、甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症などが知られています。また血液検査では通常、ALPやGPTなどの肝酵素値の上昇が認められます。春の健康診断でこれらの様な異常値が見られたワンちゃんは超音波検査などの精査をおすすめします。

D.N

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尿検査したいけど、どうおしっこ取ろう??

23年02月28日

 当院に診察へ来られた患者さんはもう耳にタコができるほどお伝えしていると思いますが、動物の健康状態を知るには尿検査はとても重要な検査です。早期の腎障害や尿路出血、糖尿病、糸球体疾患など尿検査によって分かる病気はとても多く、血液検査や画像検査などを併せて診断するためのツールになります。検査に適した尿は正しく採れている必要があり、最も診断精度が高いのは膀胱穿刺(お腹から膀胱に針を刺して採る方法)による尿ですが、毎回実施するのもどうかと思いますので、やはりご自宅で採尿できるに越したことはないと考えます。

 ワンちゃんの場合は比較的シンプルです。お散歩ではなるべく砂やゴミが混入しないように採尿していただきたいです。ペットシーツなどを使用している子はペットシーツをひっくり返し撥水加工になっている面を上にして、ワンちゃんが排尿したところを素早く回収していただければ採尿が可能かと思います。

 猫ちゃんの採尿は多くの飼い主さんの悩みの種です。猫ちゃんはとても警戒心が強いため、尿を採ろうと身構えて待っているとなかなか排尿してくれないものです。あまり警戒しない猫ちゃんなら、排尿している最中にトレイなどをそっとお尻の下にいれて直接採る方法がうまくいくかもしれません。あるいはワンちゃん同様ペットシーツを裏返しにしたり、サランラップを猫砂の上に敷く方法は試しやすい方法かと思います(猫砂は少なくしておいてください)。あとはシステムトイレを使用する方法もあります。上段の猫砂を通過して下段のペットシーツに吸収されるものですが、下段のペットシーツを取り除いておくと尿が溜まるため採尿できます。

 尿は時間経過とともに変性してしまうため、なるべく速やかに病院で検査してください。すぐに持っていけない場合は冷蔵庫に保管してください。尿検査は繰り返し実施して経過を追っていく場合もありますので、うまく採れるように練習していきたいですね。

T.S.

トムとジェリー症候群とは

23年02月13日

動物が出てくるアニメや映画は数多くあると思いますが、特に有名なアニメ作品で言うと「トムとジェリー」をご存知の方は多いかと思います。体が大きく短気な猫のトムと、体は小さいが賢くトムを欺くネズミのジェリーのドタバタ劇を描いた作品です。

とても面白く、見たことない方は一度ご覧いただけたらと思いますが、この二人の名前がついた病名があるのをご存知でしょうか?

通称「トムとジェリー症候群」と言い、正式には「猫聴覚原生反射性発作」と呼ばれるものです。ネズミの発する超音波域の声が猫に発作を誘発させてしまうというものです。実際には声ではなく、それと同等の高音が原因で発作が出てしまうというものです。特に誘発された代表的な音としてはアルミニウムを丸める音や金属製のスプーンと陶器が当たる音が挙げられます。それらにより一時的に発作が出るので、対策としては条件となる音を出さない、続くようなら抗てんかん薬を飲むなどの方法があります。

好発品種が認められるため、遺伝性を強く考えられますが、明確な要因はわかっていません。

更なる研究が期待されます。

H.F

運動障害(不随意運動)から見た異常な行動について

23年02月05日

 不随意運動とは、自分の意志で制御ができる運動器に認められる様々な動きの総称であり、ヒト分野有名なものはパーキンソン病があげられる。この疾患は大脳皮質、基底核、小脳などのおおまかな動きから、細かい動きを制御する箇所での関与が認められており、治療薬などがあるが、動物ではそのほとんどが解明されていない。今回は動物で見られる不随意運動の中の一部を紹介します。

①キャバリアの発作性転倒:主に四肢の硬直を示して、そのまま起立困難になります。その見た目から"deer stalking"と形容されます。発作と勘違いされがちですが、症状は運動やストレスがかかった状況がトリガーとなり発生し、この間意識レベルは正常です。この点が発作との鑑別点になります。発症年齢は3~7か月齢で一般的にトリガーとなる状況を避けることで抑えることが出来、度合いによりますが治療は必要無いです。

②ドーベルマンの舞踏病:ドーベルマンに認められる、立つときに足踏みするように交互に足を屈曲-挙上する動きをする疾患です。患肢のニューロパチーやミオパチーが原因と言われています。

③特発性頭部振戦(head bobbing):発作性転倒と同様に、運動やストレスなどがトリガーとなって発症する頭部の震えで、その特徴は張り子の虎のように頭部がリズミカルにブルブルと震えると言う点です。同様に発症中の意識レベルは正常で、飼い主とも目を合わせることが出来たり、歩いたりもします。多くは2歳未満のボクサーやフレンチブルドッグ、ドーベルマンなどで認められます。一般的に治療は必要なく、発症したら安静にしてストレスをとりのぞくことで治まります。どうしても止まらない、コントロールが不良の場合はレベチラセタムを使用します。

④高齢犬のよる振戦:高齢の日本犬やテリア系の犬種では起立時において、後ろ足がプルプル震えるというのが特徴であります。座っているときや、寝ているとき症状は出ません。

具体的なメカニズムは分かっておらず、放っておいても何ら問題はありません。

他にも、ジストニアやミオクローヌスなど様々な運動障害が存在する。運動障害の診断には、具体的な症状の前後の様子、トリガー因子はないか?症状が出ている部位を確認したり、MRIにおいての形態学的な異常や脳波の異常を確認して、発作との違いを確認することが大事になってきます。発作かな?それともこの不随意運動?と思ったら、来院の際に動画を持参頂くと診断に早く行き着くかもしれません。

RI

猫ちゃんの冬場の飲水量に注意していますか?

23年01月22日

 冬場は喉が渇きにくくなるため飲水量が減少してしまいます。飲水量が減少すると尿も濃く少なくなるため、結石ができやすくなったり、膀胱炎を悪化させる恐れが出てきます。こういったおしっこの病気のリスクを下げるためには、十分な量の水分を摂取させ、尿を薄くしてあげる必要があります。具体的には次の6つの方法が効果的です。

・ウェットフードに変える

・常に新鮮な水を与える

・愛猫が飲みたくなるようなボウルを選ぶ

・水飲み場の数を増やす

・流れる水飲み場を作る

・水に味をつける

もともとイエネコの祖先でもあるリビアヤマネコは獲物から水分を摂取していたため、「食事の水分を増やす」のがもっとも手っ取り早い方法です。ある研究によるとウェットフードを与えると尿比重が下がり(尿が薄くなり)、尿量が増えることが分かっています。また、猫が問題なく食べてくれる場合には、ドライフードに水を入れてふやかして与える方法でもいいでしょう。

 

常に新鮮な水を与えることも大切です。私たち人間もずっと放置されたコップの水を飲むのはちょっと嫌ですよね。少なくとも朝・夕の1日2回は水を好感してあげるのがいいでしょう。多くの猫ちゃんは冷たい水を嫌うので、水を交換するときは常温のお水、もしくはぬるま湯を入れてあげてください。特に冬場は注意が必要です。

 

水入れの数を増やすことも大切です。多くの人がフードの隣にお水を置いているのではないでしょうか?猫は本来、食事と水は別々に摂る動物でした。というのも、狩りが成功し、食事にありついたときに必ずしも近くに飲み水があるとは限らなかったのです。中には水にフードのにおいが移るのを嫌がる猫ちゃんもいます。フードのそば以外にも何か所か追加で水飲み場を増やしてあげましょう。寝室など人の出入りが少ない静かな落ち着いた場所や猫がリラックスできる場所がおすすめです。逆ににぎやかな場所や猫用トイレの近くは避けましょう。

蛇口などから流れる水が好きな場合は、流れる自動給水器を導入するのもいいかもしれません。とはいっても、実際に流れのある自動給水器が飲水量を増やすのかどうか調べた研究を見てみると、猫の好みによる影響が非常に大きくどの猫でも飲水量を増やすことは難しかったようです。こればかりは試してみるしかありませんが、水飲みのバリエーションを増やすという意味で導入しても悪いことはないでしょう。ただし掃除をさぼるとカビやぬめりが発生し、不衛生なので注意が必要です。また、食器台や脚付きのボウルを使って水を飲みやすい高さにしてあげたり、ちゅーるを溶いて味付きのスープを作ってあげるのもおすすめですよ。 

自宅で飲水したくなるような環境を整え、病気の予防を心がけましょう。

Y.N

臍の緒

23年01月13日

出産時母犬は子犬の臍帯を噛み切ります。帝王切開では絹糸で結紮してお返ししています。このとき残っている臍帯の長さが2cmほど残っているのが適切です。自宅での出産の際、臍帯を結紮しなければならない場合はこの長さを参考にしてください。この長さは短すぎても長すぎてもいけません。いずれの場合も臍ヘルニアや臍炎の原因になります。臍炎は母犬が繰り返しなめ続けることでも発生する場合があります。臍炎の多くは臍静脈炎でありそこから肝膿瘍に発展してしまい、その場合予後が非常に悪いです。これらは大型犬のほうがリスクが高いのでお気を付けください。 K.Y

ねこの痛みを検知するAIアプリ

23年01月05日

動物は「痛み」を言葉に出して訴えることができません。特にネコちゃんは痛みを隠す傾向にあります。そのため、病院内において獣医師や看護師が猫の疼痛を評価することは非常に難しい問題です。これまで、猫の急性痛および慢性痛を評価する様々な方法が検討されてきましたが、そのほとんどが主観的評価によるもので、評価に差が生じることもしばしばみられました。

最近、動物のいたみ研究会というグループが、猫の表情をAIで分析することで、猫が「いたみを抱えている顔」をしているかどうかを判別できるツールを開発しました。このアプリの開発のために約6,000枚の猫の顔写真データを収集し、猫がいたみを抱えている表情をスコア化できるようにAIに学習させ、未知の画像に対しても、類似の特徴から猫がいたみを抱えているか否かを高精度で推定できるアプリの開発に成功したようです。

このアプリでは、自分の猫の顔写真を撮影するか、過去に撮影した写真をアップロードするだけで、数秒以内に「いたみの表情」があるか否かが表示されるようです。とても簡単に利用でき、遊び感覚で使用することができます。

現状では、急性痛に重きをおいて開発しているため、慢性痛のある猫での精度は検証中です。今後、自宅での評価のみならず、獣医療現場においても疼痛評価や治療経過のモニタリングにも使用できることが期待されます。飼い主さまに使用してもらえるバージョンがすでに公開されているようなので、ぜひ興味のある方は試してみてはいかがでしょうか。

D.N.