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最近のエントリー

異物の誤食

13年01月28日

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小型犬がパイナップルのピックを間違って食べてしまったということで内視鏡の検査をさせてもらいました。胃の中を見てびっくり。どんぐりが入っていました。小さなボールやどんぐりなどは胃の出口や十二指腸で詰まると激しい嘔吐、低K血症をおこし非常に大変な症状になることが多く注意が必要です。
ピックによる胃の炎症がありましたが、幸いにピックもどんぐりも無事摘出できて事なきをえました。
画像はバスケット鉗子でどんぐりを把持しているところです。もう注意してたべないでね。

犬の腎臓腫瘍摘出

13年01月26日

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シェパードのオスがお腹が腫れてきたとのことで来院されました。お腹の中には大きな塊があります。
CTで確認したところ巨大な腎腫瘍であることがわかりました。腎臓の基部で後大動脈、後大静脈という大きな血管とくっついていて剥離が困難なためかなり危険性の高い手術です。相当量の出血が予測される手術で輸血をしながら5時間以上もかかりましたが無事に摘出できました。術後管理もたいへんで局員が寝ずの番をしましたが、頑張ってくれました。今は元気に過ごしてくれています。組織検査の結果が腎細胞癌で3㎏ありました。COX-2阻害剤やサプリメント、抗がん剤などを使用していかに長生きさせてあげることができるか飼い主様と相談しながら治療していきたいと思います。

局所温熱療法

13年01月22日

写真は口腔内腫瘍に局所温熱療法を実施した犬の1例です。
温熱療法とは腫瘍細胞が正常細胞に比べて熱に弱いという性質を利用した治療法です。45℃以上の温熱を人為的に患部に加えることにより、腫瘍細胞のアポトーシスを誘発させます。
医学領域では、放射線療法や化学療法の治療効果を高めるために併用され、脳腫瘍、食道がん、乳がん、大腸がん、軟部組織腫瘍などで実施されています。
獣医領域では、体表および口腔内、鼻腔内など発生した腫瘍に対して縮小効果や止血効果が期待できる新たな緩和的治療法として近年注目されています。

犬の精子の凍結

13年01月12日

犬でも、最近人工授精が積極的に行われるようになってきました。人工授精のメリットは、受胎率の向上や、希少な品種、健康で優秀な雄の遺伝子の世界中での移動です。人工授精に用いられる精子は、その場で採取する方法や、冷蔵で運ばれる方法、凍結で運ばれる方法があります。
凍結する場合は、まず精子を雄から採取します。その後精子の活性を損なわないような、精子のエネルギー源が入っている溶液に混ぜて冷蔵し、精子の凍結が出来る施設に届けます。
施設に届いた精子は、その数や異常な精子の割合を確認し、凍結保存が可能か調べます。問題ない精子は、その精子の活性を損なわないように慎重に管理しながら、解凍した時にその活性が極端に落ちないように溶液を混ぜながら徐々に冷やしていきます。いよいよ液体窒素で冷やす直前に精子は、ビーズサイズの塊か、ストローに入れられて、一気に凍結されます。その後、その精子は、凍結されたまま管理されます。
凍結精子の作製、保管は「World Dogs Asia」でおこなっております。
ご興味がございましたらhttp://worlddogsasia.com/aboutus.htmまで、お問い合わせください。

常同障害

13年01月08日

 明確な目的を持たずに同じ行動が繰り返されている状態を常同行動といいます。動物の飼育環境が適切でない場合にみられることがわかっており、展示動物や産業動物の飼育現場ではよく観察されています。伴侶動物においても常同行動は頻繁に観察されており、犬ではずっと尾を追い続ける、前肢をずっとなめる等、猫ではずっと布をしゃぶっている、横腹を舐め続けている等、鳥ではずっと羽を抜き続けて胸部の羽がなくなってしまう等が比較的多い常同行動です。
 常同行動のうち、目的もなく日常の生活が送れないくらい異常な行動を行っている状態を常同障害といいます。常同障害は①葛藤、②不安、③フラストレーション等が原因となり引き起こされると考えられています。人を含む動物は葛藤状態、フラストレーションを感じる状況や不安を感じる状況になると、その高揚した気持ちを落ち着かせようと「葛藤行動」を起こします。人においては貧乏ゆすりや爪を噛むなど、動物においては過剰なグルーミングや繰り返し尾を追うなどが挙げられます。このような葛藤行動はストレスとなる状況が落ち着けばなくなる行動ですが、フラストレーションが長く続いたり、大きなストレスが一気にかかったりすると葛藤行動から常同障害に発展します。葛藤行動が常同障害になると、脳内糖代謝や神経伝達物質のバランスが崩れた状態になっていることがわかっており、少しの刺激や脳が何らかの刺激を受けて興奮すると、目的のない繰り返し行動がすぐに発現してしまう状態となります。常同障害にまで発展してしまった場合は環境を少し改善するだけでは動物の行動を制御することができないため、必要であれば薬物療法を含む治療が必要となります。
 常同障害の治療については、個々の症例に応じて異なるため、病院までご相談下さい。