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最近のエントリー

今年の猫の甲状腺機能亢進症の最高齢手術

17年06月28日

「甲状腺機能亢進症の猫ちゃんの手術はいくつまでできますか?」とよく聞かれます。「状態次第ですね」とお答えするわけですが、「12歳をこえると手術をするとあぶないのではないですか?」「インターネットをみると手術はとっても危険て書いてますよ。」ていわれます。たしかに高齢になればリスクも上がりますし、ご心配ですよね。私が甲状腺の手術をたくさん行うようになったわけは、以前飼っていた猫が、甲状腺機能亢進症になったからです。まだまだめずらしいころで手術の報告例もありません。片側摘出、両側摘出で、本邦でははじめて学会報告をした猫です。片側摘出後、数年たって反対側にも異常が出ました。その頃は両側を取った報告がなくて両側摘出すると死んじゃうよと業界ではいわれていました。薬でコントロールしようとしましたが甲状腺の数値は良いのですが症状は心臓も腎臓もどんどん悪化し痩せこけてしまいました。このままでは死んでしまうと、まもなく17歳でしたがおもいきって手術をしました。以前ブログで甲状腺手術前、手術後の写真を出したことがありますがびっくりするほど元気でまるまる太りました。この経験があってから高齢でも状態が許す限りは手術をお勧めしています。今まで幸いに1頭も大変になったことはありません。ところで今回の猫ちゃんは17歳11か月でした。両側の肥大なので期間をあけてもう1度手術を行う予定です。ご理解いただけた飼い主様に感謝いたします。RIMG5019.JPG

抗甲状腺薬に皮膚アレルギーの猫ちゃん・甲状腺機能亢進症の手術

17年06月16日

抗甲状腺を内服すると激しい痒みがでる猫ちゃんがいます。早ければ1週間くらいから遅く出る猫で1ヵ月くらいたってから副作用として出てきます。顔面に集中して出ることが多くとてもがまんできないようです。今まで当院で5頭来院しすべて外科手術を行いました。今回の症例の猫ちゃんはまだ7歳の男の子です。近医で診断していただきましたが内服するとすぐに皮膚アレルギー病変がでてきたようです。手術は基本的には甲状腺値を下げてから行うことが安全であると考えられており、y/dに食事変更をしていただいたところ幸いに数値が低下し、手術となりました。手術は上皮小体の機能をいかに残せるかどうかがポイントです。一般的に上皮小体は腹側側の頭側から甲状腺の中央部にかけて前方より血管が入り込んだ状態で認められるものですが、今回の症例は背側の尾側にあり、血管が認めにくい状態であり、他の位置には認められませんでした。上皮小体を甲状腺から分離切込みを入れて筋肉内に埋め込みました。写真の小さな丸いものが上皮小体です。1カ月くらいすると機能してくれると言われています。無事今日退院しました。

RIMG4969.JPGRIMG4975.JPG

乳房炎

17年06月11日

ワンちゃんは出産後乳腺に感染を起こし、乳房炎を起こすことがあります。症状は程度によってさまざまで乳腺に熱感・硬結・疼痛があらわれ、重症では発熱・食欲不振・脱水・育児の放棄がみられます。子犬が痩せてきて気づいたという例もあります。

治療は抗生剤による感染症の治療になりますが、泌乳期には栄養と水分の必要量が増えており、母体の支持療法に力をいれてあげなければなりません。そして抗生剤の選択も授乳中ですから仔犬への移行も考えて選択しなければなりません。重症例では外科手術が必要な場合もあります。

仔犬は1日に10%ぐらい体重が増えなければいけません。いち早く母親がしっかり母乳を与えられるようにしっかりとした治療と、仔犬の体重増加が足りない場合は人口哺乳もしましょう。K.Y

猫の網膜疾患

17年06月04日

 猫の眼の病気のうち、網膜に関する病気は頻度として3番目くらいの多さになります。犬でよく起こる網膜疾患といえば遺伝的なものが多くあげられますが、逆に猫では遺伝的なものは少なく、多くは全身性の代謝異常や薬や食事による2次的な網膜変性がほとんどです。症状としてはいきなりの失明や散瞳があり、眼内出血も認められることがあります。

 その原因としては高血圧性網膜症や、手作り食を与えている猫ちゃんでのタウリン不足が挙げられますが、ほとんどは前者になります。通常は網膜の小動脈の血圧は一定に保たれていることがほとんどですが、眼球の血管は体の中で最も細いために、高血圧になると1番初めにダメージを受けてしまいます。高血圧によって網膜血管の内皮細胞と血管平滑筋がダメージを受けると、血漿や赤血球が血管の外に漏れてしまい、その結果網膜剥離が起きてしまい失明の原因となります。

 治療としてはまず原因となる病気をどうにか似なければいけませんが、網膜剥離が回復しても、視力が戻ることはまれです。高齢の猫ちゃんでは高血圧の原因になる腎臓病や甲状腺の病気が多くみられることからも、定期的な血液検査と血圧の検査はおすすめです。

S.A