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最近のエントリー

持続発情

12年12月25日

雌犬において、発情前期、発情期は平均9日持続します。
しかし、まれに発情が長い場合があり、正常でも1ヵ月間も続く雌犬もいます。
ただ40日を超えて続く場合は持続発情という病気であると評価され治療が必要になります。
原因は通常、機能的な卵胞嚢腫、卵巣腫瘍などの卵巣の異常でおこります。
偽発情である場合もあり、実際に発情しているのか、膣の細胞診で確認を行ったうえで、排卵を誘起させるホルモン剤を投与します。もし、ホルモン剤で排卵がおこれば、通常7-10日で発情は終了します。
それでも反応しないような場合には、受胎能はあまり期待できません。
また、持続的なエストロジェンホルモンによる刺激は、子宮や骨髄に有害となるため、排卵をさせた後、子宮卵巣を摘出することが必要になってきます。
生理がなかなか終わらない場合、この持続発情の可能性も考えられますが、そのほか子宮、膣などの炎症や腫瘍なども考えられますので、ご相談ください

猫の慢性口内炎治療:臼歯総抜歯

12年12月18日

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猫の口内炎でお悩みではないですか?猫エイズを筆頭に慢性口内炎は大変な苦痛と長期にわたる治療を受けなければならなくなるいやな病気です。
切歯、犬歯を除く歯をすべて抜歯することで多くの口内炎が楽になりす。
サプリメント、ステロイド、消炎鎮痛剤、抗生物質、インターフェロン、半導体レーザー、He-Neレーザー
などなど慢性口内炎の治療法はありますが、やはり効果がもっとも期待できるものに総抜歯と並行してCO2レーザーを当てる方法です。臼歯がなくなることにより細菌の増殖を抑制し、慢性炎症の口腔粘膜をCO2レーザーで焼き、新しいきれいな粘膜を形成させます。この1か月の間に4頭ほど続けて臼歯総抜歯をしておりますが飼い主様の評価はすべて高いものです。
12月18日の症例写真です。抜歯後は多くの症例で内服は必要なくなります。
サプリメントも新しいよいものがでてきており従来に比べ効果のたかいものがでてきました。ただ体の影響のある副腎皮質ホルモン(ステロイド)でコントロールすることはできるだけ避けたいものです。
それでも痛みのコントロールが困難な場合検討していただく価値のある手術です。

寒い季節には椎間板ヘルニアの来院が増えます。

12年12月17日

DSC09946.JPG
寒くなってきましたが皆さん元気でお過ごしですか。
不思議なことですが寒くなると椎間板ヘルニア症例がふえます。
先日より何頭も続けて椎間板ヘルニアが来院しています。写真は12月11日の手術写真です。
椎間板ヘルニアの治癒率(歩行可能になる率)は医学の進歩によりかなり上昇しております。
歩けなくなってしまった重度椎間板ヘルニアの治癒率を上げるためには
①CTまたはMRIの撮影は必須になります。以前はレントゲンの脊髄造影検査から判断した時代がありましたが今になると椎間板物質の脱出部位の状態の評価もあいまいで、アプローチ部位手術方法にもかかわってくるため手術による成功率も低くなってしまいます。
②マイクロエンジンまたは超音波手術器具(キューサー)などの高度医療機器を使用し、繊細で高度な手術を行うことにより椎間板物質を完全に取り出すことが可能になります。
③リハビリが必要です。痛覚をなくし足先をつねっても感じないような症例には、特に鍼、電気による刺激治療が有効です。
④重度の椎間板ヘルニアが起こった時におこなう薬剤治療も以前とは変化してきました。以前はデキサメサゾンやプレドニゾロンのようなステロイドが使用されていましたが、現在は好中球エラスターゼ阻害薬やコハク酸メチルプレドニゾロンのようなフリーラジカル産生抑制剤を使用し、脊髄の保護を行うことにより回復率をあげることに重点をおいています。
⑤脊髄損傷がおおきく、回復が困難な場合は幹細胞による再生医療を行います。
①~⑤をおこなうことにより来院時歩行できなくなった重症例(グレードⅢ~V)の症例において、当院では90%をはるかに超える治癒率が得られております。なお重症症例の回復率は時間との争いになることが多いのでお早目の診察がお勧めされます。

両側甲状腺癌摘出手術

12年12月14日


12月4日犬の両側甲状腺癌の手術をしました。犬ではまれに両側甲状腺癌があります。
ビーグルで多いようですが、今回は中型の雑種犬でした。
CTを撮って検査をしましたが幸いに肺などに転移は今のところ認められられませんでした。
甲状腺の上に隣接して上皮小体があります。甲状腺両側摘出では上皮小体の機能低下をおこし、低Caになってしまうことがありますが、経過は良好でした。病理検査は甲状腺濾胞腺癌でした。
とってもいい子でおとなしく、長生きしてくれることを期待しています。

汎骨炎

12年12月11日

 汎骨炎は骨髄内が海綿骨に侵襲され、骨内膜と骨膜に新生骨を形成する疾患です。大型犬種のオスにおける発生が多く(80%)、2歳未満の若い犬に多発します。
症状は疼痛と慢性の移動性跛行で、患肢の骨を深く強めに触ると非常に痛がります。
レントゲン写真を撮影すると骨髄腔内にX腺不透過の白い部分が斑状または虫食い状に認められ、後期の症例では骨皮質の肥厚へと変化します。ただし、初期には症状だけが認められ、X線検査上の異常があらわれていないこともあります。
治療としては、痛み止めを服用したり、跛行が重度の場合は運動制限をするなどの保存療法がとられます。
汎骨炎は犬の成長期骨関節疾患の中で最も予後が良好であると言われており、自然寛解します。したがって、成長期の間は再発することもありますが、成長期後には完治する病気です。

女性自身:幹細胞移植で走れるようになった!記事掲載

12年12月01日

幹細胞移植の治療と岸上獣医科病院岸上義弘院長の記事が掲載されました・
iPS細胞がノーベル賞により全世界的に評価され、そのことにより再度幹細胞を使った再生医療が注目を集めています。
岸上先生は京都大学の再生医療チームで研究され動物再生医療の先駆者でもあり、当院院長の師匠岸上正義先生の息子様で兄弟弟子になります。J-ARMとの提携で無菌室や細胞培養施設を用い、私どもの南が丘動物病院でも同様の治療を行って成果をあげております。
記事の中でもでておりますように決断の時期が重要になることも多く、椎間板ヘルニアで下半身不随になった場合でも1か月~1か月半までに治療決断したほうが治癒率が高いのでご注意を。