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最近のエントリー

デグーに多い病気

21年07月25日

デグーの病気

小型齧歯類はハムスターを筆頭に人気のペットですが、近年ではデグーがその懐きやすさから人気が上昇しており、当院でも診察機会が増えました。チリの山岳地帯が原産で、知能が高くコミュニケーションが好きなことからとても飼いやすいようです。今回はそんなデグーさんによく見られる病気をご紹介します。

・不正咬合

齧歯類に最も多くみられる歯の異常はデグーでもよく見られます。もともとは山岳地帯に生息しているため草などの粗食が中心で、草を噛むことで歯が適度に削れます。牧草が少なかったりケージの金網を噛むことで不正咬合が生じます。またデグーは口がとても小さく臼歯の観察が難しいですが、食欲不振の場合には一番に不正咬合を考えます。

・皮膚病

特に若いデグーさんでは皮膚糸状菌症というカビによる皮膚炎がみられます。衛生環境が悪い場合やストレス下でも発症しやすいようなので、ケージはこまめに掃除してあげてください。治療は抗真菌薬の経口投与になりますが、治るのに時間がかかることもあります。

・尾抜け

皮膚はとても弱いために不適切な扱い、つまりしっぽをつかんで引っ張るとトカゲのしっぽが切れるようにしっぽの皮膚がずる剥けになり抜けてしまいます。見た目はとても痛々しく、重症ではしっぽを切る必要があります。

上記の病気はいずれも適切な飼い方をすることで多くは予防することができます。デグーさんに関わらず、動物は正しい知識をもって飼育することが大事です。デグーは齧歯類の中では比較的長生きするので、上手に飼って長生きさせてあげたいですね。

デグー2.jpg

T.S.

動物医療と天気の関係性

21年07月20日

ヒト医療において病と天気の関係性はある程度証明されてきました。

"今日の天気"だけで直接病気になるわけでは無く、間接的に精神的な疾患やストレスの引き金にはなりうると考えられています。

イヌネコなど動物医療も同様です。

晴れの日に気持ちよさそうに日光浴をしていますよね。 それに伴って身体の中では幸せホルモンのドーパミンが出ているとされています。

あるイヌの報告では暴風雨不安症の症例のために治療を行い、良好な結果が得られたものもあります。また、寒い日には飲水量が減って尿石症が増えたりといった報告もあります。

近い将来、天気と病気との関係性が確立されると病気の早期発見や早期治療に繋がる一歩になるかもしれませんね。

H.F

この1カ月で猫の甲状腺機能亢進症の手術が4頭ありました。

21年07月20日

15歳10ヵ月、6歳5カ月、13歳、11歳4カ月とそれぞれ年齢は様々ですがすべて経過順調です。高血圧で視力をなくしている猫ちゃん、内服が合わず副作用がひどくて甲状腺値も下げることが困難のまま手術を行った猫ちゃん、甲状腺の位置が少しおかしかった猫ちゃん、内服により凝固系異常を強く起こしていた猫ちゃんといろいろでしたが皆さん無事手術を終えて順調です。地元のかたもおられますが京都、富山、大阪から連れてこられ飼い主様も猫ちゃんもご苦労様でした。すべて抗甲状腺薬をやめることができ内服も必要なくなっています。両側摘出した猫ちゃんもカルシウム値も大丈夫です。みんな長生きしてね。内服療法が合わない方、治療から解放されたい方、長生きさせてあげたい方、遠慮なしにご相談くださいね。写真は日本ではじめて両側摘出し論文にした私の飼い猫です。 S.S

2001年みーこ.jpg

熱中症にご注意を

21年07月02日

今年も暑い夏が来ましたね。タイトルにもあるように今回は熱中症についてです。我々ヒトでは、毎年のように聞くと思いますし、周りの人や自分自身が熱中症になったと言う経験はあると思います。この、ヒトではおなじみの熱中症ですが、ワンちゃんにも起こりうる疾患です。よく起こる事象としては高温多湿下での長時間の曝露(放置や物に挟まって動けない)、熱放散能の低下、過度の運動などで起こります。また、条件が揃えば夏だけではなく、冬にも起こうるので要注意です。例えば、暖房が効いた部屋で放置、物と物の間に挟まって身動きが取れなくなった、シャンプー後のドライヤーの熱風で熱中症になってしまったという事例もあります。

熱中症になると、人間と同じく、高体温と脱水によって循環障害、それに伴い全身諸臓器の障害に繋がります。時間経過が長いと、その分だけ臓器へのダメージが進行してしまいます。ダメージを受けやすいのは腎臓、消化管粘膜等で、ひどい場合は中枢神経にもダメージを負ってしまい、発作を起こして来院される場合もあります。腎臓も傷害がすすんでしまえば命の危険がありますし、消化管粘膜が傷害を受けると、そこから腸内細菌が血管内に侵入し、全身性炎症反応症候群(S I R S)に発展してしまうケースもあるので、なかなか治療が難しくなってしまいます。治療は、体温下げるために冷却、輸液療法による循環の改善、抗生剤治療、抗血栓療法など、対症療法が中心になります。

とあるデータでは、熱中症が原因で"緊急受診"する犬の死亡率は50%程度にも及び、やはり急性腎不全や血栓形成、発作を起こしている、低血糖、病院受診の遅延(症状出てから1時間以上経っている)などが見られる症例が死亡する確率が高くなるようです。このように、一口に熱中症と言っても、死亡するケースも少なくない疾患です。

この時期は気温も上昇してしまうので、できるだけワンちゃんを涼しいところで居させてあげる、少し暑いところでしんどそうにしていたら早めの受診をお勧めするとともに、来院前から涼しいところで濡れたタオルで冷却、扇風機や冷房で冷たい風を送る、できるだけ水を多く飲ませるなどの対応をしてください。

R.I