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最近のエントリー

ホルネル症候群

11年01月25日

ホルネル症候群とは、交感神経支配の障害によって、
縮瞳・瞬膜の突出・上眼瞼の下垂・眼球陥没が症状として現れます。
ホルネル症候群は、障害がある部位によって、
一次性(中枢性)、二次性(胸部、頸部)、三次性(頭部、中耳)と分かれます。
そのため、病変部の特定を検査によって行い、その部位における異常(腫瘍や感染、外傷など)を精査する必要があります。また、甲状腺機能不全は、ホルネル症候群を含む神経症状をしめすことがあるので、その可能性も考慮しなければなりません。
原因が不明なことも多くあり、ゴールデンレトリーバーでは、原因不明性のものに罹ることが多いとされています。
原因不明性のホルネル症候群は、8週間ほどで回復することが多いと言われています。

先天性泌尿器疾患

11年01月18日

先天性の泌尿器疾患は、腎臓、尿管、膀胱に分類されます。

 腎臓の異常は、①低形成と欠損。両側では、新生児期に、生命維持が出来ませんが、片側では、健常側の腎臓は代償性肥大を生じて臨床徴候なく成長します。犬での報告は多いですが、猫での報告は少ないです。②遊走腎と腎逸所症。腎臓が本来ある場所にないのですが、このことによる臨床症状は、通常ありません。③嚢胞腎。犬で時折見られ、様々な大きさを持つ単独あるいは多発性の嚢胞が腎表面や実質内に存在します。多発性嚢胞は先天的なものと考えられています。腎臓の機能していない場合があります。④水腎症。腎盂から下部の尿路に通過障害がある場合尿が排泄されず、腎実質を圧迫して萎縮をもたらします。症状は徐々に臨床症状をが進行します。⑤家族性腎症 血統的に腎不全に移行しやすく多くの品種が知られています。

 尿管 異所性尿管 尿管の出口が本来の場所ではなく、尿道、膀胱頸部 子宮角 膣などに開口したもので、特に雌犬の発生が多く、猫でも報告されています。 尿失禁や尿路感染症の原因になります。異所性尿管は、片側や両側性に発生して尿管拡張や水腎症を併発している場合があります。

 膀胱 尿膜管遺残症と尿膜管嚢胞 小さな膀胱憩室を作ることがあります。この先天的な疾患では、持続的な難治性膀胱感染症の原因になると考えられています。また猫の下部泌尿器症候群の原因の一つとして注目されています。またまれに生後臍との交通が残っており、臍部から尿が滴下する事があります。

 尿道 尿道破裂や瘻管を形成している事があります。

他に膣前庭狭窄といった、膣の異常や、尿路結石症、泌尿器の解剖学的異常をともなった、尿失禁などがあります。

輸入凍結精液による犬の人工授精

11年01月17日

いままでは優秀な海外の血統を導入するためには雌犬を海外に送り交配させるか、妊娠した雌犬を輸入するか、高価な種雄を輸入するしかありませんでした。
しかし、2008年に凍結精液による人工授精が日本ケンネルクラブ(JKC)によって認められたことにより日本における状況もようやく変わりました。犬の輸送なしに精子のみを送ることにより交配が可能になったのです。
凍結精液を海外から輸入することは、犬種の改良や遺伝疾患の撲滅に貢献するところも多く、自然交配によるブルセラ症などの感染症の予防にも役立つため、これからますます利用されるものと期待されております。
当院では、2008年にICSB(インターナショナル・キャナイン・シーメン・バンク)の認定繁殖工学獣医師を取得しております。
凍結精液による人工授精を行うためには血液中のプロゲステロンの値を計測し、排卵日をきっちりと評価したうえでの交配が必要となります。いったん凍結された精子は解凍された際、生存率および活動性も低下しているため子宮内に直接注入することがお勧めされます。子宮内注入には次の二つの方法があります。
手術による人工授精
子宮内に直接精子を注入します。すべての精子が人工的に子宮内に留まるためもっとも効率のよい方法です。精子数が少ない新鮮精液の人工授精にも有用です。
内視鏡を使った人工授精
お腹にメスをいれることなしに人工授精用の特殊内視鏡を使うことにより膣から子宮頸管をつうじて子宮内に精子を注入いたします。
新鮮精液やチルド精液による人工授精には、バルーンカテーテルを使用した人工授精がお勧めになります。凍結精液には不向きですが、膣内人工授精としてストロー法などに比べ高い受胎率を得ることが可能です。

凍結精液による人工授精以外のご相談にも対処いたします。