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最近のエントリー

猫の赤ちゃんが母乳を飲んだあとに体調を崩したら

16年08月28日

猫の赤ちゃんは生まれて初めての母乳を飲んだときに、激しい貧血を起こす場合があります。これは新生子同種溶血といって、血液型によって引き起こされる溶血性の貧血かもしれません。

猫の血液型はABAB型の血液型に分けられます。またB型の猫はA型の赤血球を壊してしまう強い抗体をもっています。そこで母親がB型で赤ちゃんがAまたはAB型の場合、母乳に含まれる抗体のせいで赤ちゃんの赤血球が壊されてしまうのです。すぐに気がついて人工乳に切り替えてあげることができれば救命できる場合もありますが、生後数時間でおこることなので救命が難しい場合が多いです。日本にいる猫の血液型はほとんどがA型でこの病気がおこることも少ないですが、飼われている猫ちゃんの子供を増やす際には血液型を確認してみてはいかがでしょうか。

K.Y

猫の尿スプレー行動

16年08月21日

最近オーナー様とお話ししていると、この子どこやかしこでおしっこするようになったというお言葉をよく聞きます。

猫のスプレー行動は一般的には猫のテリトリーを確立するためや自分の存在のアピールのための行動です。そのため、新しい猫ちゃんを家に迎え入れた時など他の猫の存在がその行動を増やしたりします。その他、汚れたトイレや他の猫が使用したトイレ、いつもよりも長い飼い主の不在など、環境の変化にも関連があります。しかし、そういった生理的精神的なもののみに起因する場合もあれば、尿路疾患、神経疾患など病気が隠れている可能性もあります。

例えば、尿石症で石が尿管をきずつけて血尿、痛みから我慢してしまうことに起因したり、膀胱炎であれば残尿感によって何回もトイレを繰り返すことにつながります。また神経疾患では馬尾症候群(脊髄から尻尾の方に伸びた神経の異常)によって排尿や排便に繋がる神経が傷害されている可能性もあります。

家族のおしっこの仕方であれおかしいな?とおもったら一度ご来院ください。

K.S

猫の食欲不振

16年08月14日

猫の食欲不振を判断するうえで猫の食に対するいくつかの特性を知っておく必要があります。猫は犬と違って群れをなさず、単独で狩りをして食餌をとる動物です。そのため猫は自分より小さなネズミのような動物しかとらえられず、捕食したネズミから1日のエネルギー量を満たすためには昼夜問わず何回も狩りを繰り返して、何匹ものネズミを捕らえる必要がありました。そういった食性の名残からか、おうちで一緒に暮らす猫ちゃんも与えられた食事を一度に食べてしまわず、何回にも分けて食べることが多いのではないでしょうか。そのため猫が本当にごはんを食べないのかどうかを判断するには一回当たりに食べている量ではなく一日にどれだけ食べているかで判断する必要があります。  また猫は食にうるさい動物でたとえ空腹であっても気に入らないものは食べないということもよくあります。特に子猫の時から同じものばかり食べていた猫でそういった傾向が強く、反対に子猫の時からいろんなものを食べていた元野良猫さんなんかでは成猫になってもなんでも食べる傾向があります。なので子猫の時にどういったごはんを食べていたかや最近ごはんの種類を変えていないかなども思い返す必要があります。  その他、猫は酸味を嫌う動物であるため、時間がたち酸化してしまったドライフードには全く口をつけないということもよくあります。そういった場合には古くなったドライフードは捨てて新しいフードに変えてあげると急に食べるようになったりします。  猫が本当にしんどくてごはんを食べないのかあるいは単に猫の気まぐれでごはんをたべないのかを判断するのは難しいですが以上のような点に注意して観察してみてください。 また猫がごはんを食べない状態が何日も続くと体が脂肪をエネルギー源として使おうとするため脂肪が肝臓に蓄積し肝リピドーシスといった病気を招いてしまうこともあります。特に太った猫でそういった傾向が強いため、2日以上続けてごはんを食べないというようなことがあれば早めにご相談ください。 Y.I

犬ジステンパーウイルス感染症

16年08月07日

犬ジステンパーウイルスはパラミクソウイルス科モルビリウイルス属のウイルスであり、非常に伝染力が強く、イヌ科、イタチ科、アライグマ科の動物に感染します。

ウイルスは鼻汁、尿などすべての分泌物もしくは排泄物中に排泄され、飛沫または塵埃で感染し、体内に侵入したウイルスは扁桃や気管支リンパ節で増殖し、その後全身に蔓延します。

急性症状が現れるまでの期間はウイルス感染後1418日程度であり、まず69日後に一過性の発熱が見られます。その後二度目の発熱が起こり、鼻炎による粘液膿性鼻汁、結膜炎を伴う粘液膿性眼脂、元気消失、食欲不振などの症状が見られます。さらには咳、呼吸困難などの呼吸器症状、嘔吐、下痢などの消化器症状、痙攣発作、運動異常などの神経症状を伴うこともあります。また、ウイルス感染に伴う眼科異常として前ブドウ膜炎、脈絡網膜炎、視神経炎、角結膜炎なども起こりえます。その他にハードパッドと呼ばれる鼻鏡面や足蹠の角化亢進などの症状も見られます。

治療はウイルス自体に作用する薬は存在せず、対症療法が中心となります。免疫を強く抑制するため、二次性細菌感染症の予防として広域抗菌薬が使用されます。

犬ジステンパーウイルス感染症は感染した犬の死亡率は50%と言われています。ワクチンによる予防が有効とされているため、飼い主様にはやはり毎年のワクチン接種には忘れずに来ていただきたいと思っております。

D.T