南が丘動物通信トップ

カレンダー

2013年02月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28    

最近のエントリー

ウサギの切歯不正咬合

13年02月26日

 ウサギの切歯不正咬合の最大の原因は外傷です。ケージなどをかじり、それを手前に強く引く動作が切歯の変位を引き起こしたり、顔面を強打して切歯が変位したりすることにより切歯が互いに磨耗できず、切歯が過長となります。
 その他の原因としては先天的素因、感染、老化などもあります。また、1本または複数の切歯が抜けたり、折れたりすることにより不正咬合が始まることもあります。
初期には無症状ですが、次第に食物が噛み切れなくなり、進行して歯が口蓋や口唇などに刺さると疼痛のため流涎が出たりします。採食困難のため削痩する個体もいます。
切歯の不正咬合は、無症状なうちに発見されても通常治癒は望めませんが、定期的な処置(切歯の切断)を行えばそれなりの状態を保つことができます。また、若いウサギでごく初期に発見されれば矯正が可能な場合もあります。歯髄が伸びすぎている個体については切歯の抜歯も考慮されます。

上腕骨骨折

13年02月21日


上腕骨骨折の子猫がやってきました。腕はブラブラで明らかに折れている様子です。
外に出る子なので交通事故だと思われました。プレートと螺子を使用して骨折の手術を行いました。
術後はいたそうでしたがようやく前足を使い始めてくれました。

皮膚糸状菌症

13年02月21日

皮膚糸状菌症は、動物における皮膚疾患の一つです。その病巣のできる場所によって皮膚の表面に出来る表在性皮膚真菌症と、深くに出来る深在性皮膚真菌症に大別されます。圧倒的に多いのは、表在性皮膚真菌症です。表在性皮膚真菌症には、皮膚糸状菌症とマラセチア症があります。
 皮膚糸状菌症の原因菌は犬でも猫でも、Microsporum canisという菌の感染例が多いです。主に感染した動物との接触感染が原因ですが、汚染された土壌などの環境から感染することもあります。動物病院に来院された動物のうち、外猫であった子猫に多いと実感しています。他に多頭飼育や、免疫機能の衰えた動物でも発症することがあります。
 マラセチア症は、日々の診療でよく遭遇する疾患です。猫はほとんど遭遇することはないのですが、犬では本当に多い疾患です。マラセチアは酵母菌で、もともとは皮膚の常在菌です。このマラセチアが異常に繁殖する結果、発赤や、痒み、角質の肥厚や、ふけが出てきます。またマラセチアが異常に増えると独特の匂いがします。 このマラセチア症は単独で繁殖というより、皮膚の状態や、動物側の甲状腺機能低下症や、アレルギーといった原因があって治療をして改善しても繰り返すことが多い疾患です。
 深部に出来る真菌症は遭遇することはほとんどない稀な疾患です。しかしながら深刻な症状になることもあるので常に考えておく必要がある疾患です。
主に日和見感染でおこる疾患です。クリプトコッカス症やカンジタ症などがあり、症状としては、皮膚が赤くなったり糜爛が生じたりまた症例によっては腫瘤が形成されたりします。
 

大腿骨遠位端骨折

13年02月15日


両側大腿骨遠位端骨折のコーギーの子が来ました。家から脱走して発見されたら骨折していたようです。大腿骨の遠位端骨折は成長板の部分での剥離骨折です。難易度が非常に高い骨折となりますが岸上正義先生考案の3点支持法にて両側を手術致しました。2日後から歩行して今現在はまったく普通に歩いているようです。脱走した時に交通事故にあったかな?くれぐれも気をつけてください。

椎間板物質

13年02月12日


椎間板ヘルニアにおいてハンセンⅠ型椎間板脱出の場合硬化した椎間板物質がとれる場合がよくあります。昨日のダックスフントのグレード4の椎間板ヘルニアの手術症例の椎間板物質です。鋭匙のようなもので掻きだしていますが写真の骨を削って造窓した左下に写っているものが椎間板物質です。
よく皆さんから飛び出した椎間板物質はどんなものなの?と言う質問をうけますが少しはわかりますでしょうか。発症してから24時間以上経ってからの転院症例だったので経過が心配でしたが今日排尿も自力でしてくれました。また元気に歩けるように患者さん、飼い主さんと一緒に、治療・リハビリに頑張っていきたいと思います。

縫合糸肉芽腫

13年02月05日

 縫合糸肉芽腫は、外科手術の際に用いた縫合糸に対して生体が異物反応を起こして形成されます。原因として、縫合糸の材質や縫合糸による化学刺激、術後の二次感染が挙げられていますが、詳細な原因や病態は未だ不明です。
 外科手術に用いられる様々な縫合糸の中で最も肉芽腫を引き起こしやすいとされているのが絹糸です。絹糸はその素材が動物性タンパク質から成ることや、マルチフィラメント(編み糸)であることから異物反応を起こしやすいと言われています。ただし、すべての種類の縫合糸において縫合糸肉芽腫の形成が報告されており、必ずしも絹糸だけが肉芽腫の原因となるわけではないようです。
好発犬種としてミニチュア・ダックスフントが挙げられており、遺伝的要因の関与も疑われています。
 臨床症状として皮膚や皮下織に紅斑や隆起、結節、びらん、潰瘍が認められ、漿液や膿が出てくることもあります。したがって皮膚疾患や腫瘍性疾患との鑑別が必要で、手術歴や犬種なども頭において診断していくことが大切です。治療は主に外科的切除です。抗生物質による化膿のコントロールや免疫抑制剤が使用される場合もあります。ただ、切除によって完治するとは限らず、再発したり皮下織炎や脂肪織炎を発症する例もあるため注意が必要です。
 現在、超音波メスや電気メス、シーリングシステムなど縫合糸を使う場面を減らせるような設備が発達してきてはいるものの、糸を全く使用せずに手術を行うことは困難です。そのため、できるだけ縫合糸肉芽腫の発生を防ぐためには上記のような設備を用いたり、反応を起こしにくい糸を選択するなどの対策が必要です。