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最近のエントリー

鼻汁・鼻出血

12年05月29日

動物が、鼻水や鼻血を出している場合、一般的に考えられる感染症以外にも、様々な原因が考えられます。
猫では、へルペスウイルスなどによるウイルス感染症による鼻水がよく認められます。
また、アレルギーや異物などによっても同症状が出てくることがあります。
ダックスフンドでは、慢性化しやすいリンパ球性プラズマ細胞性鼻炎という特殊な鼻炎を起こしてくることがおおいです。
そのほかには、歯肉炎、歯周炎によって歯根部へ炎症がおこり、骨を溶かして鼻腔内にまで炎症が波及し、鼻水、鼻血を起こしてくることがあります。
さらに、鼻腔の腫瘍でもおこってきます。
これらの鑑別には、レントゲン検査で診断がつかないことも多く、
その場合には、CT検査、鼻腔鏡検査、組織検査などが必要になります。
もちろん、原因によって、治療法が異なりますので、
ただの風邪かな?と思っても、早めにつれてきてあげてください。

犬の皮膚病におけるシャンプー療法

12年05月21日

皮膚病の原因によっては、シャンプー療法を併用することがあります。
シャンプーは水溶液であり、界面活性剤や、洗浄剤の他に様々な治療的、美容的成分が添加されています。洗浄は、皮膚表面から、落屑を取り除き、環境アレルゲンや細菌などの外部からの刺激を取り除き、毛穴を洗浄するのを助ける目的があります。
 細菌感染における治療では、殺菌効果のあるシャンプーを、落屑を取り除き殺菌数を減少させる為に使用します。また細菌感染性皮膚病を起こしやすい犬では、定期的なシャンプー使用が、予防的な効果を得られることがあります。
 マラセチア皮膚炎では、皮膚が肥厚したり、脂漏性疾患(脂っぽく)なっている事が多く、そのような場合では角質調整性シャンプーや、抗脂漏シャンプーを使い皮膚の厚みを正常に戻したり、皮脂産生の抑制、減少または導管の洗浄を助けます。
 アレルギー性による皮膚病の時は止痒効果のあるシャンプーがあります。
 またシャンプーの中には、必須脂肪酸や、皮膚病で失われている皮膚の保湿性を改善させる為に、保湿剤が含まれるものもあります。
以前は「犬はシャンプーをしてはいけない」と言われており、アメリカの獣医師の中でも1960年代は、そのように提言されていました。しかし現在では、シャンプー療法はかなり有効的な皮膚病の補助療法と認識されています。
 シャンプーの種類によっては、頻回のシャンプーは、皮膚の保湿性を減少させてしまうこともあります。しかし皮膚病を起こしてしまった皮膚には、適切なシャンプーを使用すれば、かなり有効的な補助治療となります。


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腸トリコモナス

12年05月15日

腸トリコモナス(Pentatrichomonas hominis)は大腸に寄生する寄生虫です。洋ナシ形の体をしており、鞭毛をもった原虫で、感染した動物の便の中で活発にクルクルと動き回っている様子が観察されます。
この原虫のはっきりとした病原性は確認されていませんが、仔犬や仔猫に下痢や粘液便を起こして発見されることが多いです。感染経路は経口感染で、多頭飼育されている動物において感染がみられることがありますが、実際は単頭飼いの仔犬や仔猫でも発見されています。
トリコモナス症の一般的な治療は、メトロニダゾールという抗トリコモナス薬を服用することです。耐性トリコモナスの場合は多剤を併用し、1~2ヶ月にわたる治療が必要なこともあります。また、感染している子の糞便から感染する病気なので、他に動物を飼っている場合は感染が広がらないように飼育環境を衛生的に保つことが重要です。
新しく仔犬や仔猫を家に招いたときは、是非検便を含む健康チェックをしましょう。
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腫瘍溶解症候群

12年05月01日

 腫瘍の治療開始後早期に、腫瘍細胞の急速な崩壊に伴い発症する、重篤な代謝異常を腫瘍溶解症候群といいます。急激に腫瘍が溶解するため腫瘍細胞に含まれる核酸、特にプリン体の血中濃度が上昇し、それを代謝しきれずに急性腎不全を起こします。その為、腫瘍の量が多く、治療に対する感受性が高い腫瘍でよく起こり、また、慢性肝疾患や腎疾患を持つ動物では発症のリスクが高くなります。
 ヒトでは尿酸が尿細管に沈着し急性腎不全を起こします。一方、犬では肝臓のウリカーゼ(尿酸酸化酵素)の働きにより尿酸をアラントイン(水溶性物質)に転換するため腎不全になりにくいと言われていますが、実際にはよく遭遇します。
 特にリンパ腫の治療早期に遭遇することが多くあります。リンパ腫は抗癌剤療法が非常に効果的な腫瘍の一つです。大きく腫大してたリンパ節が抗癌剤療法により小さくなった場合、その分、腫瘍溶解症候群のリスクが高くなりますの注意が必要です。