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最近のエントリー

犬の喉頭麻痺

15年07月26日

喉頭麻痺とは、吸気時における披裂軟骨の外転不全により気道が閉塞する疾患です。原因としては頚部腹側あるいは胸部頭側の外傷・炎症、腫瘍が半回喉頭神経に障害を与えることもあります。また、多発性神経症、免疫介在性疾患、内分泌疾患あるいは他の全身性疾患に伴って発現することもあります。しかし、原因が特定できない特発性のことが多いです。特発性の喉頭麻痺は大型犬種で多く、呼吸困難・ぜい鳴が認められます。喉頭麻痺は徐々に進行してきますが、運動、興奮、環境温度の上昇により代償機能が失われ、努力性呼吸が悪化し、気道内圧が陰圧になり、喉頭浮腫や炎症が起こり、さらに呼吸状態が悪化し、急性の呼吸困難に陥ります。呼吸困難を呈している場合は迅速な処置が必要になり、チアノーゼ、失神をして死亡する場合もあります。治療法としては喉頭形成術で呼吸が出来る程度の喉頭を常に開口した状態にする外科手術が必要となります。術後の合併症として最も多いのは誤嚥性肺炎で、喉頭を大きく開口はさせてしまうと起きやすいです。外科手術が出来ない場合には抗炎症量のプレドニゾロンとケージレストで喉頭および咽頭の浮腫を抑えて空気の流れを改善できる場合もあります。

このところだいぶ涼しくなってきましたが、中年以降の大型犬で努力性呼吸がひどい場合は暑さだけが原因でない可能性があるので早めの診察をお勧めします。

M.M.

網膜剥離

15年07月19日

網膜とは光を受ける細胞が存在し、視覚を保つために重要な組織です。暗所での視覚に関連する桿体細胞、明所での視覚に関連する錐体細胞などが存在します。網膜は10の細胞層が重なって構成されており、そのどこかの層が剥がれることで網膜剥離を生じ、視覚障害となってしまいます。

急性に盲目となることが多く、なにか他の病気に伴って生じることが多くなっています。原因として多いのは、高齢猫で見られる腎不全の合併症です。腎不全では全身性の高血圧になる事が多く、高血圧によって網膜剥離になります。血圧のコントロールと腎不全の管理によって視覚が戻る事も多いです。他には炎症性疾患に伴うものや頭を強く振ることでもなってしまいます。

網膜剥離眼の眼底は、はっきりと見えずに濁って膜状に見え、これが剥離した網膜です。眼科超音波検査でも剥離した網膜が、カモメが飛んでいるような画像として得られます。

治療法は原因疾患の治療は基本であり、血圧管理や眼圧降下剤、ステロイドなどを使用します。レーザー網膜光凝固術では浮いた網膜を凝固によってノリづけしていくような治療法です。

もちろん網膜剥離以外にも視覚障害をきたす病気はたくさんありますので、眼が見えていないのかなと思われるときがございましたらご相談ください。

T.S.

新しいノミダニ駆除剤が発売されます。

15年07月05日

新しいノミダニ駆除剤「ブラベクト錠」が7月中ごろに発売されます。こちらは従来のものに比べ持続期間が長くなっており、一度の服用で3ヵ月効果を発揮します。またチュアブルタイプになっており、お薬が嫌いな子にも飲ませやすく、スポットオンタイプのようなシャンプー制限もありません。最近では従来の成分に耐性をもったノミ・ダニやそれらが媒介するSFTSといった感染症が問題になっています。これを機に通年のノミダニ駆除もお考えになられてはいかがでしょうか。
K.Y.