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最近のエントリー

猫の糖尿病

15年02月22日

 猫の糖尿病はインスリン治療を必要とするインスリン依存性糖尿病(Ⅰ型糖尿病)と食事療法により 治療可能なインスリン非依存性糖尿病(Ⅱ型糖尿病)に分類される。
 原因は膵臓のランゲルハンス島におけるインスリン分泌の低下、不全やインスリンが作用する組織における抗インスリン因子の存在によっても発症する。抗インスリンの原因としては肥満や感染、膵炎などがその要因となると考えられている。
 発症は肥満した猫に多く、好発年齢は7~10歳、好発品種はシャムといわれている。
 症状は元気消失、多飲多尿、体重減少、嘔吐、脱水などがみられる。犬の糖尿病とは違い、多食や白内障となることは少ない。高血糖が進むとケトアシドーシス性の昏睡に陥り、重篤なものは死に至る危険性がある。
 治療は食事療法や経口血糖降下剤やインスリン投与による薬物療法が中心となる。

D.T

オゾン療法。

15年02月18日

ヨーロッパで人気のある治療にオゾン療法があります。
近年アメリカや日本でも非常に注目され治療をうける方が増えてきました。
当院でもかなりの数の治療例をこなしています。
自家血オゾン療法(血液クレンジング)、直腸内注入療法、局所内注入療法、局所塗布療法を行っています。直腸内注入療法はよく行われる治療です。オゾンガスを直腸よりチューブにて注入する方法でわずかな時間で効果が得られ動物の苦痛もほとんどありません。
癌、感染症、慢性腎不全、動脈閉塞性疾患、自己免疫性疾患、アトピー、脳神経退行性疾患、椎間板ヘルニア、膵炎を含む様々な疾患に効果があります。疾患だけでなく、ヒトではアンチエージング効果も期待できるため注目されています。老犬のボケ防止、健康維持の効果が高いため期待されています。副作用もなく効果が高いため安心して治療をうけることができます。
治療回数は1週間に1~2回が推奨されています。
費用の方が気になる方も多いと思います。当院ではオゾン療法の普及のためにも安価で提供できますよう勤めています。
癌、腫瘍、脳梗塞、膵炎など難治性疾患でお困りの方、お問い合わせください。

肛門周囲瘻

15年02月15日

 肛門周囲瘻(ろう)は、肛門の周辺の皮膚に瘻孔(ろうこう)と呼ばれる病的な穴(トンネル)を形成する病気です。軽度のうちは体表に穴が開く程度ですが、症状の進行に伴いろう孔とろう孔がつながったり、直腸や腹腔といった深部にまでろう孔が達したりすることもあります。形成されたろう孔は炎症を起こしやすく、再発を繰り返すこともあります。根本的な原因は不明ですが、解剖学的な要因や免疫反応の異常が関わっている可能性があります。また食物アレルギーも原因ではないかと考えられていますが、未だ立証はされていません。平均5-8歳の雄においてよくみられ、大型犬、特にジャーマン・シェパードにおける発症率が高いとされています。
 肛門周囲の痛み、肛門周囲を頻繁に舐める/噛む/床にこすりつける、 排便困難、便秘、下痢、肛門周辺に膿瘍/出血/悪臭のある分泌物がみられるといった症状が認められます。
 治療は、肛門周囲の衛生管理(患部の毛刈り、洗浄)、細菌の二次感染に対しては抗生物質の投与をおこないます。またステロイドの全身投与を単独あるいは免疫抑制剤であるシクロスポリンと併用することで寛解が得られます。タクロリムス軟膏の塗布も局所の長期的管理に有効です。これらの内科療法の他に、手術によって膿瘍や懐死した組織を切除する外科療法をおこなう場合もあります。
 日頃から犬の排便行動に注意を払う必要があります。肛門周辺を頻繁に舐める、肛門部を床や地面にすりつけようとする、なかなか便をしない、排便時痛がって鳴く、といったような様子が見られた場合は、当院までご相談下さい。
H.B.

犬の前十字靭帯断裂

15年02月08日

犬の前十字靭帯断裂は、後肢の跛行で比較的よく認められる病気です。外傷が原因になることもありますが、犬では、靭帯断裂の前に靭帯の変性が関与していることが多いです。したがって断裂することが多いのは運動量の激しい若齢よりも中高齢(5歳から7歳)とは言われています。ある報告では、2年以内に反対側の靭帯も損傷してしまう確率は30~40%であるそうです。また大型犬より小型犬のほうが、やや高齢で損傷を起こす傾向にあります。アメリカの報告では、大型の犬が多いので、前十字靭帯を切ってしまうことが多い犬種にロットワイラーや、ラブラドール、ゴールデンレトリバーなどを挙げておりますが、日々の診察の中で、ビーグルや柴犬も多い印象があります。断裂する原因は、まだ不明な点が多いのですが、遺伝や、免疫、形態的な問題が考えられています。ほかにも、肥満や膝蓋骨内方脱臼、内分泌因子も断裂を起こす原因とも考えられています。特に肥満は、約2倍、適正体重の犬と比較すると断裂しやすいようです。

また完全に断裂する場合と部分的に断裂する場合があります。診断は、触診やレントゲンで分かることも多いですが、関節鏡を用いないと分からないこともあります。

治療としては、外科手術ですが、体重や年齢、運動量などで手術方法がいくつかあります。

前十字靭帯の断裂は、治療しないと関節内がボロボロになっていきます。後肢を挙げる、肢をかばうなど、気になることがあればご相談ください。また普段から体重の管理には、こういう病気もありますので、気を付けていただきたいと思います。

                         M.N

肺血栓塞栓症

15年02月01日

 血栓には血管が破綻した時に出血を防ぐために生じる生理的な血栓と血管内や心臓内に出来る病的な血栓があります。肺血栓塞栓症は肺動脈に生じる病的な血栓ですが、血栓が比較的小さく量も少ない時は無症状の場合もありますが、肺血栓塞栓症の発症に気付かずに小さな血栓を放置すると塞栓の程度が重くなり、低酸素血症を発症し呼吸困難に陥って、最終的には右心不全、ショックなどによって死に至ります。したがって、発症を早期かつ的確に診断し、塞栓の程度を悪化させない治療を行うことが重要になります。肺血栓塞栓症の診断は、胸部X線検査、動脈血ガス分析、犬糸状虫検査、心臓超音波検査、D-dimer測定、トロンボエラストグラフィー、肺血管造影、ヘリカルコンピュータ断層撮影(CT)などの各種検査にて行いますが、診断が困難であることが少なくありません。よって肺血栓塞栓症では発症してからの対策を考えるのではなく、発症させないことが重要となります。肺血栓塞栓症の素因となる免疫介在性溶血性貧血、副腎皮質機能亢進症、糖尿病、肥満、膵炎、ネフローゼ症候群、悪性腫瘍、敗血症などの疾患がある場合には、各種検査により血液凝固亢進状態が疑われる場合には改善を目的とした抗血液凝固療法を実施し、必要に応じて抗血小板療法も合わせて行います。肺血栓塞栓は、軽度であれば通常特に治療を行わなくても形成されてから数時間のうちに溶解し始め、数日のうちに完全溶解します。しかし、血栓形成傾向が持続し続けると塞栓が形成し続けます。よって上記のような基礎疾患に対する治療を行うことが肺血栓塞栓症を治療することにもなり、また同時に予防することにもなります。 T.H.