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最近のエントリー

レプトスピラ症

10年04月27日

レプトスピラ症は運動性らせん菌であるLeptospiraceae科,Leptospira属の細菌感染によって引き起こされる疾患です。
小動物臨床では主に犬で問題となる疾患で、症状が急性に経過する場合では食欲不振、呼吸促迫、嘔吐、発熱、可視粘膜蒼白、頻脈(場合によっては皮膚の点状出血、鼻出血)などの激しい症状がみられ多くが死に至ります。慢性に経過する場合も上記の症状に加え、腎障害や肝障害がみられ尿毒症となり死亡することがあります。

レプトスピラは人や野生動物を含めた様々な動物種に感染する人獣共通感染症で、日本では届出伝染病に指定されています。この菌は感染動物の尿中に排泄され、水田、池、沼、水たまりなどの湿潤な環境で増殖し、動物の口や粘膜、傷口などから別の動物に感染します。三田市や篠山市は野生動物が多数生息するとともに、水田や池、沼も多く、全国的に見てもレプトスピラが多い地域の一つであることが分かっています。

レプトスピラは人にも感染し、発熱や溶血性黄疸を主徴とするワイル病を引き起こすので、愛犬のみならずご家族のためにも予防が重要です。普段の散歩で水田や池、沼、水たまりなどに入れないことを心がけるとともに、ワクチン接種による予防を行うことをお勧めします。

犬の脂質(コレステロール・中性脂肪)について

10年04月22日

犬の脂質(コレステロール・中性脂肪)について以前よりいろいろと研究されておりましたが、
最近多くの知見がえられ、脂質の代謝解析する検査機関もでてきました。
血清中の脂質:脂肪酸、リン脂質、コレステロール、トリグリセライド(中性脂肪)
血清中のリポ蛋白の種類は以下のように分けられます。
カイロミクロン(CM);中性脂肪8割 コレステロール1割 リン脂質1割
超低密度リポ蛋白(VLDL) 中性脂肪6割 コレステロール2割 リン脂質2割
低密度リポ蛋白(LDL) 中性脂肪5割 コレステロール2.5割 リン脂質2.5割  悪玉
高密度リポ蛋白(HDL) 中性脂肪0.5割 コレステロール4割 リン脂質5.5割  善玉
血液中のコレステロールや中性脂肪が異常に増加し、リポ蛋白のバランスがくずれ脂質代謝異常が
おきることがあります。
脂質代謝異常には疾患によるものと原発性のものがあります。 
疾患によるもの
一般的:甲状腺機能低下症・糖尿病・膵炎
 時々:副腎皮質機能亢進症、肝臓・胆嚢疾患、妊娠、薬物由来、肥満、ネフローゼ症候群、グラム陰性敗血症
原発性高脂質血症、特発性高脂血症
 ミニチュア・シュナウザー(高中性脂肪・特発性高カイロミクロン血症)
 シェットランド・シープドッグ(高コレステロール)
 など
高リポ蛋白血症の症状としては
癲癇様発作、急性の失明、眼球混濁、腹痛や下痢・嘔吐、膵炎、肝腫大がいわれており、また
中性脂肪が450以上あると膵炎の発生率が極端に増えるという報告もでてきております。
中性脂肪の異常値の評価はさまざまですが、250以上は明らかな上昇、450以上は治療が推奨、800以上は治療が強くすすめられると考えていただいてよいと思います。
治療は病気によって異なります。
高脂血症    脂質代謝改善薬
;r/d w/d メイベット DHA&EPA セサミンE
肝臓・胆嚢疾患 脂質代謝改善薬 強肝剤 利胆剤
;亜鉛・抗酸化・分岐鎖アミノ酸・l/d
糖尿病     インスリン 脂質代謝改善薬
;糖コントロール w/d
甲状腺機能低下症 甲状腺ホルモン 脂質代謝改善薬
        ;w/d
クッシング症候群 Op’-DDD、トリロスタン、脂質代謝改善薬
        ;w/d   
腎疾患      輸液、腹膜透析、ACE阻害薬、脂質代謝改善薬
        ;活性炭、k/d、CKW、腎臓サポート、腎臓アシスト
などです。
脂質に関しての研究はこれからさらにすすんでいくと考えられており、病気の早期発見や発症の予防に貢献していくと思われます。

猫の特発性巨大結腸症

10年04月20日

猫の特発性巨大結腸症

猫の巨大結腸症は、便秘の原因の1つとして挙げられます。
なかでも特発性のものは、根本的な治療が難しく、
手術(結腸切除術)を除いては
投薬や介助による補助療法が主体となります。

便が結腸内に大量に貯留してしまうと、便から水分が吸収され、
より硬くなり排出がさらに困難になります。
この状況が長く続くと、用手による機械的な便の排出が難しくなり、
ご家庭のみでの管理が現実的に不可能になりかねません。
結果的に来院回数も増えてしまい、飼い主様及び動物の負担も非常に大きくなります。

初期であれば、投薬や介助(比較的簡単な)により
良好に管理できる可能性が十分にありますので、
食餌を食べているのに便が出ない
など、疑わしい状況があれば、なるべく早くご来院なさる事をお勧めします。

犬の拡張型心筋症

10年04月13日

 犬の心筋症のうち最も発生が多いのが拡張型心筋症です。ドーベルマン・ピンシャー、ボクサー、ラブラドール・レトリーバー、ゴールデン・レトリーバー、グレート・デーン、アメリカン・コッカー・スパニエルなどによく認められることから、この疾患の発生の背景には遺伝の関与が強く疑われています。この他に、タウリン、L-カルニチンといった栄養素の欠乏やウイルス性心筋炎もこの疾患の発生に関与していると考えられています。発症年齢は若齢から老齢まで様々で、雄に多発する傾向があるといわれています。
症状としては、運動すると疲れやすい、呼吸が苦しそう、腹水がたまる等の心不全の症状が徐々に、若しくは急激に発現します。
 確定診断には聴診や心電図検査、血液検査、X線検査などでは困難であり、心エコー検査が必須となります。
治療には強心薬、血管拡張薬、利尿薬などが使用され、胸水や腹水の存在により呼吸状態が悪化している場合にはこれらの吸引が行われます。また、運動制限や塩分を控えた食事も心臓の負担を軽減させる効果があるため同時に行われます。
 心臓疾患全般に言えることですが、病状がかなり進行してから初めて症状が発現するため、心エコー検査も健康診断の一環として取り入れてみてはいかがでしょうか。

ネコノミの生活環

10年04月06日

 ノミは、哺乳類と鳥類に寄生する無翅類の昆虫で、2200種類以上認められていますが、一般的に犬や猫に非常に多くみられるノミはネコノミです。このノミはヒトや動物に、ノミアレルギー性皮膚炎を起こします。また、バルトネラ属の感染を媒介したり、条虫の中間宿主にもなります。
 ネコノミは、動物の毛に、0.5mmの卵を産みつけ、卵は、その後数時間以内に、地面に落下します。落下場所は、動物の休息場所に多いです。通常1日から6日で孵化して幼虫となり、落屑や、ノミ成虫の糞を食料とします。、幼虫は、カーペットの奥深くや木の葉の下土壌中に活発に動き回り、直接光を嫌がります。幼虫は、ノミの生活環の全段階の中で、環境変化の影響を受けやすく、乾燥は特に、弱く、相対湿度50%以下では致死的です。その後幼虫は、2週間程度で、周囲のゴミを集め、繭を作りさなぎになります。成長の速度は、餌の利用可能性と気候状態によって決まります。通常1、2週間で蛹が、完全に成長しますと、宿主を繭の中で、宿主が現れるのを待ちます。そして宿主の動物の二酸化炭素、断続的な光刺激、熱刺激によって、繭からノミ成虫が現れます。適切な宿主がいないときは、繭から出る前であれば、数週間から、数ヶ月生存が可能でありますが、繭から出て来たネコノミは、血液を摂取するまで、1、2週間しか生存出来ません。動物に寄生したネコノミは、その宿主から、強制的に落とされない限りは、一生その宿主から離れません。宿主に寄生して、すぐに吸血を始めます。、数時間以内に、雄と雌が交尾し、雌は24時間以内に産卵を始めます。また一方で、摂取された血液は、ノミの体内を急速に通過し、部分的に消化された状態で数分で便として排泄され、幼虫の重要な食料になります。ネコノミは通常1、2ヶ月で一生を終えます。
暖かい季節になり、ノミやダニが付きやすい季節となりました。 しっかりとした予防をぜひ、お勧めいたします。