南が丘動物通信トップ

カレンダー

2018年12月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

最近のエントリー

椎間板ヘルニアにご用心。

18年12月31日

椎間板ヘルニアに季節性なんてあるのと思いますが寒くなると急に症例が多くなります。先日より7頭が手術が推奨される状態で来院、そのうち1頭がグレード4(自力排尿はできないが痛覚はある)、4頭がGrede5(痛みも感じない)でした。ひどくなりやすい犬種としてはダックスフントが有名ですが、ほかの犬種でもなります。3~8歳が多発年齢で、あっという間に進行します。グレードや経過時間によって回復率や回復にかかる期間が変わりますので早期発見早期治療が大切です。重度な症例はCTやMRIで確定診断し手術を行います。程度によって治療法も変わります。以前はステロイド療法が行われていた時期がありますが、今は否定的な研究がほとんどです。狭いところに閉じ込めることなしに痛みを抑えると状態がかえって悪化するため推奨されていません。ビタミン剤、抗酸化作用薬、ATPなどの内科治療のほか、鍼、リハビリ、レーザー、オゾン療法、再生医療の幹細胞療法などの治療が行われ成果を上げています。異常をおこしたら、とくに立ち上がることができなければ早期の診療をお勧めいたします。手術の可能性がある場合は食事を抜いて来てくださいね。

RIMG6748.JPG

オメガ3脂肪酸

18年12月30日

 脂肪というとネガティブなイメージがつきがちですが、脂肪には良いものと悪いものがあります。実は脂肪は生体内では多様な形をとって存在しており、さまざまな働きをしています。細胞膜を構成していたりホルモンをつくったり、、ω3脂肪酸は特に体に良い作用をもつことから近年特に注目されています。

 ω3脂肪酸は8種類あり、有名なのは青魚に含まれるEPADHAです。人では血中悪玉コレステロールを低下させ、血圧低下効果があるといわれています。人では1日に1.6-2.4gの摂取が推奨されていますが、なかなかそれを達成するのが難しいようで、サプリメントなど様々な方法で摂取するよう意識づけられています。犬でもω3脂肪酸が有用とされ、血液サラサラ効果の他にも、抗炎症効果があることから各疾患の管理において有用でないかと検討されてきました。特に研究されているのは、皮膚病における止痒効果、関節炎における治療、免疫活性効果からの腫瘍抑制効果、認知症抑制効果などです。

 実際に私たちの日々の診察の中でも、関節炎で困った子たちに脂肪酸のサプリメントを与えると、症状が改善して元気に歩くようになったという声が多く届きます。痛み止めやキツいお薬を生涯に渡って投薬することは望ましくありませんが、こういったサプリメントですと、本来狙った目的以上の効果が出ることも期待できるため、私たちとしてもオススメしやすいものになっています。

T.S.

うさぎの盲腸食滞・停滞

18年12月23日

うさぎの消化器疾患の中でも特に多いとされているのが盲腸内での消化内容物の停滞や硬結と呼ばれる状態やガス貯留が挙げられます。

これらの発生原因は多種多様であり、繊維分不足などの食事要因は盲腸の動きを悪くする以外にも繊維質の発酵やエネルギー源となる揮発性脂肪酸(VFA)の生成にも関わります。

腹部の触診では膨れあがった盲腸や硬くなった糞塊を確認することができます。初期は無症状ですが、進行するとともに元気・食欲の低下や糞便が出なくなるといった症状が認められます。

レントゲン検査で把握することができ、主な治療は内科療法となっています。

草食動物は動かなくなると危険な状態であると言われています。早期発見できるよう日頃からよく観察しておきましょう

H.F

妊娠診断

18年12月09日

先日交配させていただきましたワンちゃんの妊娠の報告が届きました!!なかなか病院でおめでとうと言う機会も少ないので楽しみな瞬間でもあります。

受胎の確認はエコー検査で行っています。排卵から約30日で胎児が容易に確認することができます。母体も立位のままで確認できるのでこのタイミングがお勧めです。このエコー検査では残念ながら胎児の頭数は確定できません。そちらの確認は出産直前のレントゲン検査で行います。頭数もきちんと把握することで難産の診断、帝王切開が必要かの判断もより迅速にできるようになります。ですのでこの2つの検査をもってより安全に出産にのぞめます。

万全を期しても確実に受胎できるわけではないので期待に添えなかったオーナー様もいます。今後より精度が上がるよう精進します。ワンちゃんの人工授精に興味のあるかたご相談ください。

犬の認知症-徘徊行動-

18年12月02日

 高齢になったわんちゃんの認知症の症状の1つとして徘徊行動というものがあります。これは人の認知症と同様に、当てもなくうろうろしているのではなく本人からすれば目的があるものの、意識障害や認知機能障害から自分のいる場所がわからなくなったり、ストレスなどによってその行動パターンが現れていると考えられています。徘徊にはぐるぐる同じような場所を歩き回る常同行動、あちこち落ち着きなくあるく過活動、迷子になっている状態の見当識障害の3つがあります。

 認知症での徘徊行動はこのうちの迷子になっている状態である見当識障害から引き起こされてきます。このようなわんちゃんに対してまずは、酸化ストレスが脳の神経細胞にダメージをきたしていることがわかっているため、その酸化ストレスを軽減してあげられるような抗酸化成分を含むフードやサプリメントの使用がお勧めされます。他、お薬を使って落ち着かせてあげることもあります。

 オーナー様の介護の方法としては、徘徊しているわんちゃんに対して無理に止めようとするとストレスがかかってしまい、不安になってしまうことにより逆に行動が悪化することがあります。このようなわんちゃんではむしろ安全に歩き回れる環境を作ってあげることが問題を少なくしてあげられると考え、転んだりぶつかっても安全なように四方を柔らかい素材で囲ってあげ、本人は好きにうろうろさせてあげることが結果的に問題が少なくなるという報告がありますのでそういうような環境作りもご一考していただければどうでしょうか。

S.A