南が丘動物通信トップ

カレンダー

2016年03月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

最近のエントリー

中耳炎

16年03月27日

中耳炎は通常細菌感染を原因とした中耳の炎症を指し、犬のほとんどは外耳炎から波及していることに対して猫では耳管からの上行性感染でも起こりえます。症状としては外耳炎の症状に加えて、多量の滲出液、耳道の開口部周辺の乾燥した滲出物、開口時の疼痛などがみられ、神経症状である斜頸、運動失調、ホルネル症候群等が認められることもあります。

犬の中耳炎のほとんどは外耳炎から進行し、慢性外耳炎の50%以上で中耳炎も併発するという報告があります。このため中耳炎は外耳炎を伴うことが多く、臨床症状も外耳炎と類似します。このため、外耳炎が長期化した場合には中耳炎も疑っておくことが大事であり、またさらに中耳炎は内耳炎に波及することもあるので注意が必要である。波及といっても、細菌が直接内耳に感染を広げることもあれば、中耳で増殖した細菌のエンドトキシンが内耳に作用することもあります。

中耳炎の診断は臨床症状や耳鏡検査が大切ですが、重度な外耳炎では耳道がふさがっていることが多く、CT検査での評価が有効です。治療としては外耳炎の治療と並行して抗生剤投与による保存的な処置を行いますが、難しい場合には手術の適用になります。

中耳炎に移行しないためには外耳炎を慢性化させないことが大事になってきますので、耳を掻いていたり頭を振るような症状が見られた場合には一度ご来院ください。

S.A

好酸球性気管支肺疾患

16年03月20日

好酸球性気管支肺疾患は、肺好酸球増加症、好酸球性肺炎や好酸球性肺浸潤とも呼ばれ、肺にいくつも肉芽腫を形成する好酸球性肉芽腫症も含まれます。その病態生理はいまだ不明な部分も多いですが、犬糸状虫(フィラリア)症や肺寄生虫症、または寄生虫の肺への迷入などが主な原因と考えられており、そのような病態とは関係なく原因不明で特発性に発症することもあります。また何らかのアレルギーによる過敏性反応が示唆されています。

症状は緩徐に進行し、咳から運動不耐性、呼吸困難に陥ることもあります。血液検査では好中球や好酸球の増加がみられ、X線検査では気管支性および間質性陰影が認められ、気管支壁の肥厚や拡張が顕著な症例もあります。気管支肺胞洗浄液や鼻汁の細胞診でも好酸球が検出される場合もあります。原因究明のために、犬糸状虫に対する血液および血清学的検査やその他の寄生虫に対する検査(糞便検査など)を実施することもあります。

治療は寄生虫などによる原因が判明すればそれに対する駆虫剤を選択します。最終的に原因不明の場合はコルチコステロイドを免疫抑制量からはじめ、後に漸減していきます。投与方法は経口投与のほかに吸入療法を実施することもあります。その他の免疫抑制剤としてシクロスポリンの使用も報告されています。好酸球からの脱顆粒は気管支痙縮や非心原性肺水腫を引き起こすこともあるので、治療中の病態の変化にも注意が必要です。

H.B.

ヘビ咬傷

16年03月13日

徐々に暖かい日がみられるようになり、当院のある三田市でも様々な動物の活動が見られるようになってきました。三田市は少し住宅街から離れると、のどかな田園風景が広がっている自然の多い地域です。そういった土地柄もあり、毎年何例かはヘビ咬傷が発生します。

ヘビ毒は、ヘビの種類のよって様々ですが、主に問題となる毒ヘビは、本州ではマムシやヤマカガシ、奄美諸島以南ではハブです。マムシとハブはクサリヘビ科マムシ亜科に属するヘビで、これらのヘビ毒には血液毒性、血管毒性、壊死毒性があります。大量の赤血球や血漿の漏出を起こし、低血圧や出血、局所的浮腫を引き起こします。ヘビ毒の酵素活性が生体に及ぼす影響は2~5日続くとされているため、この期間は病巣の急激な広がりが認められることがあります。

ヘビ毒の急性期にはショック状態になり、虚脱していることも少なくありません。播種性血管内凝固(DIC)や急性腎不全に陥ることもあります。その他ヘビ毒の種類によっては心筋抑制因子による不整脈の誘発、神経毒による中枢神経障害や呼吸不全なども起こり得ます。抗毒素血清は特定のヘビに対するものであるため、合っているものを使用すれば効果的ですが、非常に高価であり、多くの場合は咬まれたヘビの種類がはっきりしていないため、使用は困難です。そのため急性期の治療としては、ヘビ毒が体内で中和、代謝され排出されるまで、輸液や抗菌薬の投与に加え、病態に応じた集中的な治療が必要となります。こういった急性期を乗り越えることが出来れば、予後は大幅に改善することが期待されますが、その後に広範な皮膚の潰瘍病変が問題となってきます。レーザー治療などにより皮膚の壊死を食い止めるようにしますが、壊死が起こってしまった場合には、外科的な処置も必要となります。

ヘビ毒に対する治療は早期に開始し、また病態に合わせて適切な治療を施すことが重要です。一般的にヘビの活動性は春と夏に上がり、ヘビ咬傷もこの季節に多く発生します。この時期の散歩時には、藪の中や低木の街路樹など足元が不明瞭なところに立ち入らせないようにするなど、飼い主様が注意して頂くことも重要です。

T.H.

犬はなぜ庭を掘るのか?

16年03月06日

犬が庭を掘る理由は様々です。

●暑さから逃れる

シベリアンハスキーやアラスカン・マラミュートなどの北方犬種は、夏場に体を冷やすために穴を掘る事があります。犬が暑さから穴を掘っているのであれば、日陰を作る、暑いときは家の中に入れてやる、プールを用意してやることが必要でしょう。

●ハンティング

テリアのように捕食性の強い犬種は、地中にいるネズミなどのげっ歯類に反応して穴を掘ることがあります。この場合、そうした動物を駆除しない限り穴掘り行動は続きます。また夢中になりすぎて穴から逃げてしまうこともあるので注意が必要です。

●分離不安

飼い主が留守中に家の中を破壊して回るような犬が、外に出されているときに穴を掘る場合は分離不安の可能性があります。嵐に対する恐怖症なども掘り返し行動の原因になります。この場合、問題行動の底にある心的疾患の治療が必要となります。

●交尾行動

避妊・去勢していない犬は発情期の間、交尾する相手を求めて庭を掘って逃げ出そうとします。運動・遊び

十分な運動、刺激、トレーニングの機械を与えられていない犬は、暇をつぶすために庭を掘ることがあります。この場合、犬と飼い主の関係の再構築に重点を置かなくてはいけません。十分な運動、遊びといった刺激を与えてやる、一人で遊べる魅力的なおもちゃを置いてやるといいかもしれません。しかし、「掘る」という行為そのものを楽しんでいるような場合は、庭に穴を掘っても良い場所を作ってやり、おやつの入ったおもちゃなど犬にとって魅力的なものをそこに埋めて犬が掘り出せるようにしてやると、所かまわず庭を掘ることはやめて決められた場所で掘るようになるでしょう。

このように、犬の行動には様々な理由があります。何気ない行動にも目を止めて心の声を聞いていきましょう。

M.M.