南が丘動物通信トップ

カレンダー

2012年03月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

最近のエントリー

皮膚の局所的療法

12年03月21日

皮膚病の局所的な療法は。薬剤を直接塗布するもので薬理学的に道理にかなっていますが、動物が舐めてしまうことも考えられます。しかし局所療法は、単独または、全身療法の補助的治療として行うことで、錠剤および注射による薬剤投与の用量または回数を減らす事が出来ます。
 シャンプーは、洗浄することで皮膚表面から、落屑を取り除き、環境アレルゲンや細菌などの外部からの刺激を除去し、毛穴を洗浄するのを助ける目的があります。また保湿や、止痒効果のある成分が含まれるシャンプーもあります。
 ワイプとは、シャンプーではなく、薬剤をコットンなどに含ませ患部に塗布する治療です。簡便でシャンプーを嫌がる症例では、塗布だけなので有効ですが、シャンプーのように残屑を除去できません。
 クリームや軟膏は、薬剤成分が入っています。広範囲な病変には大量に使用をしないといけませんので推奨されませんが、限局されている症例には有効です。
スプレーは、手軽に使用が可能でまた軟膏やクリームよりも,より広範囲な部位に塗布することが可能です。
ただし、クリームや軟膏、スプレーは、塗布後、動物が舐めないようにしばらく管理する必要があります。
 スポットオンは、背中に液体を垂らす治療で、全身に吸収されて徐々に皮膚に放出されるものと、皮膚全体に広がるが体内には吸収されないものがあります。従来「フロントライン」といったノミやダニの感染症の治療や予防で用いられて来ましたが、最近は、皮膚のバリア機能を高めるスポットオンの薬剤も開発されて来ています。

DSC09994.JPG

巨大食道症

12年03月13日

巨大食道症とは、食道全体が弛緩し拡張してしまっている病態です。
巨大食道症には原因不明のものと、食道の筋や神経の異常を伴う病気に続発する二次的なものとがあります。二次的な巨大食道症の原因となり得る疾患として、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、鉛中毒、アジソン症などがあります。
吐出が主な症状で、食道の筋が食べたものをうまく胃に運べないため未消化のフードを吐き戻します。食欲はあり、お腹は空いているので吐いたものを再び食べようとしたりもします。また、誤嚥性肺炎を起こしていると咳がみられます。
原因疾患が明らかな場合はそれを治療することによって症状が改善しますが、特発性のものや原発性のものの場合、薬等で治すことは困難です。注意しなければならないのは誤嚥性肺炎で、いかに肺炎を予防していくかが重要です。行なっていく治療としては、エレベーターフィーディングといって、立たせて食事をとらせ、重力によって食べ物が胃に入りやすいようにすることにより吐出を防ぐ方法がとられます。
写真はエレベーターフィーディングの様子です。
DSC09717.JPG

シリコン義眼(緑内障の治療)

12年03月01日

%E7%84%A1%E9%A1%8C.JPG

緑内障になり視力を失ってしまうことが残念ながらおこることがあります。失明しているにもかかわらず治療しなければ痛みが起こるため、眼圧をコントロールするために毎日点眼を繰り返していくことは飼い主さんにとっても犬にとっても大変な苦労と苦痛があり、さらに経済的にも負担のかかることです。シリコン義眼はそのような症例に行なわれる手術の1方法であり、術後のコントロール期間がすぎると特に点眼薬や内服薬も必要なくなり、治療から開放されます。手術は眼球の中の部分をシリコンボールと置き換え眼球の外側の部分をのこすという術式です。術後の見た目がどうなるか気にする方がいますが今まで手術をうけられて苦情をいただいたことはなくむしろ思っていたより気にならないという方が大勢を占めています。写真は義眼の症例です。犬を苦痛から開放してあげるためにもお勧めの手術です。