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猫ちゃんの冬場の飲水量に注意していますか?

23年01月22日

 冬場は喉が渇きにくくなるため飲水量が減少してしまいます。飲水量が減少すると尿も濃く少なくなるため、結石ができやすくなったり、膀胱炎を悪化させる恐れが出てきます。こういったおしっこの病気のリスクを下げるためには、十分な量の水分を摂取させ、尿を薄くしてあげる必要があります。具体的には次の6つの方法が効果的です。

・ウェットフードに変える

・常に新鮮な水を与える

・愛猫が飲みたくなるようなボウルを選ぶ

・水飲み場の数を増やす

・流れる水飲み場を作る

・水に味をつける

もともとイエネコの祖先でもあるリビアヤマネコは獲物から水分を摂取していたため、「食事の水分を増やす」のがもっとも手っ取り早い方法です。ある研究によるとウェットフードを与えると尿比重が下がり(尿が薄くなり)、尿量が増えることが分かっています。また、猫が問題なく食べてくれる場合には、ドライフードに水を入れてふやかして与える方法でもいいでしょう。

 

常に新鮮な水を与えることも大切です。私たち人間もずっと放置されたコップの水を飲むのはちょっと嫌ですよね。少なくとも朝・夕の1日2回は水を好感してあげるのがいいでしょう。多くの猫ちゃんは冷たい水を嫌うので、水を交換するときは常温のお水、もしくはぬるま湯を入れてあげてください。特に冬場は注意が必要です。

 

水入れの数を増やすことも大切です。多くの人がフードの隣にお水を置いているのではないでしょうか?猫は本来、食事と水は別々に摂る動物でした。というのも、狩りが成功し、食事にありついたときに必ずしも近くに飲み水があるとは限らなかったのです。中には水にフードのにおいが移るのを嫌がる猫ちゃんもいます。フードのそば以外にも何か所か追加で水飲み場を増やしてあげましょう。寝室など人の出入りが少ない静かな落ち着いた場所や猫がリラックスできる場所がおすすめです。逆ににぎやかな場所や猫用トイレの近くは避けましょう。

蛇口などから流れる水が好きな場合は、流れる自動給水器を導入するのもいいかもしれません。とはいっても、実際に流れのある自動給水器が飲水量を増やすのかどうか調べた研究を見てみると、猫の好みによる影響が非常に大きくどの猫でも飲水量を増やすことは難しかったようです。こればかりは試してみるしかありませんが、水飲みのバリエーションを増やすという意味で導入しても悪いことはないでしょう。ただし掃除をさぼるとカビやぬめりが発生し、不衛生なので注意が必要です。また、食器台や脚付きのボウルを使って水を飲みやすい高さにしてあげたり、ちゅーるを溶いて味付きのスープを作ってあげるのもおすすめですよ。 

自宅で飲水したくなるような環境を整え、病気の予防を心がけましょう。

Y.N

臍の緒

23年01月13日

出産時母犬は子犬の臍帯を噛み切ります。帝王切開では絹糸で結紮してお返ししています。このとき残っている臍帯の長さが2cmほど残っているのが適切です。自宅での出産の際、臍帯を結紮しなければならない場合はこの長さを参考にしてください。この長さは短すぎても長すぎてもいけません。いずれの場合も臍ヘルニアや臍炎の原因になります。臍炎は母犬が繰り返しなめ続けることでも発生する場合があります。臍炎の多くは臍静脈炎でありそこから肝膿瘍に発展してしまい、その場合予後が非常に悪いです。これらは大型犬のほうがリスクが高いのでお気を付けください。 K.Y

ねこの痛みを検知するAIアプリ

23年01月05日

動物は「痛み」を言葉に出して訴えることができません。特にネコちゃんは痛みを隠す傾向にあります。そのため、病院内において獣医師や看護師が猫の疼痛を評価することは非常に難しい問題です。これまで、猫の急性痛および慢性痛を評価する様々な方法が検討されてきましたが、そのほとんどが主観的評価によるもので、評価に差が生じることもしばしばみられました。

最近、動物のいたみ研究会というグループが、猫の表情をAIで分析することで、猫が「いたみを抱えている顔」をしているかどうかを判別できるツールを開発しました。このアプリの開発のために約6,000枚の猫の顔写真データを収集し、猫がいたみを抱えている表情をスコア化できるようにAIに学習させ、未知の画像に対しても、類似の特徴から猫がいたみを抱えているか否かを高精度で推定できるアプリの開発に成功したようです。

このアプリでは、自分の猫の顔写真を撮影するか、過去に撮影した写真をアップロードするだけで、数秒以内に「いたみの表情」があるか否かが表示されるようです。とても簡単に利用でき、遊び感覚で使用することができます。

現状では、急性痛に重きをおいて開発しているため、慢性痛のある猫での精度は検証中です。今後、自宅での評価のみならず、獣医療現場においても疼痛評価や治療経過のモニタリングにも使用できることが期待されます。飼い主さまに使用してもらえるバージョンがすでに公開されているようなので、ぜひ興味のある方は試してみてはいかがでしょうか。

D.N.