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最近のエントリー

繁殖をさせる前に気をつけないといけないブルセラ病

15年12月20日

ブルセラ病とは犬ではBrucella canisによる犬の慢性感染症です。一般症状はほとんどなく、流産を繰り返したり、精液性状の異常が生じたりします。一部ではぶどう膜炎や椎間板脊椎炎を起こすこともあります。この感染症は尿、膣分泌物、精液、交尾などで伝播していき、交配するまえには必ず検査しておく必要があります。というのもこの細菌は細胞内に感染するため完治することはほぼ無いといわれており、抗生物質や避妊・去勢手術で菌の排出を抑えることはある程度できても同居の子達に拡がる可能性があるだけでなく、人にも感染する可能性があるためです。こういったことからこの病気が見つかった場合淘汰されることもあります。

つまり大事なことはこの感染症が入ってこないようにしっかり検疫することが重要になります。交配前の検査はもちろんですが、リスクを減らすため自然交配よりも人工授精を行うことが多くなっています。ブリーダーの方だけでなく、ご自宅で子供をふやしたいとお考えの方もこういった感染症の存在を知っていただき、より安全な繁殖が拡がればと思います。K.Y

耳介辺縁皮膚症

15年12月20日

耳介辺縁皮膚症(耳輪皮膚症)は耳の辺縁に生じる限局して角化異常症です。

原因は明らかにはなっていませんが、ダックスフンドに好発する傾向があることから遺伝的関与が考えられている。一方で、甲状腺機能低下症の犬でもこの病気が見られることもあります。

症状としては左右対称性に耳介辺縁部に限局して鱗屑、毛包円柱、またそれの脱落に伴う部分的な脱毛がみられます。重症例では厚く、硬い鱗屑の塊が耳の先端に固着する為違和感から耳を振ったり、引っ掻いたりすることによって病変部に亀裂を生じて出血することもあり、基本的にかゆみは生じませんが、この場合は傷になった部分に疼痛を伴うことが多くあります。

鑑別疾患としては疥癬、脂腺炎、虚血性皮膚症などが挙げられますが、耳介辺縁皮膚症の診断は特徴的な臨床症状を示すことから比較的容易に鑑別することができます。

治療は根治することが難しく、対症療法としてのシャンプー療法が一般的です。初期は鱗屑が完全に除去されるまで頻回のシャンプーを必要としますが、改善が認められればシャンプーの間隔を延長しての経過観察になります。

S.A

猫の黄色脂肪症

15年12月13日

黄色脂肪症とは主に皮下、腹腔内の貯蔵脂肪に過酸化変性を生じ、その脂質過酸化産物となるセロイドの沈着により高度の炎症を起こす疾患です。

体内の不飽和脂肪酸含量が高く、ビタミンなどの抗酸化物質が不足した場合に不飽和脂肪酸が酸化し過酸化産物を生じます。一般に、魚類からの過剰な不飽和脂肪酸摂取が原因となることが多く、猫ではマグロの缶詰の長期給餌が問題となることが多いです。

主な症状としては食欲減衰、全身性の疼痛、発熱がみられます。また皮下・腹腔内脂肪が硬くなり、腹部や鼠蹊部に腫瘤がみられることがあります。

治療は原因となる不適切な食餌を中止し、α-トコフェロールを症状が改善するまで投与することです。予防としては適切な食餌管理を心がけることです。