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ケモデクトーマ
25年01月24日
体の中には末梢化学受容器(大動脈小体と頸動脈小体)と呼ばれる、動脈血中の酸素と二酸化炭素の分圧やpHの変化を感じるセンサーがあります。この大動脈小体(心基底部)と頸動脈小体(頸動脈分岐部)に腫瘍ができることがあります。これらの大動脈小体腫瘍と頸動脈小体腫瘍を合わせてケモデクトーマと呼ばれます。
ケモデクトーマは高齢の短頭種のわんちゃんに多いです。これは上部気道の閉塞が起こりやすく、慢性的な低酸素状態が関与していると考えられています。症状は運動不耐性や発咳、腹水・胸水貯留、肺水腫などによる呼吸困難が挙げられます。心臓の周りに液体が貯留して症状を呈することもあります(心タンポナーデ)。ゆっくり大きくなる腫瘍であるため、無症状で心臓超音波検査時に偶発的に発見されることも多いです。
外科手術での完全切除は困難であるため、放射線治療や分子標的薬(トセラニブ)による治療が主で、心嚢水が繰り返し貯留する場合は心膜切除を行うこともあります。短頭種のわんちゃんは中高齢になると健康診断で心臓を診てみるのもいいかもしれませんね。
I.M.