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腎臓の働きを改善する遺伝子「AIM」

20年02月15日

東京大学医学系研究科の宮崎教授が血中に存在するAIMという遺伝子を約20年前に発見し、このタンパク質の研究を続けていらっしゃいますが、その過程でAIMが腎臓の働きを改善することがわかり、ネコの寿命を大きく伸ばす可能性のある薬の開発に取り込まれているそうです。

東京大学の広報誌から、その研究内容について紹介させていただきます。

apoptosis inhibitor of macrophage の頭文字をとってAIMと名付けられた遺伝子は、白血球のうちのマクロファージを死ににくくする働きがあることが試験管内で確認されています。腎臓が障害されると、尿細管上皮細胞が死んで剥がれ落ち、尿細管中を閉塞します。そして、ヒトやマウスでは急性腎障害が発症した腎臓では尿細管を閉塞している死細胞にAIMが蓄積されることが確認されています。ヒトやマウスではここで、蓄積したAIMが目印となって死細胞が生き残った上皮細胞によって貪食されることで尿細管の閉塞は改善し、腎障害の治癒を促します。しかし、ネコではAIMが血中から尿中に移行する形になることができず、ヒトやマウスのような働きができていないそうです。

腎臓病では尿の通り道に死んだ細胞が溜まっていき、最終的に「トイレの排水管が詰まる」ようになって腎臓が壊れるが、AIMはここにゴミがあります、と知らせる札として働き、そのトイレのつまりを解消してくれるように動く、と話されています。

宮崎教授は現在、マウスの細胞からAIMを大量に生産し、精製する研究を進められているそうで、2022年までの商品化を目指しているそうです。

我々の臨床現場で使用されるようになるには、まだまだ色々な障壁があるかもしれませんが、高齢のねこちゃんとは切っても切れない関係の腎臓病に関する新しい治療法が楽しみでしかたありません。

M.K