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猫の末端肥大症

16年01月17日

猫の末端肥大症(高ソマトトロピン症)は、下垂体前葉に生じた成長ホルモン産生腫瘍が原因になることが最も一般的です。以前は稀な疾患であると考えられていました。しかし、現在まで診断されていなかったためによるものか、疾患として増えてきたかは明らかではありませんが、最近の研究によれば高ソマトトロピン血症は糖尿病の猫の約25%に存在すると推定されています。

症状としては、多飲、多尿、多食、体重増加、跛行、神経症状、蹠行姿勢、趾の腫大、幅広い顔面、歯間腔の拡大、顎前突などが挙げられます。多くの症状は併発する糖尿病に関連するものですが、身体的な変化は末端肥大症の特徴的な変化であると言えます。しかし、こういった身体的な変化はゆっくりと起こるため、普段一緒に過ごされている飼い主様には分かりづらいことが多いです。また、通常血糖値の管理が困難な糖尿病患者には、体重減少が起こりますが、末端肥大症に起因する糖尿病の場合、血糖値の管理が不十分でも体重の増加が認められるという点で、通常の糖尿病との鑑別が可能です。しかし、稀ではありますが、糖尿病でない末端肥大症の報告例も存在し、また特徴的な身体所見の変化をほとんど認めない末端肥大症も存在するなど、診断が困難な場合もあります。

現在のところ、末端肥大症を確定診断するためのゴールド・スタンダードとなる検査法は存在しません。そのため、ほとんどの症例において、臨床徴候、IGF-1濃度の測定、画像診断を組み合わせて診断を行っていきます。

治療には、 放射線療法、下垂体切除術、内科療法などが行われます。放射線療法に対する反応は様々で、成功症例では血糖値のコントロールの改善あるいは糖尿病の寛解が得られることもありますが、反応に乏しく、効果が持続しない場合もあります。下垂体切除術はヒト医療においては第一選択となり、猫においても報告例が存在しますが、極めて少数で、また生涯に渡るホルモンの補充が必要となります。内科療法は理論的には有効であると考えられますが、現在のところ獣医文献での報告は少なく、少数の症例報告に限られるため更なる研究が必要であると考えられています。

犬の甲状腺摘出手術です。

16年01月17日

RIMG2883.JPGのサムネイル画像

犬の甲状腺腫瘍の手術を行いました。甲状腺腫瘍はかなり大きくなってから連れてこられることが多くなかなかご家族の方にとっては見つけにくいようです。腫瘍はほとんどが癌で濾胞腺癌が多くを占めています。甲状腺腫瘍は悪性度が高く転移することが多いですが、進行がゆっくりのため手術することによりよい予後が得られることが多いです。今回はビーグル犬でした。甲状腺機能低下症によって癌の発生が促されることが証明されている犬種でもあり最も多発犬種といわれています。他の犬種ではレトリバー種、シェルティーなどの発生が多くあります。性差はありません。どの犬種にも発生します。とくに好発犬種は高齢になれば1ヵ月に1度は首を触ってみてください。ビーグル犬は甲状腺機能低下症を早く見つけるためにも1年に1度は血液検査をお勧めいたします。当院においては犬の甲状腺腫瘍、猫の甲状腺機能亢進症の手術症例がおおくあります。早期発見を心掛けてください。
s.s