南が丘動物通信トップ

最近のブログ

カレンダー

2011年12月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

最近のエントリー

猫の膵炎

11年12月13日

近年では膵特異的リパーゼが利用可能になったことで膵炎を診断することが多くなりました。犬と猫では膵炎の病態の特徴が異なり、病気の捉え方を考慮しなければなりません。
 猫では慢性膵炎が多く9割を占め、その症状が明確でないことが多いです。食欲不振、嘔吐、元気消失、体重減少など非特異的な症状でかつハッキリとしないため、外見上健康でも実は膵炎ということも考えられます。犬と異なり肥満や高脂肪食が発生要因とはならないようです。猫の膵炎では特徴的な『三臓器炎』という病態が認められ、膵炎、胆管肝炎、炎症性腸疾患(IBD)の3つが併発するものです。そのため肝臓、消化管についても評価や治療に対する検討が必要になります。
 猫では年齢に関係なく膵炎が発生すると考えられていますが、やはり高齢の猫では慢性膵炎が多いようです。血液生化学検査では従来から用いられていたアミラーゼ・リパーゼは意義がなく、猫膵特異的リパーゼが最も信頼性のある血液検査です。鑑別診断や膵炎の症状、また併発疾患の評価に血液検査、超音波検査、レントゲン検査などを行う必要があります。重篤な合併症であるDIC(播種性血管内凝固症候群)の検査に凝固系検査が必要となります。
 残念ながら現在では膵炎に直接的な治療法はなく、支持療法が中心になるのは犬でも猫でも同様です。十分な輸液、疼痛管理、制吐と共に、猫では長期の絶食は肝リピドーシス(脂肪肝)を招くためになるべく早く栄養補給が必要となり、食欲がない場合には強制給与または食道チューブや胃チューブなども行うべきです。IBDや肝疾患が併発した場合には積極的に治療を行います。
 猫は慢性活動性膵炎であり、再燃のリスクが高いことを常に考えなければなりません。合併症も多く重篤な状態に陥ることも多いため、犬でも猫でも膵炎に対する十分な理解が必要となります。