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フィラリア予防

08年04月14日

4月に入りフィラリア予防の血液検査の時期が始まりました。

フィラリア症は蚊により媒介される寄生虫性伝染病で、その成虫は肺動脈に寄生します。肺動脈に寄生することにより心・肺・血管系への障害はもちろんのこと、慢性の肝臓のうっ血によって不可逆性の肝障害や肝硬変、免疫複合体やミクロフィラリア抗原による糸球体腎炎を起こし、大切なワンちゃんの体を蝕んでいきます。これらの変化は徐々に進行するため見た目に明らかな症状はほとんど出ません。咳、体重の減少や運動不耐性など症状が出始める頃には、心臓や肺、その他の臓器の病変は重篤な変化を起こしています。また、大静脈症候群といわれる急性の合併症を起こし、突然虚脱し、そのまま亡くなってしまうケースもあります。

このようにフィラリア症は非常に怖い病気なのですが、現在では内服薬や注射薬などの様々な予防薬の普及によりこの病気を予防することが可能となっています。

正確な予防開始を計算するためにHDU(Heartworm Development Heart Unit)という概念があります。HDUとは蚊の体内でフィラリア幼虫が成長し、犬に感染する能力を獲得するために必要な温度の単位です。

1日HDU=(1日最高気温+1日最低気温)/2-臨界温度(摂氏14℃)(*マイナスになる場合は0として考える)で求めます。30日分の1日HDUを足して130以上になったら蚊の体内でフィラリアが犬への感染能力を獲得します。そして、30日分の1日HDUを足して130を切った時点で感染期間が終了します。

HDUから算出されるフィラリアの感染期間は地域によって異なりますのでかかりつけの動物病院にご相談下さい。

勘違いされがちなのですがフィラリアの“予防薬“と呼ばれていますが、薬が1ヶ月体に残って予防効果を出し続けるわけではありません。蚊に刺され体内に入ってきたフィラリアの子虫が成虫になり心臓に到達する前に駆虫するのがフィラリア予防薬であり、実際には駆虫薬なのです。よって、HDUから算出された感染開始時期よりも遅れて内服を開始し、感染終了時期よりも遅れて内服が終了します。多くの地域ではフィラリアの予防薬は初冬(11月下旬~12月上旬)まで服用を勧められるケースが多いと思われますが、最近涼しくなって蚊を見かけないからとフィラリア予防薬を最後まで服用させないというのは危険です。

最後に、血中にミクロフィラリアがいる状態でフィラリアの予防薬を服用するとショック死することがあります。フィラリア予防薬を投与される前に必ずかかりつけの動物病院で血液検査を受けましょう。