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高血圧と麻酔リスク

24年02月29日

 人医療では高血圧で治療を受けている患者は二千万人以上といわれています。人では様々な原疾患由来だけでなく、生活習慣病や遺伝的背景が原因になっていますが、獣医療においてはほとんどが二次性高血圧、つまり他の疾患が原因で高血圧になっています。甲状腺機能亢進症や副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)などの内分泌疾患、腎臓病、心臓疾患が原因になっていることが多いです。

 高血圧患者における麻酔管理には注意が必要と言われています。麻酔をかけるということは一般的には血圧を低下させることになりますが、高血圧患者では血圧変動が大きくなり、心臓などの循環器や脳の負担が大きくなります。また腎臓においては、腎血流量を維持することが大事になります。正常な血圧状態の患者では麻酔によって血圧が低下しても腎血流量を維持することが可能なのに対し、高血圧患者で血圧が低下すると腎血流量を維持できなくなり、腎障害へと繋がるリスクとなります。

 そのためやはり麻酔を実施する前から降圧薬を内服し、血圧を少しでも下げておく必要があります。当院では猫の甲状腺機能亢進症の手術を多く実施していますが、高齢の猫のため慢性腎臓病や心筋症を合併していることが多く、いずれの疾患でも高血圧を発症します。甲状腺機能亢進症では完全に血圧を正常に戻すことは難しいこともありますが、少しでもリスクを抑えるために降圧薬を服用しておくべきと考えています。

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T.S.

2月4日・第10回兵庫県開業獣医師会WEB講習会・WEB研究発表会

カテゴリー:セミナー

24年02月05日

2月4日(日)日本小動物医療センターセンター長/小動物腫瘍外科アドバイザーの廉澤剛先生の「肝臓腫瘍その特性から特殊器具なしに攻略する肝臓外科」のご講演をしていただきました。内容的には組織から生検、診断、手術まで広範囲にわたり、やや難しいものの非常にわかり易く脈管系の説明から手術手技の説明までしていただきました。そのあと研究発表会を廉澤先生と日本大学獣医放射線学研究室の合屋征二郎先生をオブザーバーとしてお招きしました。当院からは院長が「猫の甲状腺機能亢進症の評価および考察」という演題で発表を行いました。多数の手術数から統計をだしたものです。猫の甲状腺機能亢進症の治療は外科手術が推奨されることをこれからも広めていきたいと思っています。  S.S