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肺の超音波検査
21年03月25日
超音波検査は腹部の臓器における疾患や、心臓病の検査に日常的に用いられる検査です。いまや超音波検査なしには日々の診察は成り立たないともいえるほど重要な位置を占めています。私が学生時代の10数年前では、肺は超音波検査はすることができないとハッキリと言われていたような気がします(勉強不足だったのかもしれませんが)。しかし現在では肺においても超音波検査が実施されるようになり、改めて勉強するとその有用性に驚きました。
超音波は空気が苦手なため空気を多量に含む肺では表面でほとんどすべての超音波が反射されてしまいます。しかしその反射されるメカニズムを逆手に取って検査に活かしてしまうというのが肺超音波検査になります。反射によって得られる等間隔の高エコー性のラインをA-lineといいます。正常では空気を含む肺が、肺水腫や肺炎など、水分や細胞成分に富むようになると肺表面から深部に向かう高エコー性のラインが生じますが、これをB-lineと呼びます。また肺腫瘤や肺葉捻転においても特徴的な画像が得られます。
画像の解釈には経験が必要になりますが、それは腹部や心臓の超音波検査においても同じことがいえます。肺の超音波検査の数をこなすことで目を鍛え、この新しい検査法を習得できるよう勉強していきたいと思っています。
T.S.
ネコの非ノミ非食物誘発性過敏性皮膚炎(NFNFIHD)とは?
21年03月20日
近年、ネコのアレルギー性皮膚炎(過敏性皮膚炎)に関して様々な知見があります。
過敏性皮膚炎とは①ノミによる刺咬性過敏症、②蚊やその他の昆虫による刺咬性過敏性皮膚炎、➂食物抗原による食物誘発性過敏性皮膚炎、④これらを除外した環境抗原による非ノミ非食物誘発性過敏性皮膚炎など大きく4つに分類されます。今回は非ノミ非食物誘発性過敏性皮膚炎(NFNFIHD)について説明します。
NFNFIHDは強い掻痒感を認め、尚且つその他の掻痒性疾患(上記①~➂)を除外したものとしてまとめられています。この疾患のゴールは掻痒の重症度と頻度を軽減し、皮膚の良好なコントロールを行うことで本疾患に伴う感染症等から守ることにあります。掻痒感が無くなることで生活の質が大きく向上します。
治療薬として感染症に対しては抗生剤や抗真菌剤、痒みのコントロールにはステロイドや免疫抑制薬が効くとされています。動物アレルギー性疾患国際委員会は皮膚と被毛の状態改善・管理を目的とした必須脂肪酸製剤を勧めています。当院でも必須脂肪酸製剤を取り扱っており、皮膚疾患に対して使用するケースもあります。
春になり暖かくなるとノミダニなどが盛んになります。それらによる事象以外でも痒みが起きることがあることを知っていただき、少しでも生活の質の向上に繋がればと思います。
H.F
精液ALP濃度の測定
21年03月15日
血液検査において良く測定されるALPですが精液中の濃度も測定することができます。精液中のALPは精巣上体に由来し、精巣上体液がきちんと存在するかどうかのマーカーとなります。この濃度の低下は精管や精巣上体の両側性の閉塞を示唆します。精液の前精子分画は前立腺に由来し、不完全な射精の際にも低濃度となります。
精液の検査におみえていただくこともたくさんありますがこういった検査も加えて、さらに進んだ診療ができればとおもいます。K.Y
犬、猫のくしゃみが最近気になる方
21年03月04日
ヒトと同様、ワンちゃんやネコちゃんもくしゃみをすることがあります。普段の診察でも、くしゃみをたまにする、最近くしゃみの回数が多い、花粉症ですか??鼻血がでたなどの相談を受けることが多々あります。もちろん、人間でよく見られるようなアレルギー性の鼻炎も可能性としてありますが、そのほかにも考えなくてはいけない疾患が隠れている可能性があります。
原因を列挙すると、以下のようになります。
○先天性(短頭種機動症候群で見られます)
○感染症(ウイルス、細菌、真菌)
○腫瘍性疾患、炎症性ポリープ、アレルギー性疾患、歯牙疾患、鼻腔内異物、外傷、止血異常などの基礎疾患を持つ場合。
おそらく、皆さん自身がくしゃみをした時や、くしゃみが続く時には、上述したような内容を考えないと思います。ですが、ワンちゃん、ネコちゃんではくしゃみが続くようであれば、このようなことも考えていかないといけないケースが多いです。
感染症については、若齢のネコちゃんが特に多いかなという印象があります。ウイルス感染ではネコヘルペスウイルスや、カリシウイルスが絡んでいることが多く、適切な治療をしてあげる必要があります。もちろんアレルギーでもくしゃみが続くようなこともあるので一度診察に連れてきてもらって精査をされることをお勧めします。
えっ、と思われた方もいるかもしれないですが、鼻の中に腫瘍がある場合や重度に進行した歯周病でもくしゃみや鼻血を出すことがあります。これは高齢になってくしゃみが始まった子で多いです。腫瘍なら顔の骨にどんどん浸潤していき、骨を溶かしてしまって痛みも感じています。歯周病が進行すると、鼻腔内と口腔内に瘻管を作ってしまう"後鼻腔瘻"になってしまい、放置すると慢性鼻炎や副鼻腔炎、場合によっては肺炎になってしまうこともあります。これらは、全身麻酔下でC T撮影したり、歯科用レントゲンをとることで診断ができます。"止血異常"は鼻の中そのものに問題があるというよりも、身体の中の血を止める因子の欠乏(血小板減少、凝固因子の異常、肝不全、甲状腺機能低下症など)のサインかもしれません。
以上のように一口にくしゃみ、鼻出血と言っても原因となる疾患は様々でかつ容易なものでないものも多くあります。くしゃみくらいで病院に行くのも、、、と思われてい躊躇っている方は一度受信されることをお勧めします。
R I