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マイクロチップ
18年10月28日
(マイクロチップインジェクターの外観とマイクロチップの読み取り機)
マイクロチップは1987年にイギリスで使用が開始されて以来、ペットの個体識別法として普及するようになり、国内でも使用されるようになってきました。一部の国への入国時の条件として必要なときをのぞけば、マイクロチップの埋め込みはもちろん義務ではありません。普段の生活ではまったく必要ないでしょう。
しかし、ここ兵庫県はマイクロチップの登録件数の多い県として知られています。その背景には、阪神大震災があると言われています。地震や火山の噴火などの緊急災害時や迷子時の確実な身元確認として、マイクロチップは有効ですね。
避妊や去勢手術のときに一緒に挿入される方もいらっしゃいますし、ふつう埋め込みに麻酔を必要とはしませんので、犬で2週齢、猫で4週齢以上であれば、いつでも埋め込みは可能です。耐用年数は25年~30年とされており、少なくとも犬猫の生涯にわたって使用可能となるように設計されています。
マイクロチップを埋め込んだ際のデメリットですが、海外において症例報告で挿入部位に反応性の肉腫の発生を非常に低い確率で認めたという症例報告があります。日本国内では、埋め込んだ後6年間の観察で特に副作用がみられなかったという報告もあります。基本的にはマイクロチップは生体適合ガラスで覆われているため、生体への直接の影響は非常に低いと言われています。
他に、考えられるデメリットとしては、X線CT検査は問題なく行うことが出来ますが、MRI撮像の際に、若干画像が乱れる可能性がある、ということですね。ただ、埋め込み位置を考慮しても、ほとんど影響はないと言っても良いでしょう。
非常事態に備えてマイクロチップの埋め込みを考えてらっしゃる方はぜひ相談してください。
M.K
乳歯が残っていると...
18年10月21日
当院では避妊・去勢手術の際にお口の中を確認させていただいています。これはきちんと乳歯が抜けて永久歯が生えてきているかを確認するためです。というのも特にトイ犬種に多いのですが乳歯が適切な時期に抜けず、永久歯の萌出を妨げて不正咬合となる場合があるからです。
一般的には6~7か月齢になるころには乳歯はおおむね抜けているものです。また乳歯と永久歯が共存する期間は2週間以内といわれています。それ以上乳歯が残っている状態を乳歯遺残といい、不正咬合になる前にこの乳歯は抜いてあげなければいけません。わんちゃんの歯は根っこがとても深いので麻酔下でなければ安全に抜けません。なので手術の麻酔時にあわせて乳歯の抜歯をすることを勧めています。ときには矯正も必要な場合があります。若いわんちゃんの避妊・去勢手術の際には一緒に歯を確認しましょう。K.Y
犬の虫歯(齲歯)
18年10月14日
人の口腔内の病気として最も多い疾患はよくCMでもいわれているように、虫歯と歯周病になります。それに対して犬では歯周病はすごく多いものの、虫歯の発生率は全体の5%と多くありません。これは虫歯の原因といわれている齲歯原性細菌-酸産生細菌が人と比べて歯の細菌叢の中で正常細菌叢の一部となっていないこと。犬の口腔内はpHが8.0以上の唾液で満たされているので、虫歯になりにくい(虫歯の発生しやすくなるpHは5.4、人の口腔内はpH6.5)ことなど様々な理由があります。さらに、犬は虫歯になっていてもほとんどの症例で平然としていて、痛みを訴えてくることはまれです。
虫歯が進行し、その周囲の多くで歯周病がみられるようになり、飼い主さんが歯石取りを希望され、実際にとってみて初めて虫歯が発見されることも多々あります。症状として強い!というものではありませんが、その実虫歯は進行してしまうと歯髄を侵してしまい、そのまま奥のほうまで進行していくと歯の歯根部分までボロボロにしてしまうため、見つけた時点で進行していることが多いこともあり、抜歯してしまう事が推奨されます。
予防としては人で使用されているフッ素やキシリトールは犬にとって毒性があるため原則として使ってはいけません。歯ブラシでお口をきれいにしてあげる歯磨きが一番になります。
S.A
猫の甲状腺機能亢進症の手術症例(上皮正体尾側付着例)
18年10月10日
愛犬が吐いてしまったとき
18年10月07日
犬は人に比べてよく嘔吐(おうと)する動物です。犬では食べ過ぎや水の飲みすぎ、空腹、拾い食い、車酔いなどの単純な原因で吐くことがあります。
嘔吐することによってスッキリとして、そのあとは元気ということは多いですが、慢性的に嘔吐を繰り返したり、元気がなくなったりする場合は病気が隠れている可能性があります。
嘔吐は胃の内容物が食道を経て口から出てくることを指します。食べ物が胃に入る前に吐き出される吐出(としゅつ)とは区別されます。吐出の場合は未消化なものを食後すぐに吐き出します。
嘔吐の症状は、気持ち悪そうにし、舌なめずりして、吐くときにはお腹が大きく上下に収縮するしぐさをみせて吐き出します。嘔吐物は消化中の食事であったり、空腹時には胃液や十二指腸液だったりします。
嘔吐の原因は様々で、想像しやすいのは消化器疾患ですが、肝不全や腎不全などの病気によって血中の有害物質が増えて嘔吐が起こる場合もあります。
また、犬が早朝に黄色い液や白い泡を吐くことがあります。多くのケースでは他に症状はなく、元気で食欲もあります。これは夜間の空腹が原因で黄色い胆汁を含む十二指腸液が胃内へと逆流して胃粘膜を刺激することによって起こる、胆汁嘔吐症候群の可能性があります。胆汁嘔吐症候群は空腹時間を短くするために寝る前に食事をとらせると症状がなくなるケースが多いです。ただし、空腹対策をしても嘔吐が続く場合にはご相談ください。
嘔吐をしていてもしばらく様子を見てもいいものと、すぐに動物病院に連れていくべきものがあります。
しばらく様子を見てもよいものは、車酔いや食べ過ぎ等、嘔吐した原因が明確で、他に症状がなく、連続して嘔吐しておらず、犬が元気に過ごしている場合です。
すぐに動物病院に連れていくべきものは、吐いた後ぐったりしていたり、苦しそうにしている、熱があったり、下痢をしていたり、別の症状(呼吸がおかしかったり、痙攣していたり)や、嘔吐と空嘔吐を繰り返したり、2日以上にわたって嘔吐が続いたり、嘔吐物に血が混じっている場合には、重篤な病気が隠れている可能性があります。
嘔吐後は状況によりますが、半日~1日ほど水と食事を与えずに様子を見た方がいいでしょう。嘔吐が止まっていれば、少し水を与え、吐かないようであれば徐々に量を増やしていきましょう。水を吐かずに落ち着いているようであれば食事を開始します。水と同じで少量から開始して、問題なければ量を増やしていき、1日の量を3~4回に小分けにして与えていきます。
嘔吐の原因は様々です。嘔吐時やその後の様子をよく観察して、少しでも心配なことがあれば自己判断せずに当院を受診されることをおすすめします。
Y.N