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猫の扁平上皮癌 耳翼の先にかさぶたができたら。
18年08月30日
犬のブドウ膜皮膚症候群
18年08月26日
犬の免疫に関連した疾患には胃腸器系、血液系、内分泌系など様々な部位に対するものがあります。その中でも犬のブドウ膜皮膚症候群はその名前の通り、眼と皮膚、特に眼に対して大きく異常をもたらす疾患です。
犬のブドウ膜皮膚症候群はメラニン色素を含む細胞に対して自己免疫が攻撃をしてしまう疾患です。犬の中でも特に秋田犬での報告が多く、秋田犬が高頻度に保有する遺伝子と関連しているのではないかと考えられています。
具体的にはブドウ膜のメラニン細胞に対して自己抗体が産生され、肉芽腫性汎ブドウ膜炎が発生し、皮膚と被毛の色素形成欠損が起こします。そのため、通常は突然の前ブドウ膜炎、ケラチン沈着、前房出血および瞳孔反射の低下がみられます。皮膚に関しては眼の症状と同時ないしは遅れて出ることが多く、境界のはっきりした対称性の脱色素班が鼻・唇及び眼瞼に出現するのが特徴です。進行すると失明してしまうため、早期に積極的な治療が必要な疾患で、局所的な眼に対する治療に加えて全身的な免疫抑制療法が必要になります。症状が落ち着いても免疫に対する治療に関しては生涯に通じて行う必要があります。
繁殖のための黄体ホルモン検査。
18年08月26日
繁殖させたい方にお勧めしたい検査が黄体ホルモン検査です。以前は膣スメア検査を行っていた時期がありますが残念ながら排卵日を予測するのは難しいようです。ICBSの資格を取るセミナーの中で膣スメア検査から排卵日をあてるゲームをしましたが10名ほどの参加者、講演の指導医を含め誰もあてることはできませんでした。スメア検査は、排卵後6日目にいきなり細胞のタイプが変わることが知られており遡って排卵日を知ることは可能ですが予測困難な検査です。
当院におけるブリーダーさんが出血に気が付いてから排卵までの日にちは3~28日とさまざまです。排卵日がわかることによるメリットは①一番理想的な交配適期がわかる。②仔犬の頭数が期待できる。③凍結精液の人工授精でも繁殖可能になる。④お産の日にちは排卵後63日になることが多く予測を立てることが可能。⑤帝王切開のタイミングがわかり早く手術をしたために育たないようなことを避けることが可能。
精子の生存期間は11日、卵子の生存期間は5日あり交尾から出産までの期間は理論上では58~71日間あることになります。そのことによりお産の日の予測立ては困難となります。
現在黄体ホルモンの検査は、検査センター、バイダスミニ、パスファーストが使用されていますが装置による差が大きいため注意が必要です。また検査センターに出していると時間がかかり間に合わないという問題がおきるためお困りの方は当院にご連絡いただければ、かかりつけ医さんと打ち合わせの上対処可能です。
S.S
SDMAを測定して早期に慢性腎臓病を発見しよう
18年08月19日
慢性腎臓病(CKD)は人では糸球体ろ過率(GFR)の持続的な低下、持続的なたんぱく尿を伴う腎障害と定義されており、CKDのステージ(病期)の判定はGFRつまり腎臓の仕事量をもとに判定されています。本来は犬や猫でもGFRの測定を行いたいところですが、実際に行うためには高価で煩雑であるためGFRを測ることはなかなか難しいのが現状です。そのため腎臓機能のスクリーニング検査として血液尿素窒素(BUN)とクレアチニン(Cre)という検査項目が指標として用いられてきました。
BUNは腎機能以外の要因に左右されることが多く、クレアチニンは筋肉の代謝産物であり、筋肉の少ないやせた動物では数値が上がりにくく過小評価してしまったり、CKDでは腎機能の75%が失われないと明確に上昇してこないという問題点がありました。
「SDMA」は対称性ジメチルアルギニンという物質で、たんぱく質の代謝産物でほとんどが尿中に排泄されるため、GFRとよく相関することが分かっています。SDMAは筋肉量に影響を受けず、腎機能(GFR)が40%失われた段階で上昇するので(クレアチニンだと腎機能の75%が失われてから上昇する)、早期に慢性腎臓病を検出可能と言われています。
CKDの猫ではSDMAがクレアチニンより平均17カ月早く上昇し、犬においても平均9.5カ月早く上昇することが報告されています。
今までのCKDのステージ分類ではクレアチニンの上昇にもとづいておこなわれていましたが、クレアチニンの上昇で診断できるのはステージ2以降であり、早期のステージ1を診断することは生検以外には現実的には不可能とされていました。それがSDMAの測定が可能になり、多数の症例報告と検討により、症状のほとんど出ていない初期のCKDの診断が可能になりました。
これにより、腎臓病の増悪因子を発見し、腎臓病の進行により早期から注意することができるようになりました。さらに腎臓療法食を用いた食事療法は一般にステージ2から適応とされていますが、ステージ1と早期発見できた症例については定期的な検診を行えば、ステージ2に入るのと同時に食事療法が開始でき、現状で望める最大限の延命も理論的には可能なものとなってきます。
当院でも、慢性腎臓病の治療中や疑いのある動物、腎臓病がご心配な方にはペットの健康診断項目に追加して検査を行っています。外注検査ですので、後日2~3日で報告となります。
腎臓病がご心配な方、健康診断の一環としてぜひ一度ご検討ください。
補足にはなりますが慢性腎不全は尿検査で判断できる項目もあり尿検査もお勧めいたします。
パターン脱毛症
18年08月12日
パターン脱毛症とは、痒みがなく、脱毛以外の臨床症状を伴わない脱毛症です。出生時には脱毛がみられず、生後半年~1歳頃までに発症します。脱毛の程度はさまざまですが、薄毛から完全に脱毛する症例も存在します。短毛種に多い疾患であるとされており、好発犬種の最たるものはダックスフンドであり、他にはチワワ、イタリアン・グレーハウンド、ミニチュア・ピンシャー、ボストン・テリアといった人気種が並びます。残念ながら、病態については未だ不明な部分が多く、今のところは、毛包が縮小化することによって脱毛が生じる遺伝性の疾患であると考えられています。全身症状を伴わない病気であり、根治的な治療方法は確立されていませんが、発毛を期待する治療法には有効なものもいくつか存在します。大切なのは、クッシング症候群や甲状腺機能低下症といった、多くの犬が罹患するホルモン性の疾患や、膿皮症といった細菌感染による皮膚疾患による脱毛ときちんと鑑別し、適切な治療を行なっていくことです。幼犬に不自然な脱毛がみられた場合、一度診察にいらしてくださいね。S.K
心臓の検査~心エコー図検査~
18年08月05日
人医学では心疾患は3大疾病に挙げられ、死因の多くを占める問題の疾患です。心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患が多いのですが、一方で犬は、本邦では小型犬が人気のために僧帽弁閉鎖不全症などの弁膜疾患が多く見られます。大型犬では拡張型心筋症、猫では肥大型心筋症などの心筋症が散見されます。
心臓病があるからもう死が近いとか、治療してもムダというわけではありません。それぞれの病気の進行度に合った治療法を選択していけば、心臓病の進行を緩徐にしていくことができます。その進行度を測るための検査のひとつが、心エコー図検査になります。
心臓病が進むと心臓が大きくなる心拡大に陥りますが、心エコー図検査では具体的に4つある心臓の部屋がどのくらい大きくなっているのか細かく見ることができます。また心臓の筋肉(心筋)の収縮力を測ったり、実は心臓の機能で大事なのが拡がる力(拡張能)ですが、これもエコー検査のドプラ機能を使って測定することができます。ドプラ機能とは血液の流れの方向性と速さを計測するもので、異常血流や逆流速度など様々な測定に用いられます。エコー検査の良い面は、侵襲がなく短時間で済みますし、ほとんどの子がおとなしく検査してくれるという点です。
もちろん心エコー図検査のみですべてが診断できるわけではありません。不随する病気や腎機能を知るためにも、レントゲン検査や心電図検査、血液検査等と組み合わせて総合的に診断する必要がありますが、特に心臓機能を知るには心エコー図検査が最も大事な検査といえます。当院でもご紹介しておりますが現在では小型犬の僧帽弁閉鎖不全症は手術適応の疾患となりました。手術の是非を知るにもエコー検査は必須となります。心臓病の進行度を知り、心臓病で苦しむ子が少なくなるよう、当院では詳細な検査をご提示しています。
T.S.