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チョコレート中毒
17年12月31日
チョコレート中毒は、チョコレートに含まれるテオブロミン、カフェインなどのメチルキサンチンの過剰摂取により生じる中毒で、急性の消化器症状、循環器症状、神経症状などが現れます。メチルキサンチンの含有量はチョコレートの種類により異なり(下記参照)、時には少量でも中毒を起こし、死亡することがあります。
犬では100~200mg/kg、猫では150mg/kgがLD50(50%が致死する量)ですが、20mg/kgから軽度な異常が現れ、60mg/kgでは痙攣を起こす可能性があります。そのほか下痢、嘔吐、発熱、興奮、頻脈、不安、不整脈などの症状が現れます。通常、症状は摂取1時間後から発現することが多いです。
治療は、有効な解毒薬が存在しないため、催吐薬、吸着剤、抗痙攣薬、抗不整脈薬、輸液などを行って対症療法を行います。摂取直後であれば、催吐薬を使用し、その後吸着剤の併用を行いますが、嘔吐が不十分な場合は胃洗浄を行います。摂取量が少なく、早期に治療が行えれば予後は良好ですが、メチルキサンチンは代謝、排泄されるまで3~4日間かかるとされており、この期間は注意が必要です。
チョコレートは身近な食品であるため、動物の届く範囲に置かないよう注意してください。
T.H.
<メチルキサンチン含有量>
カカオ豆:14~53mg/g
料理用チョコレート:14~16mg/g
ダークチョコレート:5mg/g
ミルクチョコレート:2mg/g
ホワイトチョコレート:0.05mg/g
コリネバクテリウム・ウルセランス感染症
17年12月24日
最近ニュース番組やネット上において、「コリネバクテリウム・ウルセランス感染症で国内初の死亡例」というのを見ました。これは人獣共通感染症である細菌が原因の感染症ですが、犬や猫からの感染が多いとのことなので、少し調べてみました。
コリネバクテリウムはジフテリアの近縁種で、ジフテリア毒素を産生し症状を引き起こします。イギリスを中心に欧米諸国でも散発的に発生が認められ、イギリスではジフテリアと同等の扱いとされています(日本ではジフテリア菌のみが2類感染症に分類)。国立感染症研究所によると、平成29年11月末までに報告されているコリネバクテリウム・ウルセランス感染症の国内感染例は25件で、犬や猫を飼っていたり、野良猫に餌をやったりなど、動物と関りを持つ患者がほとんどであったそうです。海外でも牛の生乳からの感染のほか、やはり猫などからの感染を疑う症例が多いようです。ちなみに国内で人から人への感染は報告されていません。
症状は発熱、扁桃・咽頭の偽膜形成、リンパ節腫脹、呼吸障害、心筋炎、神経炎、中耳炎などで、犬や猫ではくしゃみや鼻汁などの風邪様症状が出ます。治療は抗生物質の投薬が基本で、重症化すると今回の症例のように死亡する例もあるようです。
もしかしたら診断できていない可能性もありますが、犬猫の飼育頭数と比較すると感染例はあまり多い印象ではありませんし、最近発見されたわけでない昔からある感染症なのだと思います。死亡例が出たので大きく報道はされていますが、過度に不安を煽られ心配するわけではなく、今回に限らずやはり犬猫からも感染症はあるのだということを認識し、動物たちとの過剰な接触は避けて常識的な触れ合いをすることが大事なのだと思います。家族であるかわいい犬猫たちですから、なおさら正しい知識をもって接することが重要ですね。
T.S.
不適切な排泄
17年12月17日
飼い犬、飼い猫にまず教えなければいけないしつけの一つに「正しい排泄場所をおしえる」があります。犬猫にとって排泄は生理現象であるとともにコミュニケーションをとる大切な手段です。
犬においてマーキングをすることは自分のテリトリー、地位を確保するために行います。
問題となりがちなのは室内でのマーキングです。小型犬にとって私たちの居住スペースはかなり広い空間となっているため室内マーキングは正常な行動ですが、大型犬においては比較して狭いためこの場合は不適切な排泄なります。
犬での不適切な排泄が見られた場合、異所性尿管や膀胱炎、糖尿病などの疾患を疑う必要があります。
その際、尿検査や血液検査等をお勧めしています。
H.F
目が緑色に見える?
17年12月10日
わんちゃんの目が緑色に見える。そういった場合の多くは瞳孔が散大し、眼底のタペタムが見えている状態であることが多いようです。タペタム(輝板)は、動物が暗闇の中でも活動できるように光を反射する役割を持っていますが、本来、瞳孔は照明をつけた室内や昼間の屋外では対光反射(眼に光が当たると縮瞳が起こる反応)によって縮小しているのでタペタムの反射は見えません。眼は緑色には見えません。
しかし、対光反射が減弱・消失すると、眼底の反射光がわたしたちの方まで届くこととなり、「目が緑色に見える」という現象が生じます。対光反射は光が網膜に入り、神経に伝わり、最終的に瞳孔括約筋が動くまでの経路のうちどこかに異常があると減弱・消失します。つまり、視神経の異常や、網膜の異常、脳神経系の疾患、虹彩そのものの異常......といったように対光反射の経路ひとつひとつに原因がある可能性があります。
散瞳が認められる疾患は重篤な疾患である場合も多いため、目が緑色に見える? そんなときは、ぜひ詳しい検査を行ったほうがよいでしょう。
M.K