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最近のエントリー

流産

17年11月26日

流産の原因は大きく感染性と非感染性のものに分かれます。

感染性のものはブルセラ、ジステンパー、ヘルペス、細菌性子宮内膜炎などがあげられます。非感染性のものは母体の全身疾患、胎児の以上、外傷、ホルモン異常が関わっているといわれています。非感染性のものは多くの場合突然に起こり前駆症状はほとんど見られません。非感染性のものはまえもって診断をつけるのが難しいのが現状です。主観的ですが一度流産を経験した母体は内分泌の精査をしていくことをオススメします。流産には甲状腺ホルモン、プロジェステロンが関わっている場合が多いといわれています。そこで交配の前に甲状腺機能低下がないか、妊娠中にプロジェステロンがきちんと維持できているか確認してみましょう。

K.Y

レーザーサーミア

17年11月12日

熱に対して正常細胞は44℃から生存率が下がります。これに対して、腫瘍細胞は42℃から生存率が下がります。レーザーサーミアは腫瘍の中心部にレーザー光を拡散させる特殊なプローブを挿入し、腫瘍全体の温度を42.5〜43℃に加温することにより癌細胞のみを死滅させる局所温熱療法を指します。

また設定温度を40℃に下げることで、組織の脱落壊死をおこさず、温熱による免疫力活性化、腫瘍栄養血管新生を抑制するマイルドレーザーサーミアという治療も可能です。

写真は、ロータリーハンドピースを用いたレーザー照射によりマイルドレーザーサーミアを実施している様子です。半導体レーザーは浸透性が高く、腫瘍の発生部位にもよりますが、無麻酔で実施可能で、腹腔内や胸腔内など様々な部位にも適応できます。

悪性腫瘍症例では、腫瘍の進行の具合やその発生部位など様々な理由で外科手術が困難な場合があります。そのような症例でも、腫瘍で苦しむ動物たちのQOL(生活の質)の維持・向上を可能にする治療の選択肢の一つとして当院ではレーザーサーミアを採用しております。治療の詳細については、獣医師までご相談ください。

H.B.

RIMG5595.JPG

犬伝染性気管気管支炎(ケンネルコフ)

17年11月05日

犬伝染性気管気管支炎は、ケンネルコフとも呼ばれ、犬パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス2型、気管支敗血症菌、をはじめ、犬ヘルペスウイルス、レオウイルス、犬ジステンパーウイルスなどの複数のウイルス、細菌およびマイコプラズマの混合感染が原因となり、肺炎を伴わない発作性の発咳を特徴とする疾患です。

感染経路は鼻汁やくしゃみなどの飛沫感染で、多頭飼育や不良な環境下に飼育される犬に発生が多いですが、ペットホテルやドッグランなどで発症した犬との接触により感染する可能性もあります。軽症では発咳のみが症状として現れ、その他一般状態は良好であることが多いですが、混合感染により重症化すると粘液性の膿性鼻汁や眼脂を伴い、発熱、元気消失、食欲不振などがみられます。無治療であれば、肺炎を伴い死亡することもあります。

診断は、特定の原因ウイルスや細菌感染を証明することは困難なため、罹患犬との接触の可能性や、飼育環境、臨床症状などにより行います。

治療は、病原ウイルスや細菌が特定できなくても、二次的な細菌感染や肺炎などによる重症化を予防するためにも、抗菌薬の投与が第一選択となります。その他症状の緩和のために去痰薬、気管支拡張薬、抗炎症薬などを使用します。鎮咳薬は、喀痰の貯留を促すことがあるため、発咳が重度な場合において使用を考慮します。ネブライゼーションは、気道感染の管理、気道クリアランスの改善などの効果により重症化の予防に効果的です。

高温多湿、冷温乾燥を避け、過剰なストレスを改善するなど適切な環境下であれば、通常は軽快します。しかし、衰弱している場合や混合感染を起こせば重篤化するケースもあります。どこか動物が集まるような環境に行った後、発咳が認められるようなことがあれば、早めに受診することをお勧めします。

T.H.