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可移植性性器肉腫
11年04月26日
可移植性性器肉腫は犬における性器の腫瘍です。この腫瘍は、近年ではまれな腫瘍となりましたが、自然が多い地方ではまだ見られる腫瘍です。腫瘍細胞は交配により犬から犬に伝播しますが、外生殖器を舐めたり、匂いを嗅いだりするような社会的行動によっても伝播することがあります。腫瘍のほとんどは生殖器に発生しますが、生殖器付近の皮膚や口、鼻、目の粘膜部分に腫瘤の形成が見られることもあります。この腫瘍は小さなものから大きなものまで様々で、カリフラワー状の腫瘤形成します。表面には潰瘍や炎症が見られることが多く、容易に出血します。
診断は組織検査によって行われますが、細胞診でも可移植性性器肉腫に特徴的な所見により診断できる場合もあります。
可移植性性器肉腫は、転移はあまりみられず、主に免疫抑制された犬や、この腫瘍を接種された子犬でみられます。
可移植性性器肉腫は放射線療法に良好な反応を示し、転移がない限り100%の治癒が得られたと報告されています。しかし、化学療法による反応も非常に良好で100%近い完全寛解を示すため、この腫瘍の治療には科学療法がもっとも一般的に行われています。
レッグ・カルベ・ペルテス病
11年04月12日
大腿骨頭壊死症とも呼ばれるレッグ・カルベ・ペルテス病は、その発見者から名前がつけられました。虚血性の変化により大腿骨頭が壊死していく病気ですが、その原因は明らかでなく、遺伝的要因、ホルモン、大腿骨頭の梗塞など、さまざまな説があります。
この病気のポイントは
①若齢犬 (6~7ヶ月齢が最も多い)
②小型犬 (トイ犬種、テリア犬種が多い)
③後肢の跛行 (股関節の伸展を嫌がる)
ということです。片側のみの発生が多く、両側性は10~15%です。跛行は6~8週間かけて徐々に進行し、関節可動域の減少、筋萎縮、痛みを呈し、全く負重ができなくなる場合もあります。大腿骨頭や骨頚が変形し、関節が不安定になることで股関節全体における重度の変性変化や変形性関節疾患へとつながります。小型犬では膝蓋骨脱臼も多いため、鑑別が必要です。
診断はレントゲン検査が有用で、大腿骨頭・骨頚の変形、骨頭の透過性亢進、筋萎縮などを確認することができます。あとはシグナルメントや症状も診断に役立ちます。
運動制限や抗炎症薬は疼痛の緩和に多少効果はあるかもしれませんが、跛行そのものを取り除くためには大腿骨頭骨頚切除術という外科的治療のほうが結果は優れています。手術による肢の短縮や筋萎縮が残った場合は若干跛行が残ることはありますが、適切な手術で患者のほぼ100%が歩行可能になり、疼痛がなくなります。
歩き方がおかしい、痛そう等ありましたらご相談ください。
ウサギの皮下膿瘍
11年04月05日
ウサギは細菌感染に弱く、皮下膿瘍は犬や猫と比べて完治することが難しい病気の一つです。
病気の原因としては、皮脂腺や歯根の炎症が化膿し膿瘍に発展する場合や、足底潰瘍から膿瘍ができる場合、他の動物による咬傷、手術創の化膿など様々です。
症状は皮下の腫瘤を認める以外は無症状なことが多く、腫瘍と勘違いされて来院されることもあります。上顎後臼歯の歯根から起こる顎膿瘍は眼窩(眼球の納まっているくぼみ)の膿瘍を引き起こすことがあり、眼球の突出を引き起こすことがあります。眼球の突出は痛みを伴うため、通常の膿瘍と異なり食欲や元気が低下することが多いです。
治療は抗生剤の全身投与を行うとともに膿瘍を切開して排膿・洗浄します(可能であれば膿瘍壁ごと摘出します)。膿瘍が皮膚の直下まで来ていない時期に切開すると出血が激しいことが多く、切開する時期と場所を選ばなければなりません。ウサギの皮下膿瘍の治療が困難な原因として、膿がチーズ様に固いことがあげられます。排膿する際に膿が固い場合はめん棒などでかき出さなければなりません。排膿・洗浄を行った後、抗生剤の注入を行うこともあります。
歯根の化膿による膿瘍は骨を融解しながら進行するので、病巣が骨にも及んでいるため治癒率が著しく低くなってしまいます。病巣が骨と遊離している場合でも慎重な治療が必要となります。