診療コラム

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予防、病気、しつけ、行動学など、飼い主の皆様に役立つ情報などをコラム形式でご紹介。ぜひご覧ください。

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凍結精液の人工授精に利用する黄体ホルモン測定。 20年03月15日

現在、犬の凍結精液による人工授精を行っております。メリットは①遠方のオスであっても交配可能②優秀なオスの遺伝子を残すことができる。③すでに亡くなっている雄であっても授精可能④ブルセラ等の性病にかかる心配がない⑤交配をいやがるメスでも可能。デメリットは①フレッシュな精子にくらべ排卵の日にちをきっちりとあわせなければ子供ができにくい②内視鏡による特殊な人工授精や手術による人工授精が必要③妊娠の確率は少し低下する。などがあげられます。そのため正確な排卵日のチェックが必要になります。膣スメア検査ではしっかりとした日にちの把握はできません。黄体ホルモン(プロゲステロン)は、検査機器によりかなり誤差がでるため選定が必要だと感じています。最近、他の機器を使用したものの経験が増えておりますが、現段階ではバイダス・ミニだけが世界的にみても今までの実績と証拠に基づいて安心して使用できる検査機器であると考えておりお勧めできるものです。気になる方はお問い合わせください。獣医師からのお問い合わせも可能です。

S.S

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猫の甲状腺機能亢進症の手術でめずらしい形態のものがありました。 20年03月13日

令和2年になり今年も甲状腺機能亢進症の猫ちゃん達の手術をさせていただいています。東大阪市、神戸市、京都市、福井県、香川県といろいろなところから手術でご来院いただいております。今回は少しおもしろい形態をもった甲状腺の手術をいたしました。甲状腺は4つに分裂し、頭側より1つ目と2つ目の間に上皮小体がありました。被膜ともに上皮小体の栄養血管を保存いたしました。分裂したタイプの甲状腺は今回で2例目です。獣医師向けの専門雑誌に手術法を掲載する依頼をいただいております。病気に苦しむ猫ちゃん達のために、甲状腺機能亢進症の外科治療を広めていきたいと思っています。

S.S

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腎臓の働きを改善する遺伝子「AIM」 20年02月15日

東京大学医学系研究科の宮崎教授が血中に存在するAIMという遺伝子を約20年前に発見し、このタンパク質の研究を続けていらっしゃいますが、その過程でAIMが腎臓の働きを改善することがわかり、ネコの寿命を大きく伸ばす可能性のある薬の開発に取り込まれているそうです。

東京大学の広報誌から、その研究内容について紹介させていただきます。

apoptosis inhibitor of macrophage の頭文字をとってAIMと名付けられた遺伝子は、白血球のうちのマクロファージを死ににくくする働きがあることが試験管内で確認されています。腎臓が障害されると、尿細管上皮細胞が死んで剥がれ落ち、尿細管中を閉塞します。そして、ヒトやマウスでは急性腎障害が発症した腎臓では尿細管を閉塞している死細胞にAIMが蓄積されることが確認されています。ヒトやマウスではここで、蓄積したAIMが目印となって死細胞が生き残った上皮細胞によって貪食されることで尿細管の閉塞は改善し、腎障害の治癒を促します。しかし、ネコではAIMが血中から尿中に移行する形になることができず、ヒトやマウスのような働きができていないそうです。

腎臓病では尿の通り道に死んだ細胞が溜まっていき、最終的に「トイレの排水管が詰まる」ようになって腎臓が壊れるが、AIMはここにゴミがあります、と知らせる札として働き、そのトイレのつまりを解消してくれるように動く、と話されています。

宮崎教授は現在、マウスの細胞からAIMを大量に生産し、精製する研究を進められているそうで、2022年までの商品化を目指しているそうです。

我々の臨床現場で使用されるようになるには、まだまだ色々な障壁があるかもしれませんが、高齢のねこちゃんとは切っても切れない関係の腎臓病に関する新しい治療法が楽しみでしかたありません。

M.K