診療コラム

診療コラム

予防、病気、しつけ、行動学など、飼い主の皆様に役立つ情報などをコラム形式でご紹介。ぜひご覧ください。

南が丘動物通信トップ

第66回ハワイ獣医師会年次大会 19年11月14日
11月7日から10日まで、ハワイ州のホノルルにて開催されました第66回ハワイ獣医師会年次大会に参加しました。
様々な分野で活躍される先生方のご講義を受講することができました。
講義のあった8日から10日まで、特に印象に残ったトピックについて1日ずつ書き留めておきたいと思います。
8日:Clandestine Hidden Common Dental and Oral Disease(Dr.Stepniuk)
題名の通り隠れた、麻酔下で検査しないとわからない歯科疾患について実際のケースを紹介して頂きました。
外側からは歯垢、歯石、歯肉炎なく、歯周ポケットも外側は問題ない、通常の口腔レントゲンでも問題ない、臨床症状としては軽い咳がでる、という症例で、口蓋側のみの歯周ポケットが深く、口鼻腔瘻があった、という症例は驚きでした。麻酔をかけて口腔内の検査をしなければ診断の不可能だった症例です。
他に紹介のあったケースには短頭種で、埋れたままになっていた臼歯が嚢胞となって周囲の歯や骨を溶かし、外科的な処置が必要なものがありました。
そこまで悪化する前に発見されて抜歯していれば、大掛かりな処置は必要なかったであろうため、欠歯、また数が多い歯についてのレントゲンの重要さのわかる症例でした
AHAの現在のガイドラインでは犬猫は年1回の歯科レントゲンを推奨しているようですが、国内では行なっていることのほうが少ないでしょう。麻酔のリスクもあるためなかなか今すぐに健康診断的に取り入れられない部分もあるのではと思われます。まずは避妊・去勢時に、欠歯等の異常があれば、歯科レントゲン撮影を行うことから始められるでしょうか。
9日:Feline infections Disease Hot Topics(Dr.Lappin)
米国では猫の経鼻ワクチンが使用されるようになりました。また、Dr.Lappinを含めたグループでFVRの経口ワクチンが開発途中です。
Dr.Lappin本人も10年前には不活化ワクチンは効力に不安が残るという話をしていたそうですが、エランコ社の発表で弱毒生ワクチンよりもよい抗体価を示したという報告もあり、(抗体価が高い≠防御できる、ではないと言及されていましたが)、ワクチンについても日々スタンダードが変わっていく様子を目の当たりにしています。
一番私が興味を持ったのは、経鼻ワクチンがナチュラルキラー細胞を活性化し、対象とするウイルス疾患以外の治療に効果が期待できるのではないか、という報告です。抗生剤等を用いた標準的な治療で上手くコントロールできなかった呼吸器疾患の猫で、インターフェロンを用いた群と比べて症状の改善に効果があったそうです。
他にも、猫の皮下注射による従来のワクチンには、接種部位肉腫というリスクがありましたが、経鼻ワクチンではそのリスクがないという点もメリットです。
今はまだ日本では認可されておりませんが、近い将来予防および治療に用いられるようになるでしょう。米国内の新しいワクチンの取り入れ方について、初めて聞いた内容も多く面白く感じました。
10日:MANEGING THE HYPERCOAGULABLE DOG(Dr.Li)
血栓症について、1コマ目は猫について2コマ目は犬についての講義です。動脈血栓は赤血球以外にも白血球、およびNETsと呼ばれる細胞から遊離したDNAなどからも構成されていることなどが最近の研究で分かっています。そのような血栓の成り立ちやフィルヒョーの三要素といった基礎から具体的な症例への治療までお話ししていただきました。
講義の中で、血栓症におけるヘパリンの使い方について、標準量を用いた群と、anti Xa levelを測定して個々に使用する量を設定した群で、血栓形成率が大きく異なるという2010年の報告が紹介されており、ヘパリンの使用量について再考する必要性が示唆されていました。
また、学会期間中に開催されましたカクテルパーティーでは楽しいフラやハワイ語紹介の余興もあり、今回の学会に参加されました全国各地の先生方とも交流させていただき、充実した時間を過ごすことができました。
M.K
10月14日JAHA年次大会2019 19年10月22日

東京大学でJAHA年次大会が行われました。残念ながら10/13は台風のため中止になりましたが、14日はなんとか無事行われました。年次大会の委員の方々には感謝いたします。JAHA流ラウンドに参加しました。猫の救急:循環器科、歯科の救急を聞きましたがなかなか興味深い知見が多く役に立ちました。子猫が感電し火傷を口腔内に負った症例は、骨壊死までおこしとても印象に残りました。猫ちゃんわんちゃん達コードをかじらないでね。認定医を目指すための症例発表会で当院も「猫の甲状腺機能亢進症における上皮小体の位置と手術法」62症例の発表をいたしました。まだまだ手術をされる病院がすくなく発表後質問を多くいただきました。残念ながら1日は中止になりましたが年次大会に参加できてよかったと思います

S.S

IMG_0986.JPG

生肉食フードについて 19年10月15日

最近のScience誌の記事で、生肉フードの危険性について取り上げられました。タイトルは Want to put dog on a raw meat diet? It could be dengerous for both of you 、わんちゃんに生肉フードを与えるの? わんちゃんもあなたも危険にさらされるで、とのことですが

内容としては、生肉ペットフードを調べると、規制を超える菌量が確認され、63%で薬剤抵抗性を持った菌が確認された、サルモネラが4%で見つかったことなどが報告などが挙げられています。2005年にもアメリカでサルモネラ感染症と不適切な生肉フードの関連が報告され、適切に調理されていない、人間の消費に適さないと判断された肉が用いられていることが原因ではないか、と言われていました。

特に、問題は薬剤耐性を持った菌です。わんちゃんもそうですが、そのフードを触ったオーナーがそのまま接種することで大きな問題になることは想定されます。家族に小さい子供や老人、免疫力の低下している人が含まれる場合はなおさらです。

日本で通常販売されているフードではあまり関係のない記事かもしれません。しかし、今は個人で外国製のフードもインターネットで比較的容易に手に入るようになりました。もちろんすべての生肉フードが不適切である、という報告ではありませんが、わんちゃんの健康はもちろん、オーナーさんの健康もたいへん大事なことですので、紹介させていただきました。避けられるリスクは避けた方が良いでしょう。

M.K