南が丘動物通信

学会ブログ

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7月19日 葉月会 循環器学シリーズセミナー 19年08月08日

僧房弁閉鎖不全症と心臓の左心房、左心室を隔てる弁に起きる異常であり、小型犬の心臓病の大半を占める病気です。特に多いとされている犬種はキャバリアで、ほとんどの犬が老年で罹患するのに対して、この犬種では1歳で罹患する症例も珍しくありません。今回は、菅野信之先生の「基礎からしっかり学ぶ循環器疾患シリーズ」の五回目を受講し、僧房弁閉鎖不全症の診断と治療について学んでまいりましたのでご紹介させてください。

僧房弁閉鎖不全症の治療方針としては内科的治療、外科的治療の2つが考えられます。内科的治療では細かいステージ分類が定められており、各ステージによって推奨されている治療法が異なってきます。したがって、僧房弁閉鎖不全症の治療においてはこのステージ分類が大変重要です。今回の講義では、そのステージ分類の方法、そしてそれぞれのステージに合った薬剤の選択の仕方、使用方法について詳しくご教授頂きました。心臓病は、症状が出始めたときには既にかなり重症であることが多いとされています。一般的に僧房弁閉鎖不全症の予後は良好とは言えません。しかし、早期発見により上手に付き合っていける病気でもあります。僧房弁閉鎖不全症は心雑音の聴取により発見することができます。普段から定期的に健康診断にきていただき、聴診させていただくことをお勧めします。

7/23 猫の獣医学シリーズ 猫の肝臓病3 19年07月23日

今回は石田卓夫先生の「猫の獣医学シリーズ猫の肝臓病3」という内容のセミナーを受講しました。

今回も前回に引き続き肝臓疾患に関するものでした。

肝疾患の中で代表的なものに肝リピドーシスという疾患があります。肝リピドーシスとは肝臓の細胞内に脂肪が過剰に蓄積してしまうもので、太った猫さんが食欲不振になるときに起こりやすい病態です。脂質代謝に異常がおこると赤血球膜に影響がでて有棘赤血球とよばれる奇形赤血球が血液内に見られたりします。主な治療法としては食事療法と肝臓の再生を補助する治療になります。食事療法は大切ですが、肝リピドーシスになっている猫さんは食欲不振に加え、嘔吐が問題になってきます。しかし、薬で嘔吐を抑えつつ食事をさせる必要があり、飼い主さんには負担が大きくなります。そのため、食道チューブや胃チューブなどを設置しそこから食事を給与したりします。食事はカロリー供給のため大切なのは言うまでもありませんが、水分供給の面でも大切です。よって食欲のないうちは輸液で対応します。また、肝臓の再生を補助する治療としてウルソ酸、抗酸化作用があるビタミンE、Cの給与をおこないます。また、肝胆道系に関連する疾患で三臓器炎というものがあります。三臓器とは胆管、膵臓、小腸を指します。これらの臓器は物理的に近い位置にあり、肝胆道系疾患や炎症性腸炎、膵炎などが波及することでおこります。犬と猫では胆管膵管開口部が解剖学的に違いがあることや十二指腸内の細菌数が多いことなどが理由としてあげられます。三臓器炎になると慢性の嘔吐の原因となることがあります。

肝臓は沈黙の臓器とよばれるほどなかなか症状が現れにくい臓器ですが、それでも肝臓の主題や黄疸など見落とさなければ気づくことができる症状もあります。今後、診察時にそのようなポイントをおさえ、スムーズに診断できるよう努力していこうと思いました。

K.G

7月20日 葉月会 臨床腫瘍学 シリーズセミナー 19年07月20日

「これは癌ですか?」

身体にできた出来物に対してよく聞かれますそのモノが癌かどうか、良性なのか悪性なのか、ひと目にして把握することは大変困難です。大切なことは針を刺して細胞を取ってきたり、切除して組織を検査センターに依頼したりする「症例の評価」です。見た目は普通そうに見えても悪性の場合もあります。代表的なものに「肥満細胞腫」があります。肥満細胞腫は急速に広がり、近くのリンパ節に転移することもあります。その際、全身のレントゲンや血液検査、超音波検査が有用となっており、TNM分類と呼ばれる転移の有無や骨浸潤具合を把握することで予後の評価にも役立たせることができます。

何か出来物が見つかった場合はなるべく早期に検査をすることが大切であり、毎日の診療において何か身体に変化がないか心掛けています。

H.F

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肥満細胞腫摘出術