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各種シンポジウム、セミナー、学会参加情報、
最新の獣医療などを掲載。
2月4日・第10回兵庫県開業獣医師会WEB講習会・WEB研究発表会
24年02月05日
2月4日(日)日本小動物医療センターセンター長/小動物腫瘍外科アドバイザーの廉澤剛先生の「肝臓腫瘍その特性から特殊器具なしに攻略する肝臓外科」のご講演をしていただきました。内容的には組織から生検、診断、手術まで広範囲にわたり、やや難しいものの非常にわかり易く脈管系の説明から手術手技の説明までしていただきました。そのあと研究発表会を廉澤先生と日本大学獣医放射線学研究室の合屋征二郎先生をオブザーバーとしてお招きしました。当院からは院長が「猫の甲状腺機能亢進症の評価および考察」という演題で発表を行いました。多数の手術数から統計をだしたものです。猫の甲状腺機能亢進症の治療は外科手術が推奨されることをこれからも広めていきたいと思っています。 S.S
12月17日・摂丹獣医師会 日本大学外科学教室、浅野和之教授講習会
23年12月18日
12月17日、日本大学浅野和之教授の講習会がありました。日本を代表する外科医の講習会ですので毎年楽しみにしております。午前中は胸水貯留液疾患の最新情報「膿胸と乳び胸というタイトルでした。猫の乳び胸に関しては従来からいわれていた外科治療法に関してずいぶん考え方が変わりました。午後からはいろいろな疾患のビデオをつかった講習でした。手術の電気メスやバイポーラなどの使い方には術者それぞれ個性があります。電気メスの使い方がとても勉強になりました。
S.S
第107回日本獣医麻酔外科学会学術集会
23年12月10日
第107回日本獣医麻酔外科学会学術集会が愛知県名古屋市にて開催され、参加してまいりました。前回の大宮大会もそうでしたが参加者がとても多く活気に満ちた学会でした。
整形外科シンポジウムでは猫の脊椎・脊髄疾患についてのシンポジウムでした。猫はあまり脊椎・脊髄疾患に遭遇する機会が多くないため興味がありました。脊髄硬膜外動静脈瘻は血管奇形のために生じる若齢猫で疼痛を呈する疾患で、MRIだけでなくCT検査にて異常血管を見つけることが重要ということがとても印象的でした。
軟部組織外科部門では下部尿路の腫瘍についての講義がありました。膀胱腫瘍の外科は侵襲の大きさと術後管理の大変さからなかなかハードルが高いものです。いま話題の分子標的薬についてのトピックもあったため、情報を整理することができました。
対面方式での学会開催はやはり多くの刺激を受けることができます。学会開催後もオンラインにて各プログラムを視聴することができるため聴講できなかった講義を視聴することが可能です。また学会後は交流会にて多くの先生方とお話することができました。それもまた良い刺激になりました。これからの診療に活かせる学会になりました。
T.S.
第44回 動物臨床医学会年次大会
23年11月19日
9月25日JAHA腫瘍学(オンデマンド)を視聴しました
23年09月25日
リンパ腫から固形癌まで、困難な腫瘍との戦い方
腫瘍内科再診アップデート
松山 新 先生
米国獣医内科専門医(腫瘍科)
アジア獣医内科学専門医(腫瘍科)
サスカチュワン大学 助教
リンパ腫や肥満細胞腫など普段の診療でよく遭遇する腫瘍に対する内科的なアップデートについて講義していただきました。
内容としては基礎的なグレード分類から最近の論文を含めた抗癌剤の治療成績に関してのお話や、実際に先生がどのような治療を行っているかなどより実践に即した内容まで幅広い内容を聞くことができました。
癌という病気は完治するものではなく、また抗がん剤に関してもどうしても後ろ向きな感情を持ってしまいがちではあります。きちんとした根拠を説明させていただき納得した上で、病院と飼い主様とで協力しながら治療を行っていけたらと思っております。
そのためにも今回勉強したことをしっかりと吸収し、フィードバックしていくとともに、今後もしっかりと勉強してきたいと思います。
S.A
KYOTO ARセミナー 前十字靭帯断裂に対するTPLO法
23年09月24日
前十字靭帯断裂に対するTPLO法
岩田 宗峻 先生 東京医科歯科大学
KYOTO AR主催の実習型セミナーに参加してきました。近年では模型を用いたドライラボが盛んになっており、講義だけでなく実際に手を動かして技術を学べるセミナーが増えております。今回は前十字靭帯断裂に対するTPLO法(脛骨高平部水平化骨切り術)についてのセミナーでした。
前十字靭帯断裂は動物病院でよく遭遇する疾患で、前十字靭帯の変性、断裂により後肢の跛行を呈するものです。手術法がいくつか考案されており、ラテラルスーチャー法やTPLO法が手術法として選択されます。人の脛骨は大腿骨に対して垂直に位置していることからもともと前十字への負荷が少ないらしいですが、動物の脛骨は大腿骨に対して斜めに位置しており、そのせいで脛骨が前方へ滑るように負荷がかかるため前十字靭帯への負荷も増大します。TPLO法は、大腿骨に対して斜めだった脛骨を、水平方向になるように骨切り・移動させることで脛骨の前方変位の力を低下させ膝関節を安定化させる手術法です。つまり人の膝に近づける手術、ということになります。
TPLO法には独自の器具が必要であり、理論もそうですが器具の扱いにも慣れが必要です。講師の岩田先生は前半部分では理論の説明を分かりやすく講義していただき、後半部分ではTPA測定や術式を解説していただきました。実際にはランドマークとなる部位が見えないことや、重要な血管を傷つけないようにするなど各種注意点も指導していただきました。
このような実習型セミナーに参加すると良い刺激をもらうことができます。これからの診療に活かしていこうと思います。
T.S.
9月18日 志学会年次大会に参加してきました
23年09月18日
今までの術後管理に外科代謝栄養のエッセンスをプラスしよう!
酪農学園大学 鳥巣 志道先生
志学会の獣医師セミナーに参加してきました。
今回のご講演は、たびたび志学会で講義をしてくださっている鳥巣先生による外科代謝栄養に関して詳しくお話していただきました。
外科代謝栄養というと聞きなれない言葉ではありますが、外科手術において麻酔やそれ自体がどのように体の代謝に影響を及ぼし、それに対してどう付き合っていけばよいのか。
高齢の動物に対する麻酔にかんして等、普段の経験で確かにあるある!でも具体的に説明するとなると難しい。
といった事を理論的に説明していただきました。
そのうえで外科手術時のみではなく、肝リピドーシスや栄養失調時に不足し、転嫁するべきビタミンなどに関してのお話していただき、栄養学の知識のアップデートできたと思います。
普段の診療ではあまり気にしていなかった分野の情報になるので今までの治療にプラスして意識していきたいと思います。
S.A
志学会 月例会
23年09月15日
角膜疾患の病態生理から考える治療のロジック
仁藤 稔久 先生 柏原どうぶつクリニック
今月の志学会の月例会は、どうぶつ眼科クリニックで研鑽を積まれた仁藤先生による角膜疾患についての講義でした。角膜疾患はその激しい痛みからご家族がすぐに気づくために、動物病院では日常的に診察する機会がある病気です。主に角膜に傷をつける角膜潰瘍が多いのですが、皮膚の傷とは病態や治癒過程が大きく異なるため、まず解剖などの基本から立ち返って講義していただきました。
治療のためにはまず確実な検査・診断が必要ですが、フルオレセイン染色やスリット細隙灯検査など画像を用いてわかりやすく解説していただきました。やはり細菌感染があると治癒に大きな影響を及ぼすため、抗生物質の使用は感受性試験なども実施する必要があると再確認いたしました。ドライアイについても分類や治療法について復習できました。日頃から私たちが実施している診断・治療法がさらにアップデートできたと感じました。
日常的に遭遇する病気なだけに、このような基礎から見直す講義はとても有意義でした。先生の幅広い知識・ご経験にも感嘆いたしました。日頃の診察に活かしていこうと思います。
T.S.
8/20 志学会 症例検討会
カテゴリー:セミナー
23年08月20日
志学会 症例検討会
3年ぶりに対面式で開催されました志学会の症例検討会に院長、吉田、中山、大﨑の4名で参加させて頂きました。
コメンテーターには 奥田優教授(山口大学 獣医内科学教室)、板本和仁准教授(山口大学 獣医臨床診断学研究室)の2名の先生をお招きし、活発なディスカッションをさせて頂きました。当院からは、中山「腸管に腫瘤状病変を形成した猫伝染性腹膜炎の2例」、大﨑「猫の甲状腺機能亢進症における両側甲状腺摘出症例の評価および考察」の2演題を発表させて頂きました。臨床経験豊富な先生方からアドバイスや意見を頂き、コメンテーターの先生からは最新情報に基づいた意見を頂戴し、貴重な経験をさせていただきました。
また、他院の先生方から興味深い症例のお話を聞かせて頂き、大変勉強になり非常に有意義な時間となりました。本会で得た知識を持ち帰り、今後の診療に活かしていきたいと思います。
D.N.
志学会 月例会 2023年7月21日
カテゴリー:セミナー
23年07月22日
「犬の多中心リンパ腫の診断」
米地若菜先生(奈良動物二次診療クリニック)
今月の志学会月例会は、犬のリンパ腫の約80%を占める多中心型リンパ腫の診断についてのセミナーでした。
多中心型リンパ腫は、体表リンパ節をはじめとする全身性のリンパ節腫大、脾臓や肝臓などへの浸潤を特徴とし、病理学的詳細および免疫組織学的特徴によりさらに細分化されます。大きくB細胞性とT細胞性に分けられ、一般的にはB細胞性の方が予後が良いとされますが、B細胞性の中でも進行が早いタイプと遅いタイプが存在します。分類により予後や治療法が異なるため、正確な診断が重要ですが、細胞診だけでは診断がつかないタイプも存在し、その場合は組織生検が必要です。
また、ステージ(病期)によっても予後が大きく異なるため、腫大しているリンパ節の部位や数、肝臓や脾臓への浸潤、末梢血や骨髄を評価する必要があります。リンパ腫の動物がしんどいのはただリンパ腫だからではなく、リンパ節の腫れによる圧迫や腫瘍の肺浸潤、DICなどが原因であるため、ステージング(病期分類)により動物がなぜしんどいのかを把握し、治療において何を優先するかを決めることが重要です。
今回の講義により、多中心型リンパ腫の詳細な分類やステージングはリンパ腫のわんちゃんやねこちゃんのしんどさを軽減するためにとても大切であることを再認識しました。
Y.O.
7月8-9日 WJVF 2023 14th Annual Meeting
カテゴリー:セミナー
23年07月11日
7月8日・9日にホテルニューオータニ大阪で開催されたWJVF(West Japan Veterinary Forum)の年次大会に参加させていただきました。
4年ぶりの現地での開催で、たくさんの先生方や愛玩動物看護師の皆さん、学生さんと一緒に講義を受けることができ、とても有意義な時間でした。
講義は基礎的な知識を固めるものがほとんどで、より理解を深めることができました。また、救急の現場で活躍されている先生方の講義も大変勉強になりました。
塗木貴臣先生(TRVA動物医療センター)による「エマージェンシーの鑑別と初期対応」の講義では、意識障害の鑑別として医学において有名な「AIUEOTIPS」の語呂合わせをもとに、A(急性肝不全、アシドーシス、急性血管障害)、I(高/低血糖)、U(尿毒症)、E(脳障害、内分泌、電解質)、O(低酸素)、T(外傷、体温異常、腫瘍、中毒)、I(感染症)、P(薬剤)、S(痙攣・失神、循環不全、低栄養)のそれぞれの病態と初期対応を学びました。救急の現場では「手を動かしながら頭も動かす」ことが重要であり、そのためには正しい知識と深い理解が必要であると実感しました。
森田篤先生(大阪公立大学獣医臨床センター夜間救急診療科)による「食べると危ない!〜身近に潜む危険な物〜」の講義では、異物や毒物を摂取した場合の対応について学びました。病院に着いてからの対応はもちろん、ご家族からの電話への対応のポイントを教えていただきとても参考になりました。電話では、「いつ、何を、どれくらい」食べたかを聞くことは簡単ですが、誤食物に合わせてプラスアルファの質問やお願いをすることで病院に着いてからの対応をより良いものにできます。
例えば、キシリトールガムやチョコレートでは商品によって中毒物質の含有量が異なるため、「食べてしまったものと同じものを持ってきてください」とお伝えします。人の解熱鎮痛剤であるアセトアミノフェンは猫において犬より強い症状が出るため「動物種」を確認することが重要です。タバコの浸出液はタバコそのものより吸収が早いため、「来院までに水を飲ませない」ように伝える必要があります。またタバコは胃酸抑制薬により吸収が促進されるため「内服中の薬」があれば持ってきていただくと良いです。
誤食物によっては毒性が強く、一刻も早く処置しないといけないものもあります。電話で聞くこと・伝えることは誤食物によって異なるため、毒物が引き起こす症状や特性を知っておく必要があると学びました。
他にも多くの講義を受けることができ、良い経験になりました。今回得た知識を今後の診察に活かしていきたいです。
Y.O.
6月16~18日 第106回日本獣医麻酔外科学会学術集会
カテゴリー:セミナー
23年06月18日
ホームページでもお知らせさせていただいておりましたが、6月17, 18日、日本獣医麻酔外科学会学術集会に参加させていただくため埼玉県大宮市に行ってまいりました。長いあいだ新型コロナウイルス感染症流行に伴い対面式の学会開催が中止されてきましたが、前回の福岡大会より対面方式が復活し、今回の大宮大会でさらに充実した学会開催となりました。
軟部組織外科シンポジウムでは腸閉塞/腸重積についてでした。画像診断を駆使して早期に診断し、適切な外科手術を実施するかがやはり重要ということを再認識いたしました。腸切除後の短腸症候群については小動物領域においては意外と発生率が低いのではないかとする考察は興味深いものでした。
麻酔・疼痛管理シンポジウムでは犬の僧帽弁閉鎖不全症における麻酔管理についてでした。麻酔リスク評価には多くの先生方が超音波検査にてしており、当院においても実施可能であるため参考になりました。またやはりバランス麻酔が大事であり、一つの麻酔薬だけでなく鎮痛効果を発揮する各種薬剤を組合わせて、吸入麻酔薬の用量を減らしていくことが大事だと理解しました。
対面方式での学会開催はやはり多くの刺激を受けることができます。私もプログラム後に講師に質問させていただき、自分の疑問点を会場の方々と共有し、意見をいただけたことで大変勉強になりました。さらに学会開催後もオンデマンドにて各プログラムを視聴することができるようになりました。これは新型コロナ感染症流行前にはなかったシステムのため、アフターコロナにおける数少ない良い点なのかもしれません。
学会後は多くの先生方と交流させていただきました。懐かしい顔に会って旧交を深めたり、新たに知り合う先生方との出会いで横の繋がりができるのが学会参加の醍醐味でもあります。患者さんにはご迷惑をおかけして申し訳ないですが、今後も機会を見て参加できたらと思っています。
T.S.
3月22日 兵庫県開業獣医師会セミナー「神経疾患の診断と治療」
カテゴリー:セミナー
23年03月30日
今回は岡山理科大学 獣医学部 外科助教 糸井崇将先生をお招きし、神経疾患の診断と治療という題目でご講演頂きました。
神経疾患を疑う症状として、ふらつき・発作・旋回・斜頸などがあります。診療において神経疾患を疑う場合には神経学的検査、レントゲン検査、CT検査、MRI検査などを行います。今回の講義では、神経学的検査の方法や評価のポイントを写真・動画を交えて丁寧に解説して頂き、神経学的検査の手技を再確認できました。神経学的検査は特別な道具や設備を必要とせず、どこでも実施できる基本的な検査ですが、正しく評価することで病変の場所や重症度を推定できるため、この検査の重要性を改めて感じることができました。
講義後半では、神経疾患の代表格でもある椎間板ヘルニアを中心に最新の情報も踏まえながら画像診断のポイントをご講義いただきました。神経疾患の診断のポイントを包括的にまとめて頂き、内容は盛りだくさんでしたが非常に分かりやすく、明日からの日々の診療に役立てるものばかりでした。
講義の後は、診断に苦慮した神経症状を呈する症例を持ち寄り、症例検討会を行いました。参加されている先生方のさまざまな意見を聞くことができ、大変興味深かったです。私も活発な討論に参加できるよう日々精進していきます。
D.N
志学会 月例会
カテゴリー:セミナー
23年03月17日
「ソレンシア」について
橋口順子先生(ゾエティス・ジャパン株式会社)
今月の志学会月例会は、今年の2月に新発売されたソレンシアという注射薬についてのセミナーでした。すでに欧米などの世界では使用されているものですが、遂に日本にもやってきたという感じです。
人では加齢とともに関節痛に悩まされますが、それは猫においても同様で、加齢、肥満、遺伝などにより関節に負担がかかることで変形性関節症に陥ります。12歳以上の高齢猫の関節疾患の罹患率は90%ととても高いにもかかわらず、猫はその症状が明白でなく、飼い主であるご家族でご自身の猫の関節炎を認識されている方はごくわずかといわれています。ジャンプをしなくなる、活動性の低下、グルーミングの減少、怒りっぽくなるなど日常動作に影響を及ぼしているのですが、それが単に加齢に伴うものと判断されているようです。
ソレンシアはモノクローナル抗体による、関節症に伴う疼痛を緩和する治療薬です。いわゆるNSAIDsなどの痛み止めと異なり腎臓、胃腸などへの影響も最小限で、かつ1回の注射で1か月効果が持続します。猫は投薬が大変な子も多いため、この投与方法はご家族にとっては非常に利便性の高いものです。
ソレンシアによる治療も大事ですが、まず猫の関節疾患をご家族に認知していただくことが重要かと思います。関節の痛みを発見するためのチェックシートなどもございますので、高齢猫を飼われているご家族は参考にされたら良いかもしれません。
講義は動画も交えてとても分かりやすいものでした。今後の診察に活かしてまいります。
T.S.
志学会 月例会 2023年2月17日
カテゴリー:セミナー
23年02月17日
復習しよう!猫のリンパ腫に対する診断と治療
大阪公立大学 獣医内科学教室 大阪公立大学附属獣医臨床センター 内科診療科/腫瘍科
古家 優先生
今回は対面での開催でした。テーマは猫のリンパ腫に対する診断と治療についての復習ということで、猫のリンパ腫で多く遭遇するタイプの消化器型、鼻腔内リンパ腫、皮膚型リンパ腫を中心に解説していただきました。
消化器型リンパ腫は猫のリンパ腫で最も発生が多いタイプで、その中でもLow-grade、Intermediate〜High-Grade、そしてLarge Granularタイプと細分化されます。ここで多くの獣医師を悩ませるのが、このLow-Gradeリンパ腫と炎症性腸疾患の鑑別ですが、今回はその点についても詳しく解説していただきました。臨床症状エコー検査、内視鏡、病理検査などを組み合わせて判断するべきで、特にLow-Gradeリンパ腫では内視鏡において病変部位の肉眼所見を注視しつつ、採材部位も十二指腸と回腸をそれぞれ分けて採材すべきだという話も再認識させていただき、ケーススタディも混じえて解説していただきました。
鼻腔内リンパ腫は、実際の公立大学での放射線治療の実績も交えて生の声を聞くことができました。皮膚型リンパ腫は猫では稀ですが
数少ないケースで、治療は確立されていないため、局所であれば外科切除や放射線治療多発していればC C N UやC H O Pなどを検討すべきとのことで、ワクチンの注射部位に発生することもあるそうです。今後様々な報告にしたいです。
R.I
第27回日本獣医がん学会
カテゴリー:セミナー
23年01月29日
年に2回開催される日本獣医がん学会の第27回学会は、久しぶりの大阪会場での会場開催となりました。徐々に学会開催も以前のような形態になりつつありますが、ウェブ上でも講義の内容を再び聴講できるなど、以前よりも利便性も増してハイブリッド開催の良い側面だなと感じました。
メインシンポジウムは「がん終末期のケア」でした。終末期の動物の治療はさまざまな面でのケアが求められます。動物に対しては何より大事なのは苦痛を取り除いてあげることであり、それはがん治療に並行して実施することが重要です。緩和ケアという言葉は治療不可能な状態の子に行う治療という意味ではなく、がん治療と同時に行うことで生活の質を維持してあげるためのケアであり、これは人医療でも動物医療でも同じ考えに基づいていると感じました。また同時に動物だけでなく、飼い主さんへのケアも十分に考慮せねばなりません。やはり自分のワンちゃんや猫ちゃんが危ない状態に陥ったときに抱く飼い主さんのお気持ちは察するに辛いものです。人医療において、亡くなっていく患者さんといかに対話していくのか、現場に立ち続ける医師のお話を聞けて、とても胸を打つものがありました。
T.S.
1月27日 志学会Webセミナー 皮膚ケア用療法食「オールスキンバリア」のすべて
カテゴリー:セミナー
23年01月28日
今回は日本ヒルズ・コルゲート株式会社 奥田展子先生より皮膚ケア用の療法食として新発売された『オールスキンバリア』についてご講演頂きました。
診療で目にする皮膚疾患として、細菌・真菌感染、ノミ・ダニなどの外部寄生虫感染、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎などが挙げられます。この中で食物アレルギーや環境アレルギーによる皮膚疾患においては、原因物質の特定のためにアレルギー検査をしたり、除去食試験の反応をみたりと個々のワンちゃんに合わせた療法食の選択に時間と費用がかかっていました。「オールスキンバリア」は、皮膚・被毛のケアをしながら、環境・食物アレルギーにも対応できる新たなフードの選択肢として期待されます。今回はオールスキンバリアの主な特徴を紹介します。
1つ目の特徴は、健康な皮膚を維持するために必要な栄養素が豊富に含まれていることです。皮膚のバリア機能の維持や役立つ必須脂肪酸(ω-3脂肪酸・ω-6脂肪酸)、ビタミンAや亜鉛などに加えて、抗酸化成分・ポリフェノール・卵を組み合わせた独自の栄養ブレンド"ヒスタガード"を含有しており、皮膚・被毛のための栄養素がたっぷり含まれています。
2つ目の特徴は、単一の動物性タンパク質として鶏卵を使用していることです。鶏卵は必須アミノ酸のバランスが良く、生物価が高い良質なタンパク質の摂取ができます。また、食物アレルギーの原因抗原として卵は稀であるため、より多くのワンちゃんに対応できます。
これまで「オールスキンバリア」を試したワンちゃんでは、引っ掻き行動が減少し、睡眠の質の向上や便スコアが良くなったという報告もあるそうです。
ただし、オールスキンバリアは既に卵アレルギーと分かっているワンちゃんにはおすすめされません。また、脂質が高いため膵炎の既往歴があるワンちゃんには推奨されませんが、あらゆる皮膚疾患でお悩みのワンちゃんに対応できる療法食の選択肢として期待されます。ご興味のある方はぜひ獣医師までご相談いただければと思います。
D.N
日本獣医循環器学会12月17・18日開催
カテゴリー:セミナー
23年01月19日
心腎連関
第117回日本獣医循環器学会・認定医講習会に参加してきました。その中で特に興味深かった一部の内容を報告いたします。
心臓と腎臓は互いに密に関連していることは明らかです。僧帽弁閉鎖不全症になると心臓に多大な負荷がかかり、その負荷を軽減するために利尿薬が必要な場合があります。利尿薬を使うと腎臓に負担がかかります。今回、心疾患患者の心臓と腎臓へのアプローチ方法を学びました。
まず、心臓病が悪化すると咳をすることがありますが、その咳は本当に心臓由来なのか?呼吸器由来ではないか?と見極めることから始まります。心臓への治療を行っても改善せず、呼吸器疾患だったという話もよくあります。
飼い主がペットの見た目の変化で気付きやすい点はリラックスしている時、つまり安静時の呼吸数です。(安静時:犬40回/分以下、猫30回/分以下)規定の回数を超えてくると呼吸が荒いと判断することもあります。その際はレントゲン検査がかなり有用となっており、判断基準となります。
また、心臓病は進行してくると腎臓病も併発するリスクがあります。心臓は全身に血液を送るポンプの働きをしており、特に僧帽弁閉鎖不全症患者における慢性心不全では腎臓への血流不全による尿細管障害や腎血流量の悪化を招き、慢性腎臓病を発症させる可能性があります。
心臓および腎臓の管理のために現在の状況把握が大切になってきます。血液検査・超音波検査・尿検査や血圧測定が有用であり、それらに合った治療法がそれぞれあります。正しく把握して見極める能力が大切であると改めて認識しました。
H.F
V M Nオンラインセミナー〜「明日から役立つ」シリーズ〜腫瘍学編Vol17~28〜
カテゴリー:セミナー
22年12月24日
講師 瀬戸口明日香先生
今回のセミナーは遭遇しやすい腫瘍について、適切にご家族に説明できるインフォームドコンセントのポイントを中心に解説するシリーズです。
現段階では総論として、抗がん剤の使用における注意点や一般的な腫瘍随伴症候群について、各論では腫瘍リンパ腫、乳腺腫瘍、メラノーマ、移行上皮癌、血管肉腫に遭遇した際にご家族の方々に伝えるべき内容を腫瘍特性に沿って解説していただきました。
まず、「腫瘍」というのは言わずもがな、他の疾患よりも診断時のご家族の精神的負担が大きいのにも関わらず、進行が早いものが多いため様々な決断を早くしないといけない点が厄介です。そのため、我々獣医師はご家族のかたが理解しやすく、かつ納得のいく治療と検査を潤滑に進めて行く必要があります。どうしても、若手の経験が乏しい獣医師はこの「説明」という能力が欠如してしまいがちで、自身もセミナーを通して腫瘍を説明する際のポイントや心がけの点で足りていない部分を自覚することができました。さらに、今回のセミナーでは、そのような点を重点的に解説することに加え、Case Studyとして自分ならどう考えて、説明するかを考えるというコーナーもありセミナーを見ただけなのですが、その疾患を何通りか経験したかのような感覚になりました。このセミナーの経験を活かして、腫瘍だけでなく、その他の疾患に遭遇した際も動物とそのご家族に寄り添った説明と治療の選択がより最善のものになればと感じました。
来年以降もこのシリーズには期待させていただいています。
R I
12月13日兵庫県開業獣医師会症例検討会「診断に苦慮した症例~血液・内分泌疾患を中心に~」
22年12月21日
当然のことのようですが、正しい治療を行うには正しい診断が必要です。しかし熟練した獣医師であろうといつでも正しい診断を下せるとはかぎりません。講師に山口大学の上林聡之先生をお迎えした今回のセミナーはそんな話題でした。
診断のエラーには見逃し・誤診・診断の遅れといった3種類があります。これらの診断エラーは獣医師個人の力量のみによらず、環境や設備、検査の精度、多過ぎる情報やその精度、伝達の成否、確信・思い込みによる認知バイアスなど様々な要因が関わって起こります。認知バイアスとは、人間誰しもが陥る「認知の偏り」、つまり偏った見方・考え方の癖のことです。認知バイアスには様々な種類があり、しかもそれらは同時・連続して起こり得ます(図)。必要最低限のコスト(検査や通院にかかる時間、費用)で正しい診断をつけることは動物と飼い主さんにとっても最善なことです。 典型的な症状を示す患者が現れた時、普通は最もあり得る疾患をまず疑いますが、決め打ちで限定的な検査のみを行うとき、同時に見逃しや誤診の落とし穴が隠れているようです。
・シグナルメントと赤血球の非再生像からNRIMAを疑った症例念のため追加検査したところ実はバベシア感染症だったと判明するまで100日かかった例
・起立困難を示す他院からの紹介症例で、最初に内服中の薬をよく聞かなかったがために基礎疾患にある甲状腺機能低下症に気づくまで1年かかった例
・6ヶ月齢で不明熱を示す犬の症例で、ステロイドに反応するため経過観察と再発を繰り返すうちに診断が下るまで3ヶ月かかった例
この症例は最終的に先天性の下垂体機能不全による続発性副腎皮質機能低下症と診断されました。この間致命的な炎症性疾患に罹患するリスクを抱えていたことになります。
患者本人が言葉を話せぬ動物である以上、飼い主と獣医師が協力して治療を行うということが獣医療の真髄ともいえるのではないでしょうか。再考・反省をかさねて、日々出会うひとつひとつの症例に丁寧に接していきたいと思いました。
12月11日・摂丹獣医師会 日本大学外科学教室、浅野和之教授講習会
カテゴリー:セミナー
22年12月20日
「ヘルニアを塞ぐ、コツとピットフォール」「胃腸管手術の基礎と応用」の演題で行われました。日本を代表する外科医である浅野先生の講演はいつも何かしらの刺激をもらっています。今回は胃の手術であまり獣医師の教科書的に載っていない方法やその生理、胃の手術により起こる利点、問題点等をとても楽しく聞かせていただきました。ビルロート1型、ビルロート2型が良く用いられますが、ルーワイ法、アンカットルーワイ法、空腸間置法、空腸ポーチ間置法、空腸ポーチルーワイ法、ダブルトラクト法などの説明がありました。外科は術者の腕でとても予後が変わることも多く重要な科です。常によりよい手術につなげれるような努力が必要です。さらに皆様によい技術をご提供できるように努力をしてい行きたいと思います。S.S
VETS TECH WEB SEMINAR Vol.42 〜犬のクッシング症候群の治療を見直す〜
カテゴリー:セミナー
22年12月14日
VETS TECH WEB SEMINAR Vol.42 〜犬のクッシング症候群の治療を見直す〜
講師 松木 直章先生
クッシング症候群は、日々遭遇する内分泌疾患としてメジャーなものの一つであり、
多飲多尿、多食や腹部膨満などの変化でご家族の方が気づいて来院されるケースが多いです。しかし、実際に問題となってくるのは、血栓症や糖尿病、高血圧、易感染化による肺炎や尿路感染等の続発性疾患をたくさん引っ張ってくるという点にあります。
今回のセミナーでは、クッシング症候群の治療について見直し、再確認に重点を置いて解説していただきました。
治療には、トリロスタンを使用します。この時注意点として、重度の併発疾患を持つ動物には慎重に薬用量を検討しなくてはならないですが、特にクッシングの犬の腎機能の評価は要注意が必要です。クッシングでは、筋肉量が少なくなっているので、腎機能の指標の一つであるクレアチニンは比較的低値になるため、I R I S分類で評価していると過小評価になります。そのため近年腎不全の早期診断パネルとして活用されているS D M Aなどが指標の一つとして有効なのでは?と考えましたが、これについてはまだ論文の報告がないそうです。
クッシングの経過検査をA C T H刺激試験→1時間後に検査というものがメジャーでありますが、近年ではコートロシンの投与をせずにトリロスタンを飲む前と、飲んで3時間後にコルチゾールを測定することで、クッシングコントロールのチェックの指標とできる報告も出てき始めており、これは動物の検査負担も緩和できると言う点で考慮すべきなのかなと感じました。
そのほか、クッシングの治療中における危険信号とその対応、併発疾患の治療など、再確認すべき点を整理して解説していただきました。
冒頭でも述べた通り、犬のクッシング症候群はよく遭遇する疾患のうちの一つで、しっかりとコントロールをしないと、動物のQ O Lを著しく下げたり、時には致死的な状態にもさせ得るため、まず早期の発見と適切な治療を行なっていくべきだと再確認いたしました。
年明けには、クッシングの診断編も考慮しただけるみたいなので、期待したいです。
R.I
12月8日・9日・10日 JAHA国際セミナー 呼吸器学
カテゴリー:セミナー
22年12月10日
Dr.Johnsonに教わる「The 呼吸器額」~正しい診断で適切な治療を目指そう
講師 Dr.Lynelle Johnson
DVM,MS,DACVIM(SAIM) Professor,University of California-Davis
JAHAの国際セミナーに参加してきました。
犬と猫の呼吸器疾患に関して、身体検査や症状に関する基本的なことから、先生が実際に行った比較研究の結果や新しい論文に関してまとめたものを教えていただいたり、あまり遭遇しないような特殊な例まで多様性に富んだ講義をしていただきました。
咳に関して、ネブライザーの有用性を再確認しました。また、気管虚脱に対して抗不安薬を使用していたり、今までの治療にプラスになるような内服の使い方などを知れたと思います。他にも粘液排出のための方法として、クパージュという方法を初めて知りました。動画を拝見すると特に道具なども必要としない方法であり、オーナー様の自宅におけるケアの1つとしてプラスで活用できやすいと感じました。
そのほかにも普段の診察でよく遭遇する気管虚脱や肺炎、猫のヘルペスウイルス感染症などに関してインフォームドを行う際の注意点や薬剤の選択に関して新しい見解ともにお話いただました。
また今回は、症例のほとんどで気管支鏡を用いての診察を行っており、気管洗浄からの細胞診についても詳しく説明いただきました。
気管洗浄に関しては気管支鏡を用いての方法以外にも、軽い鎮静下や、気管チューブを利用した方法に関しても詳しく説明していただきました。ぜひ活用して診断の一助にできたらなと思います。
他にもボリュームたっぷりの興味深いお話を伺わせていただきました。しっかりと復習し、院内でもほかの先生方とも共有することで、今後の診察に生かしていけたらと思っています。
S.A
どこでも気軽にできる犬のがん検診
カテゴリー:セミナー
22年11月14日
11/14 葉月会セミナー
今回のセミナーは犬のがん検診"リキッドバイオプシー"についてでした。久方ぶりの対面形式のセミナーでした。
現在犬の死因のトップは「がん」であるわけですが、なかなか早期発見が難しく、発見された頃にはステージも進行してしまっているということも多いのが現状です。
そこで開発されたのが、血液で診断ができるリキッドバイオプシーです。
これは、伊藤先生が、元国立がん研究センター分野長 東京医科大学 教授 落合孝広先生と共同で研究、開発されたがん検診の新たな早期発見ツールです。
その原理としては
がん細胞が出している「マイクロRNA」の検出です。マイクロRNAは、がん患者の血液中でその種類や量が変動することが知られています。
そもそもマイクロRNAとは
血液中に存在している遺伝情報で、特にがん細胞が出しているマイクロRNAは、
抗がん剤への抵抗性の発現、転移能や浸潤能(転移したり広がって行く能力)を獲得するための遺伝子になっていたりします。
このマイクロRNAを血液サンプルから検出する
リキッドバイオプシーでは以下の点が可能になります。
①健康診断と両立してがん検診ができる
②ステージ1での早期発見、早期診断が可能
③これまで存在しない犬のがんマーカーになりうる
④再発の予測ができるかも?
⑤動物に負担を与えず検査ができる
⑥早期診断により、根治する症例がふえる
検査の感度特異度も95%と高く、
現在は肝細胞癌、悪性リンパ腫、肥満細胞腫、メラノーマ、移行上皮癌の5種の診断が可能となっており、いずれも早期発見が重要な鍵を握る癌であります。
現在他の8癌種も解析しており、将来的にはそれらも検出可能になると犬の癌の7割を網羅できることになります。すでに検査キットの入手も可能になっているので、ご興味がある方は是非ご連絡していただくか、診察時に担当獣医師に相談してみてください。
R.I
10月30日兵庫県開業獣医師会WEBセミナー・WEB研究発表会
カテゴリー:セミナー
22年11月02日
開業獣医師会(ベッツ兵庫)第7回WEBセミナー・WEB研究発表会が行われました。セミナーは大阪公立大学獣医外科研究室神経・整形外科診療科西田英高先生「臨床現場で差がつく!神経学的検査~ハンズオン編~」でした。前回のハンズオフ編に続く講演で、画像も多くあり理解しやすいものでした。「跳びなおり反応は猫ではCPより正確である」「神経障害は小脳では同側に出る」「フローティングは前肢の歩幅がせまく高く上げて歩く」「猫の脊髄リンパ腫は脊髄障害のもっとも一般的な理由で腎臓、骨髄からの続発・併発が多い」「第Ⅲ‐Ⅶ神経は延髄が支配」「前庭系疾患はくらくなるとひどくなるため明るくしておくとよい」などあたりまえのこともありますが、いろいろと再確認したことも多くためになりました。研究会では当院から「術後低血糖と糖尿病の両方がみられたインスリノーマの1例」中嶋佑治、姫路の藤本泰史先生「扁桃及び内咽頭後リンパ節切除後に嚥下障害を発症した犬の1例」淡路の安藤武樹先生の「イヌとネコに発生した血栓栓塞症(心筋梗塞と脳梗塞例)」の3題でした。それぞれ大変興味深く拝聴いたしました。S.S
10月21日 志学会 特別公演「食事による消化器疾患へのアプローチ」編
22年10月21日
北海道 酪農学園大学から鳥巣 至道先生をお招きしての講演会がありました。
鳥巣先生は低侵襲獣医療や肝臓・膵臓などの消化器内科および外科を研究されており、近年ではフードやサプリの開発も手掛けております。
病気に対して薬や食事制限などを行うのは常ですが、鳥巣先生は動物たちが普段食べているフードに着目し、特にアミノ酸の補充により改善を認めた症例の報告を数多く解説されました。
また、食事中に含まれる食物繊維の有用性やそのサプリメント、手作り食を作る際の注意事項など、臨床現場にすぐに使える豊富な知識を得ることができました。
今後の治療方法に活用していこうと思います。
H.F
10/5 第7回 OMU-VMC WEBセミナー 〜先生、犬が倒れてます!失神発作に対するアプローチ〜
カテゴリー:セミナー
22年10月06日
大阪公立大学獣医学部附属獣医臨床センター
10/5 第7回 OMU-VMC WEBセミナー
〜先生、犬が倒れてます!失神発作に対するアプローチ〜
Dr金城、Dr西田 Dr島村
第7回の大阪公立大学附属獣医臨床センター主催のセミナーは失神、発作に関する診断アプローチに関する内容でした。メインは治療法というよりも、"倒れた"という主訴で来院された症例へのアプローチ法を①、内科疾患②神経疾患③循環器疾患と3パートに分けてのセミナーでした。
内科疾患編では、倒れた!という主訴で来院されてから、失神なのか、発作なのかを判断し優先的にすべき事項を列挙した上で、見落としがちな疾患や逆に見落としてはいけない疾患を例に挙げて説明してくださったことで自分の中での知識の整理と理解を深めることができました。
神経疾患編では、原因が大脳、脳幹、小脳にある場合に考えていく事柄についてでした。てんかん発作と失神の区別は非常に重要で、我々も日々の診療で問診の段階でご家族の皆様と一緒に一つ一つ確認していくのですが、人医学の方では、失神とてんかん発作を区別するためのスコア化された基準が存在しているので、獣医領域でもそういったスコアが確立されれば分かりやすく飼い主様も認識できるのではないかと考えました。一口に発作と言っても症状は様々で、全般性発作や部分性発作、珍しいもので言うとナルコレプシーやホワイトシェイカードッグ症候群(ステロイド反応性振戦症候群)などの動画を中心に参照しながらの講義であったため、同じ"発作"と言う主訴に対しても、発作が起こった時間、状況、様子を総合的にチェックして判断する必要があると言うことを再確認しました。
循環器疾患編では、不整脈や心臓の器質的異常を中心に解説していただきました。不整脈は、当たり前ですが、症状発生時の状態を知らなければ治療できないものも存在しており、そのためにはホルター心電図の装着も検討する必要があります。自身もそのように失神を起こしているのにも関わらず、院内での心電図検査では失神を起こす前後の状態を把握しきれなかったと言う経験がありましたので、そちらの知見もしっかり深めていきたいと感じました。そのほかにも心臓の器質的な異常が原因であったり、神経調節性失神では、血管迷走神経反射、咳や排尿、排便、飲水が誘発要因になって起こる状況性失神なども分かりやすく解説していただきました。
このように基本的かつ重要な内容でしたが包括的に分かりやすくまとめられており、自身の知識の整理、およびアップデートすべき点が再確認することができました。
R.I
9月30日兵庫県開業獣医師会・猫の心筋症・合屋征二郎先生
カテゴリー:セミナー
22年10月04日
「第2回・ざっくばらんケースレポートミーティング」を行いました。この勉強会は、気兼ねなく活発に質問、討論することを目標として新進気鋭の獣医師にセミナーを行っていただいています。日本大学・獣医放射線研究室 助教 合屋征二郎先生をお招きして「猫の心筋症」についてご講演いただきました。内容は高度な部分も多くある割にわかりやすく、また活発な質問が多くありました。次回追加講演をお願いするくらい質問がでてよかったと思います。兵庫県開業獣医師会ではこのような企画を継続して行っていきます。ぜひ若い勤務獣医師の方々にも参加していただきたいと思っています。 S.S
9月27日本阿彌先生による犬の脛骨骨折デモンストレーション
カテゴリー:セミナー
22年09月29日
ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社デピューシンセス事業本部 VETグループ主催。東京大学の本阿弥 宗紀先生の骨模型を使用した整形外科デモンストレーションと手術画像の鑑賞でした。今回は脛骨粗面の固定に関するもので、ふだん当たり前に行っている脛骨粗面の骨折、脛骨粗面の転移術のピンをうつ方向、テンションバンドワイヤー作用する点を理論的に指導してもらいました。デモンストレーションで画像も良く見えたため、あらためてもう一度固定法について考えることができて勉強になりました。
S.S
8月24日・25日JAHA国際セミナー・腎臓病学
カテゴリー:セミナー
22年09月02日
JDFoster,VMD,MS,DACVIM Friendship Hospital For Animals
~腎臓を守るために知っておきたいこと~ 1日目慢性腎不全の急性増悪・2日目糸球体腎炎と蛋白尿
アメリカよりZOOMを使った国際セミナーでした。講師はIRiS(国際獣医腎臓病グループ)のメンバーで、いろいろと再確認させていただくことが多くありました。1日目では腎性2次性上皮正体機能亢進症のCT画像が強烈な印象を受けました。実際ラバー・ジョウを経験したことがないのですが、顎だけでなく頭蓋骨も骨吸収され脳を取り囲む骨もスカスカになっていました。PTHの計測による評価方法も理解でき良かったです。腎臓の状態が悪化してもいかに快適に生活させてあげられるかという課題に取り組み努力していきたいと思います。2日目は糸球体腎炎につての講義でのトピックに凝固亢進が起こるのは尿蛋白/クレアチニン比が高い症例や低アルブミンになっている症例だけではないことAT3が低くなっていなくても凝固亢進が起こることは少し驚かされました。AT3のチェックも含め全体の状況を把握しながら抗凝固剤を選択し糸球体腎炎の悪化をできるだけ防いでいきたいと思います。
IRiSからはたくさんの情報をいただいてきましたが、さらに新しい情報も得ることができ、クライアントに進んだ治療を提供したいと思っております。
S.S