南が丘動物通信

10/5 第7回 OMU-VMC WEBセミナー 〜先生、犬が倒れてます!失神発作に対するアプローチ〜 22年10月06日

大阪公立大学獣医学部附属獣医臨床センター

10/5 第7回 OMU-VMC WEBセミナー

先生、犬が倒れてます!失神発作に対するアプローチ〜

Dr金城、Dr西田 Dr島村

第7回の大阪公立大学附属獣医臨床センター主催のセミナーは失神、発作に関する診断アプローチに関する内容でした。メインは治療法というよりも、"倒れた"という主訴で来院された症例へのアプローチ法を①、内科疾患②神経疾患③循環器疾患と3パートに分けてのセミナーでした。

内科疾患編では、倒れた!という主訴で来院されてから、失神なのか、発作なのかを判断し優先的にすべき事項を列挙した上で、見落としがちな疾患や逆に見落としてはいけない疾患を例に挙げて説明してくださったことで自分の中での知識の整理と理解を深めることができました。

神経疾患編では、原因が大脳、脳幹、小脳にある場合に考えていく事柄についてでした。てんかん発作と失神の区別は非常に重要で、我々も日々の診療で問診の段階でご家族の皆様と一緒に一つ一つ確認していくのですが、人医学の方では、失神とてんかん発作を区別するためのスコア化された基準が存在しているので、獣医領域でもそういったスコアが確立されれば分かりやすく飼い主様も認識できるのではないかと考えました。一口に発作と言っても症状は様々で、全般性発作や部分性発作、珍しいもので言うとナルコレプシーやホワイトシェイカードッグ症候群(ステロイド反応性振戦症候群)などの動画を中心に参照しながらの講義であったため、同じ"発作"と言う主訴に対しても、発作が起こった時間、状況、様子を総合的にチェックして判断する必要があると言うことを再確認しました。

循環器疾患編では、不整脈や心臓の器質的異常を中心に解説していただきました。不整脈は、当たり前ですが、症状発生時の状態を知らなければ治療できないものも存在しており、そのためにはホルター心電図の装着も検討する必要があります。自身もそのように失神を起こしているのにも関わらず、院内での心電図検査では失神を起こす前後の状態を把握しきれなかったと言う経験がありましたので、そちらの知見もしっかり深めていきたいと感じました。そのほかにも心臓の器質的な異常が原因であったり、神経調節性失神では、血管迷走神経反射、咳や排尿、排便、飲水が誘発要因になって起こる状況性失神なども分かりやすく解説していただきました。

このように基本的かつ重要な内容でしたが包括的に分かりやすくまとめられており、自身の知識の整理、およびアップデートすべき点が再確認することができました。

R.I