南が丘動物通信

7月6,7日 第21回日本獣医がん学会 19年07月06日

 年2回行われる日本獣医がん学会が東京コンベンションホールにて開催されました。スペシャリストによる腫瘍に特化した講演を聞けるためいつも刺激をもらうことができる学会です。

今年のメインシンポジウムは軟部組織肉腫で、これは日常によく遭遇する腫瘍なだけに重要な講演が聞ける貴重な機会となりました。軟部組織肉腫とは診断グループにつけられた名称で、血管周皮腫、末梢神経鞘腫、脂肪肉腫などが含まれます。これらは似たような挙動を示すからグループ化された経緯があります。しかしどうも近年ではそういうわけではないようで、各腫瘍により浸潤性や転移率などが微妙に異なるため、グループとして扱うのも議論されているようです。特に発生が多い血管周皮腫と線維肉腫とでは、線維肉腫のほうがグレードも悪く再発率も高いようです。軟部組織肉腫といえばサージカルマージンは側方3cm、底部は筋膜1枚と勉強するものですが、近年ではどんどんマージンは小さくなっているようです。実測3mmで良いとの報告もありますが、これは切除して縮んだ病理組織での話なので、実際には1cm程度と判断されるようです。遭遇する機会の多い腫瘍なので最新情報にアップデートすることができました。

 夏は東京、冬は大阪で開催されますが、次回の冬の学会は世界獣医がん学会と同時開催されるようで、そのアナウンスもありました。日本で開かれる国際的な学会で、世界で活躍されている著名な先生方が来日されるようで、こちらもまた貴重な機会になりそうです。

T.S.