南が丘動物通信

4月5日 葉月会セミナー 腎・泌尿器学シリーズ 19年04月05日

1から始める腎臓病のはなし 第5回糸球体疾患とその治療

宮川優一 日本獣医生命科学大学 獣医内科学教室第二 講師

 腎臓病について基礎から見直すこのシリーズセミナーの5回目は糸球体疾患についてでした。腎臓病の検査において尿検査はとても大事ですが、ついやらずに放置されてしまいがちです。しかし尿検査で最も重要なのが尿蛋白の検査で、それは尿蛋白の検査は尿検査なしでは診断がつかないからです。

 犬では糸球体疾患からの蛋白尿が多く、これが慢性腎臓病の原因の50-70%を占めています。血液検査で腎臓の項目が正常でも、尿蛋白がある時点で治療対象になります。一方猫では慢性腎臓病の原因としての蛋白尿は少なく、むしろ腎臓病の結果として生じることが多く予後の指標にも使用されます。糸球体疾患の治療には現在多くの薬剤が使用されますが、ACE阻害薬とARBの効果の違いについて、また先生の症例を通じて治療の反応性について分かりやすく講義していただきました。

 当院でも以前から尿検査の重要性についてご説明させていただいていますが、さらに根拠をもってお話できるようになったセミナーでした。

T.S.