南が丘動物通信

葉月会 外科セミナー 「ヒスタミンを活用した犬の肥満細胞腫の診断」 18年09月22日

9月22日 葉月会 外科セミナー

演者 酪農学園大学 廉澤 剛

犬における肥満細胞腫は皮膚腫瘍の2割を占めると言われており、予後も様々である。肥満細胞腫とは生理活性物質であるヒスタミンの過剰分泌と言われており、皮膚でおきると蕁麻疹、気道でくしゃみや鼻水、消化管では下痢嘔吐、全身性に蔓延すると循環不全を引き起こすとされている。そもそも肥満細胞は皮膚や粘膜に存在する細胞であり、生体防御としての炎症や免疫反応を担っている。その肥満細胞から放出されるヒスタミンの濃度を測定することで予後の判定に優位であるという報告がある。

血漿ヒスタミン濃度(PHC)1.0ng/ml以上を示す場合、肥満細胞腫の可能性あり

PHC>1.0ng/mlは6ヶ月生存率は42%

PHC>1.5ng/mlは6ヶ月生存率は25%

肥満細胞腫はその見た目から単純なイボやできものと勘違いされやすく、腫瘍の中では悪性の率も高いため、積極的に細胞診断および血漿ヒスタミン濃度の測定により早期発見に繋がると思われます。

H.F

肥満細胞.jpg*肥満細胞