南が丘動物通信

8月7日 葉月会救急医療セミナー 18年08月07日

知らなきゃマズイ!熱中症

神津善広先生 北摂夜間救急動物病院院長 北摂ベッツセンター長

 今年の夏は特に猛暑で、毎日のようにニュース番組では熱中症で倒れられた方について報道されています。動物は体が小さく、また汗をかかないために放熱が苦手で、人間以上に熱中症になりやすく危険となります。そのため熱中症は動物でも緊急・集中治療となることが多く、今回は動物救急医療の一線で働いておられる神津先生に熱中症について講義して頂きました。

 熱中症は、軽症で冷所での安静で対応可能なⅠ度、医療機関での診察が必要になるⅡ度、重症で入院管理が必要になるⅢ度に分類されます。Ⅱ度では倦怠感や嘔吐、虚脱感が現れますが、Ⅲ度になると中枢神経症状、肝臓腎臓機能障害、また最も怖い血液凝固障害が現れ命に関わる問題に陥ります。熱中症では熱による臓器障害だけでなく、例えば腸管の細菌が全身に回ってしまうような、臓器障害に伴う様々な二次的な異常によりさらに重症化に至ってしまうことがとても勉強になりました。

 治療法についても先生の実践している方法を、症例を交えながら講義して頂きました。残念ながら熱中症は治療に反応しない症例も多くみられ、最善の手を尽くしても亡くなってしまうことも少なくありません。熱中症は避けられることができるので、飼い主さんたちへの啓蒙も大事なことだと感じました。

T.S.