南が丘動物通信

5月21日 葉月会腫瘍科セミナー 16年05月21日

手術ビデオを用いた外科セミナー

断脚術及び義肢の応用

酪農学園大学獣医臨床腫瘍学教室 廉澤 剛 先生

今回のセミナーでは、断脚術について講義して頂きました。断脚術の目的は四肢に悪性腫瘍が生じた場合や壊死をおこしてしまった場合、整復不能な複雑骨折をおこした場合などに根治的な治療として、あるいは緩和的な効果を期待して実施されます。四肢の骨にできる悪性の腫瘍としては骨肉腫や、軟骨肉腫、軟部組織に出来る腫瘍には滑膜肉腫などが挙げられますが、この中でも多いのが骨肉腫です。骨肉腫は肘から遠く膝に近い骨に好発し、非常に悪性度が高く肺への転移が頻繁に見られる病気です。さらに骨肉腫により骨溶解が進行すると激しい痛みを伴います。そのため例え転移があり余命がわずかであっても痛みから解放してあげることを目的として断脚術が実施されることがあります。飼い主様からすると断脚なんてかわいそうと考えられる方もいらっしゃるかと思いますが、こういった意味合いでも断脚術は有効な治療法の一つといえます。今回のセミナーでは断脚術に関連する筋肉の解剖学的位置や血管、神経の走行について学び、さらには実際の断脚術の動画を交えて講義して頂きました。また断脚後に義肢を装着した症例の紹介もあり、今後こういった動物のための義肢の開発が進むことで、断脚後もより快適な歩行が可能となり動物達のQOLの向上が期待されるのではないかと思いました。

Y.I.