南が丘動物通信

1月23,24日Improve International 小動物外科学GPCertプログラム  16年01月24日

消化器外科Ⅰ

消化器外科Ⅱ

Jolle Kirpensteijn, DVM, MS, Dipl ACVS & ECVS

 今回は消化器外科についての講義でした。

 日本ではあまり見かけませんが、食道の外傷で最も多いのは木の枝による穿刺外傷です。これは人が木の枝を放り投げ、犬がそれをくわえて取ってくるときに誤ってのどをつくことで発生しますが、かなり慎重な対応が求められます。急性症例では症状が重篤ですが適切に管理すれば予後は良好です。しかし慢性症例では瘻管と膿瘍を形成し、食後に頚部からフードが漏出してきます。この場合はレントゲンだけでなくCTMRI、また細菌培養と感受性試験、手術を行いますが通常は予後不良となります。

 インスリノーマでは膵臓の部分切除術を行うことが最も生存期間の延長を期待することができますが、実際的には術後に膵炎などが発症するためになかなか難しいものです。膵臓は血管分布、また膵管の分布の点からすべての部位が切除できるわけではなく、右葉の頭側部や膵体部を切除することはほぼ不可能といわれています。右葉の尾側部であれば比較的容易に切除できます。シーリングシステムを使うと術後膵炎のリスクを低減できるようです。

 消化器の手術は比較的遭遇する機会が多いので大変勉強になりました。

T.S.