南が丘動物通信

第27回日本獣医がん学会 23年01月29日

 年に2回開催される日本獣医がん学会の第27回学会は、久しぶりの大阪会場での会場開催となりました。徐々に学会開催も以前のような形態になりつつありますが、ウェブ上でも講義の内容を再び聴講できるなど、以前よりも利便性も増してハイブリッド開催の良い側面だなと感じました。

 メインシンポジウムは「がん終末期のケア」でした。終末期の動物の治療はさまざまな面でのケアが求められます。動物に対しては何より大事なのは苦痛を取り除いてあげることであり、それはがん治療に並行して実施することが重要です。緩和ケアという言葉は治療不可能な状態の子に行う治療という意味ではなく、がん治療と同時に行うことで生活の質を維持してあげるためのケアであり、これは人医療でも動物医療でも同じ考えに基づいていると感じました。また同時に動物だけでなく、飼い主さんへのケアも十分に考慮せねばなりません。やはり自分のワンちゃんや猫ちゃんが危ない状態に陥ったときに抱く飼い主さんのお気持ちは察するに辛いものです。人医療において、亡くなっていく患者さんといかに対話していくのか、現場に立ち続ける医師のお話を聞けて、とても胸を打つものがありました。

T.S.