南が丘動物通信

9月18日 志学会 9月月例会 20年09月18日

日本獣医皮膚科学会認定医で、アジア獣医皮膚科学会会員の 池 順子先生の講演で演題は「サイトポイントってどんな薬? ~アポキルとどう使う~」というテーマでした。

サイトポイントは犬において搔痒を誘発する主要なサイトカインであるIL-31を抗原と認識して、特異的に中和する最近発売されたお薬です。アポキルと作用機序が異なることと、サイトポイントの主成分の90%が犬由来の成分で出来ているため副作用のリスクが少ない点注目されています。

しかし、新しく販売された薬ということもあり、実際の使用例が少なく、どの様な症例に適用なのかの報告は少なく、当院での使用頻度はあまり高くありませんでした。

今回の池先生のセミナーを受けることで、サイトポイントの作用機序が理解でき、実際の使用症例と、使用に関しての注意点を詳しく教えて下さり、サイトポイントへの理解がかなり深まり増した。

サイトポイントは犬アトピー性皮膚炎と診断され、長期的な痒みのコントロールが必要な犬に有効で、特に内服の経口投与が困難であったり、内服で痒みのコントロールが不十分な症例に対してとても有効な治療法であることが今回のセミナーでよくわかりました。

また、サイトポイントは従来のアトピー性皮膚炎の治療である、ステロイドやアポキルと作用機序が異なるので、併用することが可能で、アポキルと併用するとかゆみをかなり抑えることができます。 アポキルは免疫系を抑制するので、定期的な血液検査・血液生化学検査の実施が望ましく、サイトポイントは免疫機能への影響は最小限です。しかし即効性についてはアポキルの方が即座に効果を発現することが分かっています。アポキルは最初1日2回の内服を最長2週間続けた後、継続する場合は1日1回の経口投与が望ましいとされています。サイトポイントは月に1回の注射で済みます。 

これらの特徴を理解しながら、痒みに困っている患者さんの新たな治療の選択肢にサイトポイントはなるのではないかと思います。

飼っている愛犬の痒みにお困りの方は一度獣医師に相談してみてはいかかでしょうか もちろん当院でもサイトポイントは扱っておりますので、興味を持たれましたら一度ご相談ください

Y.N

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