南が丘動物通信

5/29 戸島篤史の画像診断教室 第1回Webセミナー 21年05月30日

今回はEchoにおける猫の膵炎に関して膵臓の描出方法に関して学びました。猫で膵臓を描出するためには膵臓の左葉からみるのがコツです。胃を見ながら脾静脈を見つけ、脾静脈を描出しながら右側へプローブを動かします。動かしていくと、脾静脈の上方に膵臓が描出される実質が膵臓です。膵管の管が縦切りに見えてくるのでそれがランドマークになります。そして周囲の脂肪が高エコー化、膵臓が低エコー性に腫大することがEcho上で膵炎を疑う際の最大のポイントです。膵臓の高エコー像は脂肪浸潤なのでステロイド(クッシング)の可能性、加齢性の脂肪浸潤が疑われる場合があります。ただし、Echo上で膵臓が低エコーに見えても直接症状にかかわらないこともあるため注意が必要です。急性か慢性かは症状からしか分かりませんが背景にはやはり慢性膵炎があると思われます。慢性膵炎の確定診断は病理診断ですが、病理診断はリスクがあるので難しいとされています。CTでは膵臓は平滑でシャープに映し出され、膵炎はゴワゴワ(辺縁の不正)で毛羽立つように映し出されることが多いです。上記のEcho臓は急性膵炎の特徴ではありますが、慢性膵炎でも臨床症状が出ているの場合は脂肪が高エコー化、膵臓が低エコーで描出されるため診断の役にたつと考えられます。今回のセミナーを通してEchoでの診断の意義を改めて見直すことができました。今後も積極的にEchoを活用しより正確な診断ができるように努力します。

K.G

eko-.png

5月16日JAHA国際セミナー 猫の角結膜疾患に対する診断アプローチおよび最新治療 21年05月27日

Dr.David J Maggsによる猫の角結膜疾患のセミナーでしたがいろいろな意味で考え方を新たにしてくれたセミナーでした。猫のヘルペス、クラミジア、角膜黒色壊死症、好酸球性角膜炎、細菌性角膜炎について詳しく学びました。ヘルペスの治療でFumciclovirのは赤ちゃん猫に対してもより積極的に用いることが必要であったり、点眼液に対する反応性が思ったよりも短時間であったりいろいろと新たに考えさせられるところが多くありました。現在、結膜癒着予防効果のあるマイトマイシンCが手に入らなくなった今、赤ちゃん猫に対するより積極的な内服治療が必要になっているのかもしれません。またクラミジアが発生した場合にドキシサイクリンを4週間すべての飼い猫に内服することにより完全に撲滅できるという考え方で治療することが好ましいということでした。どうしても点眼療法で治療を考えてしまいがちですがご家族の方に選択肢を提示することも必要となると思います。あと特に強調されていた治療にはヘルペス、クラミジアに対するヒアルロン酸点眼薬の有用性でした。細菌性角膜炎に対しては角膜が溶解してしまい他の動物では眼球摘出しか選択肢がない症例でも十分な治療を行えば視力も失わずに完治できる可能性があることを画像で見せていただきました。非常に役に立ち素晴らでしい講演で、WEBでおこなった質問会もうまくタイミングや通訳をふくめて素晴らしいものでした。私たちも獣医師会等でWEB講習会を行っておりますが素晴らしい手本にできるセミナーでした。

S.S

RIMG0081.JPG

5/25 葉月会 中獣医学へのオリエンテーション 21年05月25日

国際中獣医学院日本校 講師 豊永先生

中医学とは整体観、弁証論治、未病先防の3つの特徴を持ちます。整体観は自然界と人や動物の体はバランスをとりながら共存していること。弁証論治は体質、原因、発病の過程から適切な治療を行っていくこと。未病先防は病気にかかりにくい体質を予防的に作っていくことを指します。抗癌剤治療などで体力の消耗が激しく、抵抗力も下がっている状態の時や手術後にリハビリが必要な時のサポートとして使用します。臨床上の意義としては、ツボ(経穴)周囲には結合組織が豊富にあり、この結合組織が電気伝導性を持っています。骨、筋紡錘、腱などは結合組織でつながっており、鍼治療では経穴を刺激することで、周囲の微小血管の特異的な収縮と弛緩によって効果がでるとされています。具体的に全身に見られる反応としては抗体産生が増加、貪食と白血球増多を誘起、解熱作用、抗炎症作用、抗生剤などの治療に加えて鍼治療をすると防御メカニズムが高まることが期待されます。当院では椎間板ヘルニアの手術をおこなった症例に対して電気を用いた鍼治療(電鍼)をおこなっています。電気による刺激を用いることで鍼治療の効果を増強し、持続時間を引き伸ばす効果があります。今後、治療の幅を少しでも広げ、より幅広い医療を提供できればと思います。hari.png

K.G

5月 志学会 月例会  21年05月21日

大阪府立大学獣医臨床センターでの放射線治療  演者:和田 悠佑先生

動物医療においてガン治療にはいくつもの治療方法が確立されています。今回は放射線治療について大阪府立大学獣医臨床センター 腫瘍科 和田先生に伺いました。

そもそも放射線治療の適用例としてどんな腫瘍があるか?

高い放射線感受性が期待され、局所だけを狙える腫瘍(リンパ腫、棘細胞性エナメル上皮腫etc.)

②解剖学的に手術が困難な腫瘍(鼻腔内・口腔内腫瘍、脳腫瘍etc.)

③疼痛緩和目的(骨肉腫etc.)

以上のものが挙げられます。特に猫の鼻腔内リンパ腫に関してはかなりの成績が良いと思います

また、手術後の補助療法として用いられることもあります。

では照射する手順はどのように行うのか?完全に動きを封じる必要性があるため、全身麻酔下でまずC T検査を行い、照射計画をその場ですぐに作成し、照射位置を定めて、いざ照射という流れになります。照射自体は3−10分ほどで終わり、トータル約2時間で終わります。照射スケジュールとして何回も照射する分割照射が必要であるが、その理由の一つとして4つのR(Repair,Redistribution,Reoxygenation,Repopulation)があります。これにより正常組織を守りつつ、腫瘍組織だけを縮小することができます。

当院でも症例によっては紹介させていただいています。ぜひ参考になればと思います。

H.F

放射線治療 画像 イラストフリー に対する画像結果