南が丘動物通信

9月29日 葉月会webセミナー歯科シリーズ 第4回 20年09月29日

歯科治療に欠かせない歯科X線の適応・撮影・読影方法

講師 とだ動物病院 小動物歯科 戸田 功 先生

歯科シリーズの第4回目はレントゲン検査に関しての講義でした。

歯の中でも歯根はどうしても目に見えない部分になってしまい、通常のレントゲンでは他の歯や骨と重なってしまい診断にまでこぎつけないことが多くあります。かといってCTを処置の途中に行うことは大掛かりになってしまいます。そのため当病院でも歯科レントゲン検査を行っております。

 今回の講義では実際にレントゲン撮影をするにあたり何度の方向から撮影すると上手にとれるかや、実際のレントゲン写真を見て抜歯の適応かどうかなど具体的に詳しく説明をしていただきました。

 実践に基づいた講義で、今後の診察にも積極的に活用していきたいとおもいました。

 

S.A

9月18日 志学会 9月月例会 20年09月18日

日本獣医皮膚科学会認定医で、アジア獣医皮膚科学会会員の 池 順子先生の講演で演題は「サイトポイントってどんな薬? ~アポキルとどう使う~」というテーマでした。

サイトポイントは犬において搔痒を誘発する主要なサイトカインであるIL-31を抗原と認識して、特異的に中和する最近発売されたお薬です。アポキルと作用機序が異なることと、サイトポイントの主成分の90%が犬由来の成分で出来ているため副作用のリスクが少ない点注目されています。

しかし、新しく販売された薬ということもあり、実際の使用例が少なく、どの様な症例に適用なのかの報告は少なく、当院での使用頻度はあまり高くありませんでした。

今回の池先生のセミナーを受けることで、サイトポイントの作用機序が理解でき、実際の使用症例と、使用に関しての注意点を詳しく教えて下さり、サイトポイントへの理解がかなり深まり増した。

サイトポイントは犬アトピー性皮膚炎と診断され、長期的な痒みのコントロールが必要な犬に有効で、特に内服の経口投与が困難であったり、内服で痒みのコントロールが不十分な症例に対してとても有効な治療法であることが今回のセミナーでよくわかりました。

また、サイトポイントは従来のアトピー性皮膚炎の治療である、ステロイドやアポキルと作用機序が異なるので、併用することが可能で、アポキルと併用するとかゆみをかなり抑えることができます。 アポキルは免疫系を抑制するので、定期的な血液検査・血液生化学検査の実施が望ましく、サイトポイントは免疫機能への影響は最小限です。しかし即効性についてはアポキルの方が即座に効果を発現することが分かっています。アポキルは最初1日2回の内服を最長2週間続けた後、継続する場合は1日1回の経口投与が望ましいとされています。サイトポイントは月に1回の注射で済みます。 

これらの特徴を理解しながら、痒みに困っている患者さんの新たな治療の選択肢にサイトポイントはなるのではないかと思います。

飼っている愛犬の痒みにお困りの方は一度獣医師に相談してみてはいかかでしょうか もちろん当院でもサイトポイントは扱っておりますので、興味を持たれましたら一度ご相談ください

Y.N

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葉月会WEBセミナー 麻酔・疼痛管理シリーズセミナー 20年09月12日

麻酔・疼痛管理シリーズセミナー  演者 伊丹 貴晴 先生

手術をする際、どうしても避けて通れない難題は「全身麻酔」です。

「高齢だから全身麻酔はちょっと...。」「術後の痛みが心配だ...。」など悩みの点は多いかと思います。

今回、伊丹先生によるシリーズセミナー「鎮痛薬の応用」では、様々な麻酔薬の特性や複数の麻酔薬を組み合わせた方法、先取り鎮痛の扱い方を詳細に説明してくださいました。

術後の痛みの感じ方は手術内容患者の性格にもよるところもあります。

1cmほどの皮膚腫瘤摘出から乳腺全摘出、他にも骨折の整復、開心術などその術式によって痛みの度合いは変わります。

伊丹先生はそれぞれの麻酔薬の効果の発現からその後に至るまでの作用機序を詳しく教えていただきました。

どの内容も常日頃の麻酔管理に活かせる報告ばかりであるため、今後活用していこうと思います。

H.F


9月9日 VETS TECH WEB SEMINAR vol.7 アレルギー検査 20年09月09日

アレルギー検査と治療薬を使いこなしてみませんか?

動物アレルギー検査㈱ 増田健一先生

 近年動物においてもアレルギー検査が広く利用されるようになり、しかも以前よりも安価に行うことができるようになったためその検査頻度が増えているように実感しています。今回は免疫やアレルギー研究の獣医療ではトップを走る増田先生に、アレルギー検査の適用や考え方について講義していただきました。

 皮膚病は動物病院の来院する病気の中で最も頻度の多いもので、人と同様にアレルギー性皮膚炎に罹る犬猫はその中でかなりの割合を占めています。皮膚病は病気の種類によって、発症する年齢や発症部位が異なるためにそれを理解することがとても重要です。なぜなら皮膚病の種類によってどのアレルギー検査を実施するかが決まるからです。やはり検査も闇雲に行うのでなく、基本的な皮膚病の鑑別の基で行うからこそ検査の意義があることを再認識いたしました。また除去食療法についても解説していただき、実際にご家族に説明する際にこういう流れで進めるというイメージを持つことができました。療法食をローテーションしていくという考えはなかったので目からウロコでした。

 今回も新型コロナウイルス対策でウェブセミナーという形でしたが、リアルタイムで質疑応答もあり、とても有意義なセミナーでした。

T.S.