南が丘動物通信

6/24 葉月会 内分泌セミナー 19年06月24日

今回は米国小動物内科専門医の宮本 陽子先生の「糖尿病 犬と猫のDKAどうする」という内容のセミナーを受講しました

今回は糖尿病の診断治療についての考え方の講座でした。糖尿病には膵臓のβ細胞がインスリンを分泌できない絶対的インスリン不全と、インスリン受容体に作用して細胞がインスリンに反応できない相対的インスリン不全があります。絶対的インスリン不全はⅠ型糖尿病と呼ばれ、犬に多く、原因は遺伝的で自己免疫疾患が関与していると言われています。相対的インスリン不全はⅡ型糖尿病と呼ばれ、猫に多く、原因は生活習慣にかかわっていることが多く、寛解することもあれば再発することもあります。

糖尿病の犬の70%が合併症を併発すると言われており、急性膵炎や細菌性尿路感染症、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)を併発します。

クッシング症候群であると糖尿病のリスクも上昇すると言われており、健康診断や腹部エコーで気になる所見があればクッシング症候群の検査が重要になってきます。

犬の糖尿病において飼い主様が知っておくべきことは、毎日2回皮下注射が必要なこと、家を簡単に空けられないこと、一生治らないこと、合併症があること(クッシング、白内障、尿路感染症) 血液検査を繰り返し、インスリン耐性がないかや的確な量を見つけなくてはいけないこと等があります。

猫における糖尿病の合併症は肝リピドーシスや胆管炎、慢性腎臓病、急性膵炎、細菌性・ウイルス性疾患、癌などや末端巨大症などがあります

末端巨大症(アクロメガリー)は糖尿病の猫の25%が併発すると言われています。アクロメガリーは機能性の下垂体腺腫が負のフィードバックがかかわらず成長ホルモンを分泌し、成長ホルモンは様々なインスリン様成長因子の産生を刺激することでインスリンの抵抗性に関わります。アクロメガリーの特徴は体重増加と四肢の巨大化、下顎の突出などがあります。治療法としては外科的に経蝶形骨洞脳下垂体除去かもしくは手術不可能な場合には放射線治療が適応になります。

今回のセミナーでは糖尿病の基礎的な診断方法から、糖尿病を患った子の飼い主様にお話しすべき注意点、注意すべき併発疾患まで深く教えていただきました。教えていただいたことを生かして、次に糖尿病の子を診察するときには併発疾患を見逃さず、注意事項をしっかり説明できるように理解を深めていきます。

Y.N