南が丘動物通信

5月18日 葉月会 臨床腫瘍学 シリーズセミナー 「適切な確定診断」 19年05月27日

第一回 基礎からしっかり学ぶ臨床腫瘍学 適切な確定診断

廉澤剛先生 酪農学園大学獣医学群獣医学類 伴侶動物医療分野 教授

今回は病理診断を確定診断に用いる場合の考え方についてセミナーを受けました。

日頃、腫瘍の確定診断には、様々な生検方法を用いて腫瘍を採材し、得られた検体の病理診断を利用しています。

その結果より、手術に踏み切ったり、術後の予後や全ての腫瘍が取り切れたのかを判断することができるのですが、今回のセミナーでは病理診断の落とし穴について詳しく学びました。

例えば生検方法によっても検体から得られる情報が大きく異なってきたり、病理診断医によっても診断結果が大きく異なってきます。

何処に、どの様な腫瘍ができていてどの程度浸潤、広がってきているのか病理医に伝えることで病理診断の精度が上がってきます

生検方法の使い分けは何を知りたいかによって変わってきます。例えば肝臓の腫瘍であれば、組織構造が重要になってくるので、針を刺すだけの生検では構造がわからず、肝臓の一部を切除しない限りは組織の構造を保っているかどうかはわかりません。一方、針を刺す生検方法では肝細胞の変化や、腫瘍が肝細胞以外の腫瘍であるかは診断できます。どういった腫瘍を疑っているかで必要な検査が変わってくるのです。

病理医の診断が100%ではありませんが、帰ってきた病理検査を利用して治療を行うのが獣医師の役割です。今回の講義で病理学や腫瘍の知識が深まり、さらに勉強を続けることで、診断価値のある生検を行ったり病理検査の理解を深めていこうと思いました。

Y.N

5月24日 葉月会セミナー 腎・泌尿器学シリーズ 19年05月24日

1から始める腎臓病のはなし 第6回急性腎不全の基本と診断

宮川優一 日本獣医生命科学大学 獣医内科学教室第二 講師

腎・泌尿器学シリーズセミナー第6回のテーマは急性腎不全でした。

急性腎不全とは、急激な腎排泄能の低下により、老廃物が蓄積し、尿毒症症状を示す状態です。脱水、低血圧、ショックから起こる腎前性急性腎不全。急性尿細管壊死、急性尿細管間質性腎炎、急速進行性糸球体腎炎から起こる腎性急性腎不全。その分類ごとのメカニズムについて、概略図を用いた講義でわかりやすく整理することができました。
特に、ACEや、一部の腎毒性のある抗生剤の使用について、体液量減少時の使用については常に作用機序を考えて、内服と同時に給餌をしっかり行ってもらうことをお話させていただく必要性を感じました。
M.K
5月21日 葉月会 猫の獣医学 シリーズセミナー 「肝疾患」 19年05月21日

石田卓夫先生による猫の獣医学シリーズ 第5回目として猫の肝疾患は

肝臓疾患に関連した症状は他の病気(腎や心)と同じく体重減少や食欲不振、嘔吐といった所見が見られる。

その際にどのようにして他の病気との鑑別をしていくかは非常に難しいため、精密検査による絞込みが大事である。

まず血液検査ではCBCによる赤血球系、白血球系を確認。貧血がある場合は炎症、エリスロポエチン濃度の減少、脂質異常による溶血性貧血などが挙げられる。

次に大事な検査として尿検査であり、肝疾患症例においてはビリルビンの検出率が血中よりも高いため、有用である。他にも尿比重の低下が肝不全による尿素の産生低下に関連があったりする。

しかし、猫では肝不全は極めて稀であるため、その診断は難しい。その際の確定診断には肝生検が必要である。

診断の有用さは吸引生検<Tru-Cut<くさび生検<切除生検の順であり、麻酔下での処置は必須である。

肝臓だけに焦点を当てていると三臓器炎を見落としがちになるため注意が必要であるため、常の意識しておく必要性がある。

H.F