南が丘動物通信

8/19 HORIBA小動物学術セミナー 17年08月21日

HORIBA小動物学術セミナー

DICと血栓症 臨床に直結する最新の診断法と治療薬」

辻本 先生(東京大学動物医療センター)

DICと血栓症は臨床現場でも多くみられ、命のリスクが伴う大変怖い状態です。しかしながら従来の血小板、凝固機能検査、FDPの検査では確定診断をつけることに時間がかかってしまったり、他の疾病との重複により見落としてしまったりする場合がありました。今回のセミナーではDIC、血栓症のメカニズムのおさらいからはじまり、試案ではありますが新たな血小板数の評価法やTATATDダイマーを用いた評価法を教えて頂きました。当院でも最近Dダイマーを測定できるようになっており、今回学んだことをより良い診療と飼い主様への説明に活かしていきたいと思います。後半では抗血栓薬の臨床応用を論文と辻本先生の症例を交えて解説して頂きました。抗血小板薬であるクロピドグレルや抗凝固薬であるリバーロキサバンはどちらも新しい薬で副作用のことも考えると少し使用の難しさを感じていました。今回は従来のアスピリンやヘパリンに対する有用性のデータや副作用が実際に出た時の用量、その対処まで話を聞くことができ、使用法がしっかり理解できました。K.Y

8月11日 志学会主催「真夏の勉強会」 17年08月11日

「サマーイベント:真夏の勉強会」

志学会

8月11日に尼崎で行われた、学会主催の真夏の勉強会に参加させていただきました。今回は、われわれ若手勤務医のための、勤務医による勉強会をテーマとして開催され、他院の院長先生はもちろん、勤務1年目の獣医師からも症例発表がありました。勤務医・院長合わせておおよそ20名。月例会よりも発表者とフロアの距離が近く、ディスカッションの盛り上がる良い勉強会でした。

勤務医の先生方からは、誤嚥性肺炎の怖い巨大食道症の治療法について、近年人気のエキゾチックアニマルであるデグーの鼻腔内病変および外科的処置について発表があり、院長先生方からは血糖値のモニター間質液から行う「FreeStyle リブレ」の紹介や、犬の肛門腺癌によって排便障害になった犬の外科的治療などが発表されました。

症例の血液検査の項目ひとつをとっても、「~~は疑わなかったのか」と着目していなかった点に焦点が当たったり、また、「うちの病院ではこうしているが、他ではどうでしょうか?」と多くの意見が聞けるめったにない機会でした。他院の若手勤務医の先生方との交流にたいへん刺激を受けて帰ってきました

M.K

8月9日葉月会セミナー 17年08月10日

犬と猫のワクチン -現状の整理と今後の方向性-

辻本 先生(東京大学動物医療センター)

感染症予防のための年に一度のワクチン接種。これは日本では常識とされているが、海外での現状は?ワクチンの選び方とは?様々な疑問に対して今回、葉月会セミナーでは辻本先生によるワクチンに関する詳細な講演会がありました。

現在、世界では犬と猫のワクチンはWSAVA(世界小動物獣医師会)で規定されているガイドラインに沿ってワクチン接種が基本とされています。WSAVA最大の目標は個々の動物へのワクチン回数を減らすこととされています。その一つの理由としてワクチン接種後に認められる有害事象の発生です。ワクチン成分中にあるアレルゲンにより下痢、嘔吐、痒みや蕁麻疹、アナフィラキシーショックや最悪の場合、死に至るケースも報告がありますがその発生率は1/57,300という報告があります。ワクチンの必要最低限の接種回数、ワクチン接種後は少なくとも30分は病院内で留めて状態の確認、より安全性の高い製品の開発が今後の大きな課題となってきます。

H.F

8月8日 葉月会臨床病理学セミナー 17年08月09日

「検査データから学ぶ臨床病理学;CBCその1

講師:小笠原 聖悟 先生

米国獣医病理学専門医

アイデックスラボラトリーズ株式会社

小笠原動物病院

葉月会で小笠原先生による犬の臨床病理学セミナーのシリーズが始まりました。第1回は血球計算(CBC)をテーマとしたものでした。CBCには、赤血球系、白血球系、血小板、血漿成分などの情報が含まれており、これらから貧血や炎症、血液凝固異常など様々な状態を評価することができます。今回のセミナーでは、実際の症例(播種性血管内凝固に陥った免疫介在性貧血の犬)の検査データを小笠原先生が提示して、受講者とディスカッション形式で各検査項目について評価・考察していくものでした。現場感覚のあるより実践的なセミナーで、診断に至るために必要な解釈・判断について理解を深めることができました。

H.B.