南が丘動物通信

1月25日 Webセミナー 17年01月25日

輸液の基本

上田 悠先生

米国公認獣医師

米国獣医救急集中治療専門医

カリフォルニア大学デービス校

今回は院内のパソコンを使ってWebセミナーを受けました。

内容は輸液に関する基本的なお話を分かりやすくしていただけました。

まずは輸液にはどのような種類があるのか?というお話でした。輸液は大きく分けると晶質液、膠質液、血液製剤の3つに分けられます。晶質液はさらに等張晶質液、低張晶質液、高張晶質液に分けることが出来、その違いは浸透圧によるものです。また、その浸透圧の違いにより細胞内外でどのような水分のやりとりが行われ、どのような効果があるのかを図で示しながら解説していただきました

次に、「なぜ輸液をつかうのか?」ということです。輸液投与を行う理由は体内水分補給、電解質・酸塩基補正、毒物強制利尿、栄養補給、薬物投与、病態治療などが挙げられます。今回はその中でも体内水分補給、電解質・酸塩基補正を目的とした際の輸液のポイントを説明していただきました。

今回のセミナーでは輸液の基礎に関してのお話でしたが、治療を行う上で非常に大切なことであり、改めて勉強になりました。

上田先生にはアメリカより朝早くからセミナーをしていただき、本当にありがとうございました。

D.T

1月20日志学会  17年01月20日
1月月例会 明日からの診療に役立つ鳥取大学動物医療センターにおける最先端獣医療の紹介 岡本 芳晴先生 鳥取大学農学部共同獣医学科獣医外科学教授兼農学部付属動物医療センター センター長   今回は最先端のがん治療について講演していただきました。近年では動物に対する医療の進歩による寿命が伸びてきており、またそれとともに画像診断の発達によってがんの検出率が高くなってきています。動物のがんは7歳頃より発生が増加し、10歳以上の犬においては約40%ががんにかかるといわれています。がんに対する治療も進歩しつつありますが、がんの種類や発生部位によって治療方法や治療効果が異なるため、まだまだ研究の必要な分野です。  今回の公演ではそんな従来の治療方法である抗がん剤や放射線、外科手術などとは少し異なった次世代のがん治療について勉強させていただきました。その治療方法は驚くものばかりで、がんを凍結させることでがんの縮小を図る方法や本来生体にとって有害であるウィルスを変位させることで腫瘍の増殖を抑える方法など獣医療の進歩を感じさせられるものばかりでした。まだまだ研究段階の治療ではありますが今後、症例数を増やして新たな治療法として確立されればがんで亡くなる動物が減り、先の未来にはがんを根治させるような治療法もでてくるのではないかと思いました。 Y.I.
1月16, 17日JAHA 第155回国際セミナー 神経病学 17年01月17日

155回国際セミナー 神経病学 よくある状況をより良く乗り越える

金園晨一先生 どうぶつの総合病院 米国獣医神経病専門医

 今回のJAHA国際セミナーは日本人で唯一の米国神経病専門医の資格を有する金園先生のセミナーでした。神経病は遭遇する機会も多いのですが、ほかの疾病を診る能力とはまた別の、神経病特有の診断方法も多く、それらをひとつひとつ丁寧に解説していただきました。先生の神経病の症例数はとても多く、症例の画像や動画も多く理解しやすい内容になっていました。

 神経学的検査は神経病の診断においてはとても基本的でありますがとても重要で、どこに病変があるのかを知ることができます。痙攣の重責発作の際の薬剤の使用法、発作時の神経原性ショック、脳圧の生理学と脳圧上昇の管理、脳腫瘍についてが特に印象的でした。また頭部外傷の際にグラスゴー・コーマスケールを利用することで現在の障害の程度がわかるだけでなく、予後の判定にも使用できるために今後利用していきたいと思いました。

T.S.

1月6日 葉月会 臨床免疫学シリーズセミナー  17年01月13日

葉月会 臨床免疫学シリーズセミナー

免疫抑制剤の使い方アップデート

水野 拓也 先生  山口大学動物医療センター内科系診療科

          山口大学共同獣医学分野診断治療学研究室

今回は山口大学の水野先生のセミナーでした。IMHAなどの免疫抑制剤をいかにうまく使うかで生死が分かれるような状況における免疫抑制剤の使い方についていろいろとお話ししていただきました。ステロイドは安価で即効性のある薬なので第一選択薬になりますが、シクロスポリンやアザチオプリンなどは効果が出るまでに時間がかかる為注意が必要です。結論から言うと、免疫抑制剤の統一された使い方は現段階では無く、10人の医者がいれば10通りの使い方があるとのことでした。今回のセミナーでは実際に水野先生がどういった使い方をされているかを教えていただき。とても勉強になりました。

M.M.

1月7日 葉月会廉澤先生セミナー 17年01月07日

副腎の外科

酪農学園大学獣医学部伴侶動物医療部門 廉澤剛先生

 副腎の病気は副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)が有名で、その原因のひとつとして副腎の腫瘍があります。副腎は腹腔の奥深くにあったり大血管の近くにあったりと、手術時のアプローチが難しく、また腫瘍の多くでクッシング症候群などを呈するために術後の合併症などが重要になるため、今回廉澤先生にはそのポイントについて主に講義していただきました。

 副腎腫瘍は横隔腹静脈をつたって大血管に侵入します。血管壁に固着している場合は手術が困難になるのですが、CTにおいて血流が腫瘍と血管壁のあいだを流れているかで固着の有無を判断できるそうです。また術後に遅い時期でも転移が生じること、大型犬においては長径5cm以上が危険因子になることも印象的でした。

 副腎腫瘍は日常的によくみる腫瘍のため勉強になりました。

T.S