南が丘動物通信

12月22日 葉月会 WEBセミナー 歯科学シリーズ 第7回 20年12月22日

葉月会 WEBセミナー 12月22日 折れた歯、ダメージを受けた歯の対処法 とだ動物病院 戸田 功 先生

折れた歯、ダメージを受けた歯を放置するとどうなるか。歯髄にダメージが無い場合は無症状、あるいは後から歯髄にダメージが及ぶ可能性がある。

歯髄にダメージがある場合はどうなるか。歯髄壊死に始まり、根尖性歯周炎、外歯瘻、内歯痩などが生じることがあるため、適切な処置を実施しないといけない。

"昔、硬いものを噛んでいた。今は硬いものは与えていない"という状況で後になってその影響が発現してくるという内容には驚いた。問診時に聞き漏らさないようにすること、それから仔犬の診察時に、硬いものの歯に対するダメージについてはお話させていただきたいと感じた。

× 犬・猫はヒトより歯が上部

× 骨やひづめなどの固いものは歯に良い

× ボールやフリスビーをどんどんやらせることは体に良い

上記のような誤った情報をおよそ半数の人が誤解してしまっているというアンケートもあった。

実際、私が牛農家に研修に向かった際も、蹄を愛犬家のかたが欲しがる・・といったことを聞いたことがあるが、そういったイメージを払拭させることも破折の予防の一部なのではないかと思う。

他、セミナーでは歯のダメージの分類によってどういった処置が適切か、解説していただき、歯科治療についてさらに見分が広がりました。

M.K

12月4日葉月会セミナー・鑑別診断学シリーズ 20年12月04日

臓器連関の視点で診る!鑑別診断学シリーズ

第一回 まずは色んな多臓器円環

井坂光宏先生 酪農学園大学

 今回からはじまった鑑別診断学シリーズセミナーは、体の部位や臓器ごとに診断・治療を考える従来型の思考ではなく、臓器の枠を越えた総合診療的な発想に基づいた面白いシリーズになりそうです。井坂先生の研究テーマが循環器だったこともあり、多くの臓器と循環器との関連性について講義・解説していただきました。

 最も有名なのは心腎連関ですが、他にも心肝連関や循環内分泌連関など、さまざまな言葉があることすら知りませんでした。確かに私たちが日常的に診察する中でも、たとえば猫ちゃんの甲状腺機能亢進症では血圧上昇や肥大型心筋症、不整脈など種々の関連性がみられ、そしてそれらに対しても治療していかなければなりません。また特に印象的だったのが、門脈高血圧に陥った際に脾臓摘出が適応になる点でした。確かに門脈への流入血が少なくなれば門脈圧が下がるわけですが、この発想は目からウロコでした。

 私たち獣医師は日ごろから動物の体全体を見渡す総合診療医としての考え方が求められるため、今回からはじまったセミナーは臨床における総合力を底上げする良い機会になりそうです。

T.S.