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12月13日兵庫県開業獣医師会症例検討会「診断に苦慮した症例~血液・内分泌疾患を中心に~」
22年12月21日
当然のことのようですが、正しい治療を行うには正しい診断が必要です。しかし熟練した獣医師であろうといつでも正しい診断を下せるとはかぎりません。講師に山口大学の上林聡之先生をお迎えした今回のセミナーはそんな話題でした。
診断のエラーには見逃し・誤診・診断の遅れといった3種類があります。これらの診断エラーは獣医師個人の力量のみによらず、環境や設備、検査の精度、多過ぎる情報やその精度、伝達の成否、確信・思い込みによる認知バイアスなど様々な要因が関わって起こります。認知バイアスとは、人間誰しもが陥る「認知の偏り」、つまり偏った見方・考え方の癖のことです。認知バイアスには様々な種類があり、しかもそれらは同時・連続して起こり得ます(図)。必要最低限のコスト(検査や通院にかかる時間、費用)で正しい診断をつけることは動物と飼い主さんにとっても最善なことです。 典型的な症状を示す患者が現れた時、普通は最もあり得る疾患をまず疑いますが、決め打ちで限定的な検査のみを行うとき、同時に見逃しや誤診の落とし穴が隠れているようです。
・シグナルメントと赤血球の非再生像からNRIMAを疑った症例念のため追加検査したところ実はバベシア感染症だったと判明するまで100日かかった例
・起立困難を示す他院からの紹介症例で、最初に内服中の薬をよく聞かなかったがために基礎疾患にある甲状腺機能低下症に気づくまで1年かかった例
・6ヶ月齢で不明熱を示す犬の症例で、ステロイドに反応するため経過観察と再発を繰り返すうちに診断が下るまで3ヶ月かかった例
この症例は最終的に先天性の下垂体機能不全による続発性副腎皮質機能低下症と診断されました。この間致命的な炎症性疾患に罹患するリスクを抱えていたことになります。
患者本人が言葉を話せぬ動物である以上、飼い主と獣医師が協力して治療を行うということが獣医療の真髄ともいえるのではないでしょうか。再考・反省をかさねて、日々出会うひとつひとつの症例に丁寧に接していきたいと思いました。