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11月29日 葉月会セミナー 「犬猫の心筋症」

カテゴリー:セミナー

19年11月30日

今回で第9回目となる菅野先生による循環器セミナーの「犬と猫の心筋症」についての講演会がありました。

心筋症とは心機能障害を伴う心筋疾患の総称であり、その分類は

肥大型、拡張型、拘束型、不整脈源性右室心筋症、分類不能型、特定心筋症などがあります。

今回はその中でも肥大型(HCM)について焦点を当てたいと思います。

雑音が聴取できないHCM30-40%とも言われており、正常と思われる103頭の猫に対してうち16頭が心筋症であったという報告があります。

猫において特に多いとされる発症年齢は1−といった若齢期であると言われており、

臨床症状としては鬱血性心不全に伴う呼吸促迫や食欲不振、運動をしなくなるといった症状です。

診断は①心臓の超音波検査による心臓の筋肉の肥大があるかどうか確認すること

②心筋障害がある場合は血液中のバイオマーカーを測定することで早期発見できる とも言われています。

H.F

第66回ハワイ獣医師会年次大会

19年11月14日

11月7日から10日まで、ハワイ州のホノルルにて開催されました第66回ハワイ獣医師会年次大会に参加しました。
様々な分野で活躍される先生方のご講義を受講することができました。
講義のあった8日から10日まで、特に印象に残ったトピックについて1日ずつ書き留めておきたいと思います。
8日:Clandestine Hidden Common Dental and Oral Disease(Dr.Stepniuk)
題名の通り隠れた、麻酔下で検査しないとわからない歯科疾患について実際のケースを紹介して頂きました。
外側からは歯垢、歯石、歯肉炎なく、歯周ポケットも外側は問題ない、通常の口腔レントゲンでも問題ない、臨床症状としては軽い咳がでる、という症例で、口蓋側のみの歯周ポケットが深く、口鼻腔瘻があった、という症例は驚きでした。麻酔をかけて口腔内の検査をしなければ診断の不可能だった症例です。
他に紹介のあったケースには短頭種で、埋れたままになっていた臼歯が嚢胞となって周囲の歯や骨を溶かし、外科的な処置が必要なものがありました。
そこまで悪化する前に発見されて抜歯していれば、大掛かりな処置は必要なかったであろうため、欠歯、また数が多い歯についてのレントゲンの重要さのわかる症例でした
AHAの現在のガイドラインでは犬猫は年1回の歯科レントゲンを推奨しているようですが、国内では行なっていることのほうが少ないでしょう。麻酔のリスクもあるためなかなか今すぐに健康診断的に取り入れられない部分もあるのではと思われます。まずは避妊・去勢時に、欠歯等の異常があれば、歯科レントゲン撮影を行うことから始められるでしょうか。
9日:Feline infections Disease Hot Topics(Dr.Lappin)
米国では猫の経鼻ワクチンが使用されるようになりました。また、Dr.Lappinを含めたグループでFVRの経口ワクチンが開発途中です。
Dr.Lappin本人も10年前には不活化ワクチンは効力に不安が残るという話をしていたそうですが、エランコ社の発表で弱毒生ワクチンよりもよい抗体価を示したという報告もあり、(抗体価が高い≠防御できる、ではないと言及されていましたが)、ワクチンについても日々スタンダードが変わっていく様子を目の当たりにしています。
一番私が興味を持ったのは、経鼻ワクチンがナチュラルキラー細胞を活性化し、対象とするウイルス疾患以外の治療に効果が期待できるのではないか、という報告です。抗生剤等を用いた標準的な治療で上手くコントロールできなかった呼吸器疾患の猫で、インターフェロンを用いた群と比べて症状の改善に効果があったそうです。
他にも、猫の皮下注射による従来のワクチンには、接種部位肉腫というリスクがありましたが、経鼻ワクチンではそのリスクがないという点もメリットです。
今はまだ日本では認可されておりませんが、近い将来予防および治療に用いられるようになるでしょう。米国内の新しいワクチンの取り入れ方について、初めて聞いた内容も多く面白く感じました。
10日:MANEGING THE HYPERCOAGULABLE DOG(Dr.Li)
血栓症について、1コマ目は猫について2コマ目は犬についての講義です。動脈血栓は赤血球以外にも白血球、およびNETsと呼ばれる細胞から遊離したDNAなどからも構成されていることなどが最近の研究で分かっています。そのような血栓の成り立ちやフィルヒョーの三要素といった基礎から具体的な症例への治療までお話ししていただきました。
講義の中で、血栓症におけるヘパリンの使い方について、標準量を用いた群と、anti Xa levelを測定して個々に使用する量を設定した群で、血栓形成率が大きく異なるという2010年の報告が紹介されており、ヘパリンの使用量について再考する必要性が示唆されていました。
また、学会期間中に開催されましたカクテルパーティーでは楽しいフラやハワイ語紹介の余興もあり、今回の学会に参加されました全国各地の先生方とも交流させていただき、充実した時間を過ごすことができました。
M.K

11月9日 葉月会 臨床腫瘍学シリーズセミナー

カテゴリー:セミナー

19年11月09日

廉澤 剛 先生 酪農学園大学獣医学群獣医学類 伴侶動物医療分野 教授

(付属動物医療センター長、腫瘍科/軟部外科 科長)

第4回基礎からしっかり学ぶ臨床腫瘍学「手術計画」

 腫瘍学において外科療法とは腫瘍が限局している場合には、極めて効果的な局所療法ですが、外科には大きく分けて3つの目的が挙げられます。1つ目は「根治的手術」2つ目は「緩和的手術」。3つ目は「予防的手術」です。なかでも「根治的手術」の適応要件としては、"腫瘍が限局していて切除によって重要な機能をそこなわないこと"。"遠隔転移率の低い腫瘍であること"。などを満たす場合に限られます。切除する際に重要なことはサージカルマージンをしっかり取ることです。特に悪性腫瘍は周囲の正常組織に浸潤しており、真の腫瘍の広がりは認識している腫瘍の広がりより大きいため、切除する腫瘍との距離感が重要です。大きいサージカルマージンを必要とする代表的な腫瘍に肥満細胞腫があります。肥満細胞腫のサージカルマージンは筋膜をつけて摘出とありますが、これは筋膜が腫瘍が広がるのを抑えるバリアの機能をしているからと考えられます。ただ、腫瘍の大きさや発生部位によっては十分なサージカルマージン確保できない場合があり、このような場合は切除縁に放射線を放射したり、化学療法いわゆる抗癌剤を用いて抑える方法があります。

 今回は腫瘍の外科的治療に関して基礎的なお話を聞くことができました。ペットの寿命が伸びている一方で腫瘍の症例数も確実に増えています。今後、腫瘍を治療をする上で考えるべきことはたくさんありますが、提案の一つとして挙げられる外科的治療に関してオーナー様にしっかり説明できればと思います。

K.G

11月9日葉月会特別セミナー

カテゴリー:セミナー

19年11月09日

教科書に書かれていない臨床心電図の実際

竹村 直行先生 日本獣医生命科学大学獣医内科学研究室第二 教授

今回のセミナーは心電図の取り方とアーティファクトとの鑑別方法、異常所見がみつかったときに診断を確定させる読み方・追加検査の仕方、治療法を竹村先生の実際の症例から教えていただきました。今回のセミナーは対話形式で順番に参加者が見解を発表するもので、緊張感もありとても楽しいセミナーでした。

心電図は心臓の電気的な活動を解析するものです。しかし体の動きや大小によて見え方は常教科書通りにいかないことが多々あります。その時に知りたい情報は何なのかをきちんと理解していれば次にすべき検査の工夫・方法も見えてきます。今回は実際の症例の症状・心電図から知りたいけど明らかになっていない点を洗い出し、測定法の工夫の仕方や追加検査の選び方、所見の解釈を学びました。当院では術前検査として心電図を撮らせていただいております。その意義や所見を飼い主様により分かりやすく伝えられるように、今回のセミナーで得た知識を活かしていきたいと思います。K.Y