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V M Nオンラインセミナー〜「明日から役立つ」シリーズ〜腫瘍学編Vol17~28〜
カテゴリー:セミナー
22年12月24日
講師 瀬戸口明日香先生
今回のセミナーは遭遇しやすい腫瘍について、適切にご家族に説明できるインフォームドコンセントのポイントを中心に解説するシリーズです。
現段階では総論として、抗がん剤の使用における注意点や一般的な腫瘍随伴症候群について、各論では腫瘍リンパ腫、乳腺腫瘍、メラノーマ、移行上皮癌、血管肉腫に遭遇した際にご家族の方々に伝えるべき内容を腫瘍特性に沿って解説していただきました。
まず、「腫瘍」というのは言わずもがな、他の疾患よりも診断時のご家族の精神的負担が大きいのにも関わらず、進行が早いものが多いため様々な決断を早くしないといけない点が厄介です。そのため、我々獣医師はご家族のかたが理解しやすく、かつ納得のいく治療と検査を潤滑に進めて行く必要があります。どうしても、若手の経験が乏しい獣医師はこの「説明」という能力が欠如してしまいがちで、自身もセミナーを通して腫瘍を説明する際のポイントや心がけの点で足りていない部分を自覚することができました。さらに、今回のセミナーでは、そのような点を重点的に解説することに加え、Case Studyとして自分ならどう考えて、説明するかを考えるというコーナーもありセミナーを見ただけなのですが、その疾患を何通りか経験したかのような感覚になりました。このセミナーの経験を活かして、腫瘍だけでなく、その他の疾患に遭遇した際も動物とそのご家族に寄り添った説明と治療の選択がより最善のものになればと感じました。
来年以降もこのシリーズには期待させていただいています。
R I
12月13日兵庫県開業獣医師会症例検討会「診断に苦慮した症例~血液・内分泌疾患を中心に~」
22年12月21日
当然のことのようですが、正しい治療を行うには正しい診断が必要です。しかし熟練した獣医師であろうといつでも正しい診断を下せるとはかぎりません。講師に山口大学の上林聡之先生をお迎えした今回のセミナーはそんな話題でした。
診断のエラーには見逃し・誤診・診断の遅れといった3種類があります。これらの診断エラーは獣医師個人の力量のみによらず、環境や設備、検査の精度、多過ぎる情報やその精度、伝達の成否、確信・思い込みによる認知バイアスなど様々な要因が関わって起こります。認知バイアスとは、人間誰しもが陥る「認知の偏り」、つまり偏った見方・考え方の癖のことです。認知バイアスには様々な種類があり、しかもそれらは同時・連続して起こり得ます(図)。必要最低限のコスト(検査や通院にかかる時間、費用)で正しい診断をつけることは動物と飼い主さんにとっても最善なことです。 典型的な症状を示す患者が現れた時、普通は最もあり得る疾患をまず疑いますが、決め打ちで限定的な検査のみを行うとき、同時に見逃しや誤診の落とし穴が隠れているようです。
・シグナルメントと赤血球の非再生像からNRIMAを疑った症例念のため追加検査したところ実はバベシア感染症だったと判明するまで100日かかった例
・起立困難を示す他院からの紹介症例で、最初に内服中の薬をよく聞かなかったがために基礎疾患にある甲状腺機能低下症に気づくまで1年かかった例
・6ヶ月齢で不明熱を示す犬の症例で、ステロイドに反応するため経過観察と再発を繰り返すうちに診断が下るまで3ヶ月かかった例
この症例は最終的に先天性の下垂体機能不全による続発性副腎皮質機能低下症と診断されました。この間致命的な炎症性疾患に罹患するリスクを抱えていたことになります。
患者本人が言葉を話せぬ動物である以上、飼い主と獣医師が協力して治療を行うということが獣医療の真髄ともいえるのではないでしょうか。再考・反省をかさねて、日々出会うひとつひとつの症例に丁寧に接していきたいと思いました。
12月11日・摂丹獣医師会 日本大学外科学教室、浅野和之教授講習会
カテゴリー:セミナー
22年12月20日
「ヘルニアを塞ぐ、コツとピットフォール」「胃腸管手術の基礎と応用」の演題で行われました。日本を代表する外科医である浅野先生の講演はいつも何かしらの刺激をもらっています。今回は胃の手術であまり獣医師の教科書的に載っていない方法やその生理、胃の手術により起こる利点、問題点等をとても楽しく聞かせていただきました。ビルロート1型、ビルロート2型が良く用いられますが、ルーワイ法、アンカットルーワイ法、空腸間置法、空腸ポーチ間置法、空腸ポーチルーワイ法、ダブルトラクト法などの説明がありました。外科は術者の腕でとても予後が変わることも多く重要な科です。常によりよい手術につなげれるような努力が必要です。さらに皆様によい技術をご提供できるように努力をしてい行きたいと思います。S.S
VETS TECH WEB SEMINAR Vol.42 〜犬のクッシング症候群の治療を見直す〜
カテゴリー:セミナー
22年12月14日
VETS TECH WEB SEMINAR Vol.42 〜犬のクッシング症候群の治療を見直す〜
講師 松木 直章先生
クッシング症候群は、日々遭遇する内分泌疾患としてメジャーなものの一つであり、
多飲多尿、多食や腹部膨満などの変化でご家族の方が気づいて来院されるケースが多いです。しかし、実際に問題となってくるのは、血栓症や糖尿病、高血圧、易感染化による肺炎や尿路感染等の続発性疾患をたくさん引っ張ってくるという点にあります。
今回のセミナーでは、クッシング症候群の治療について見直し、再確認に重点を置いて解説していただきました。
治療には、トリロスタンを使用します。この時注意点として、重度の併発疾患を持つ動物には慎重に薬用量を検討しなくてはならないですが、特にクッシングの犬の腎機能の評価は要注意が必要です。クッシングでは、筋肉量が少なくなっているので、腎機能の指標の一つであるクレアチニンは比較的低値になるため、I R I S分類で評価していると過小評価になります。そのため近年腎不全の早期診断パネルとして活用されているS D M Aなどが指標の一つとして有効なのでは?と考えましたが、これについてはまだ論文の報告がないそうです。
クッシングの経過検査をA C T H刺激試験→1時間後に検査というものがメジャーでありますが、近年ではコートロシンの投与をせずにトリロスタンを飲む前と、飲んで3時間後にコルチゾールを測定することで、クッシングコントロールのチェックの指標とできる報告も出てき始めており、これは動物の検査負担も緩和できると言う点で考慮すべきなのかなと感じました。
そのほか、クッシングの治療中における危険信号とその対応、併発疾患の治療など、再確認すべき点を整理して解説していただきました。
冒頭でも述べた通り、犬のクッシング症候群はよく遭遇する疾患のうちの一つで、しっかりとコントロールをしないと、動物のQ O Lを著しく下げたり、時には致死的な状態にもさせ得るため、まず早期の発見と適切な治療を行なっていくべきだと再確認いたしました。
年明けには、クッシングの診断編も考慮しただけるみたいなので、期待したいです。
R.I
12月8日・9日・10日 JAHA国際セミナー 呼吸器学
カテゴリー:セミナー
22年12月10日
Dr.Johnsonに教わる「The 呼吸器額」~正しい診断で適切な治療を目指そう
講師 Dr.Lynelle Johnson
DVM,MS,DACVIM(SAIM) Professor,University of California-Davis
JAHAの国際セミナーに参加してきました。
犬と猫の呼吸器疾患に関して、身体検査や症状に関する基本的なことから、先生が実際に行った比較研究の結果や新しい論文に関してまとめたものを教えていただいたり、あまり遭遇しないような特殊な例まで多様性に富んだ講義をしていただきました。
咳に関して、ネブライザーの有用性を再確認しました。また、気管虚脱に対して抗不安薬を使用していたり、今までの治療にプラスになるような内服の使い方などを知れたと思います。他にも粘液排出のための方法として、クパージュという方法を初めて知りました。動画を拝見すると特に道具なども必要としない方法であり、オーナー様の自宅におけるケアの1つとしてプラスで活用できやすいと感じました。
そのほかにも普段の診察でよく遭遇する気管虚脱や肺炎、猫のヘルペスウイルス感染症などに関してインフォームドを行う際の注意点や薬剤の選択に関して新しい見解ともにお話いただました。
また今回は、症例のほとんどで気管支鏡を用いての診察を行っており、気管洗浄からの細胞診についても詳しく説明いただきました。
気管洗浄に関しては気管支鏡を用いての方法以外にも、軽い鎮静下や、気管チューブを利用した方法に関しても詳しく説明していただきました。ぜひ活用して診断の一助にできたらなと思います。
他にもボリュームたっぷりの興味深いお話を伺わせていただきました。しっかりと復習し、院内でもほかの先生方とも共有することで、今後の診察に生かしていけたらと思っています。
S.A